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2 死神と3つの選択肢

俺は思わず息を呑んだ、目の前の光景が理解できなかった。


自分が棺の中で白装束を着て横になっていること、家族や親友の海琉かいる近所のお姉さんが自分のお葬式に参列していることで困惑しながら俺(遺体)を見つめていると、隣から声をかけられる。


「おいっ!」


声をした方に振り向くとそこには、「海を見てきて欲しい」と頼んできた幽霊のおじさんが機嫌良さそうに棺の上で足を立てて座っている。


俺はまだ今の状況を把握できてない、だから幽霊のおじさんに聞くことにする。

「おじさん、なんで俺がいないうちにこんな事になってるんだ?見張ってるって言ってたじゃないか」


幽霊のおじさんは不気味な笑顔をしながら。

「あ〜確かに見張ってた、けど幽霊に入られたらしいな」


それを聞いて、怒りが少しずつ湧いてきた。

「はぁ?どうゆうこと見張ってたって……入られたら意味ないじゃないか。その幽霊は今どこに!!」


幽霊のおじさん急に目の光が消え、真顔で…

「その幽霊は、俺だよ。お前が海に行った後すぐに体に入って、マンションの屋上から……」


怒りと悔しさで

「それ以上言うな!なんでそんな事をしたんだ、俺たち仲良かったのに……」


俺と幽霊のおじさんは悩みや過去を打ち明けて、この1ヶ月間で凄く仲良くなっていた矢先


「なんでって最初からお前の体に入って、死んでから天国に行く計画だったから上手く騙せて良かった」


俺は騙されていた。仲良くしてたのも計画の内で…あっ!?

「もしかして、海も嘘なのか?」


「それは半分嘘で半分本当、父ちゃんとあの海に行ったことはあるけどもう一回行きたいとは思わん。お前が体から長時間離れてくれるのを期待してってのこと、後忠告したろ海は時間を狂わせるってな」


海は時間を狂わせる…海に行く前に幽霊のおじさんがふざけながら忠告と言ってたやつ…本当だったのか。

ふざけやがって…


「そんじゃっ、俺の代わりに幽霊ライフ楽しんで。新人幽霊」


幽霊のおじさんは棺から降りて葬式場の外に出ようとした。

俺は怒りが頂点に達し、掴みかかろうとした。

その時パチっと音がした、掴みかかろうとした体は固まって動こうとしてもびくともしない。


幽霊のおじさんは、手を振りながら

「あ〜やっと来たか、俺だ!石田だ覚えとるか?」


「はい、お久しぶりです。石田様、改めて自己紹介を私は死神のダラクと申します。お迎えにあがりました。」


体が固まったまま、俺は驚いた。本当に死神が存在していて見た目が、白髪に赤い目真っ黒いスーツ威圧感増々の見た目をしていた。

ダラクが伏し目でこっちを見ると

「貴方は〜石田様に追い出された体の元の持ち主様ですね。幽霊同士の喧嘩はやめていただきたい、私は上のものから目をつけられたくないのです。良いですか?」


威圧感に負けて、無言で頷くとダラクが指を鳴らして次の瞬間さっきまで動かなかった体がもとに戻った。


「死神さんから教えてもらった方法をしたらまんまと引っかかった奴がいて本当にありがとう御座いました。今度こそ、俺を天国に連れて行って下さい。」


ハッとした

「引っかかった奴って、俺の事!!!ダラク…お前もこのおじさんとグルなのか?」


ダラクは溜息をして

「はぁ〜初対面で呼び捨てですか……ちょっと黙れ。集中しないと失敗するので。」


そう言って。おじさんに向かって謎の粉振り撒いて

その粉を振り撒いた手を顎の下に付けて目を閉じながら息を吹くと、おじさんが足の方から霧が出てきておじさんの体を覆うと霧が弾けるように消えていった。

霧の中におじさんの姿は無かった。


ダラクは丁寧にお辞儀しながら

「いってらっしゃいませ………で、たいら 有李ゆうり様ですね。さっきの質問の返答ですが、そうですね私があの石田に知恵を貸しました。」


「石田って…さっきは様って付けてたのに、そんな事はどうでも良い。知恵を貸したって?」


「呼び捨ての件はご本人様がいらっしゃらないですし、この会話は私たち2人しか聞いていないので、たいら様がバラさなければ上のものにもバレる事はありませんので。知恵の件は残念ながらお教えできかねます。それでは………」


ダラクが葬式事を去ろうとしたので、俺は引き止めた。


「ちょっと待ってください。僕はどうしていけばいいんですか?」


「平様には3つ選択肢があります。1つ目 このまま浮遊霊として漂う。

2つ目 地獄へ行く、平様は特に悪いことはしていないのですが石田の代わりになっておりますので申し訳ないですが石田の罪は平様の罪として換算されております。

3つ目は石田も使った裏技です、これを使えば亡くなった際天国へ行ける可能性が高くなります。私は悪い死神ですのでいつも3つ目をおすすめしております。さぁどういたしますか、平様?」


1つ目は普通に嫌だけど戻る体もないし2つ目は絶対嫌、俺は何もしてないのにおじさんの罪を被って地獄に行くとか…3つ目は少し気になる、亡くなった際にって言ったからしばらく生きられるのか…どうすれば良いんだ………


俺はまだ高校生でやりたい事も色々あった…高校は辛かったけど、もう1回生きられるのであれば!!


「ダラクさん、3つ目の裏技を教えてください。」


ダラクはニコッとして

「はい、かしこまりました。ただし、約束がありますこの裏技は誰にも教えないこと、絶対に決行することです。もし約束を破るような事があれば地獄行きよりもっと酷いことになるかも知れませんが、よろしいですか?」


俺は震えながら頷いた。


その後教えてもらった裏技はこう、まず肉体的にも精神的にも疲れている人間見つけその中から乗っ取りたい人を選ぶ。決まったらその人の枕元に立って幽体離脱するのを待つ。

幽霊が近くにいると幽体離脱しやすいとかしやすくないとか、幽体離脱した人間と仲良くなり信用させた後おじさんのような嘘をついて体から離れさせる。


その隙にその体に入って、そこからは好きにすればいいと言われた。その人が行ってた学校や仕事に行きたければ行けば良いと、まるっきり俺がやられた事を人にすることになる…おじさんは罪悪感なんて無かったのだろうか………いや、無いだろうな。

あんな人だし…


俺はたいら 有李ゆうりとしての人生は幕を閉じ、他の誰かの体に入ってまた人生の幕をこじ開ける事を決めた。


まずは疲れた人間探し、この葬式場にいるかな〜と思い見渡すと親友の海琉かいるの後ろに影が見えた気がする。

確かめようと近づくと、後ろに俺に背を向けて丸くなってる人が居る、怖がってる感じだから優しく話しかけると。

「大丈夫、この人の後ろにいるけど君は誰?」


その人がこっちを見ると、俺は驚愕した。

だって、良く知っている顔だったからだ

「えっ?なんで海琉かいるが幽霊に!?」


海琉も俺に気づき

有李ゆうり!?僕が見えるって事は有李も幽霊なの!!」


お互いに幽霊だと言うと事を認識した。じゃあ海琉の体に入ってるのは、一体誰で何故こうなっているのか









読んでいただきありがとうございます。

次回もお楽しみに。

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