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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

前世は断罪ヒロインで呪いをかけられました。今世は呪いを解いてみせます。

作者: りら



「山村先輩、好きです!」




放課後の体育館裏、ある女子生徒が先輩の男子生徒に告白をしていた。





「…気持ちは嬉しいんだけれど、」「嬉しいんですか!?やったー!」


「え、いや、」「え!やっぱり嫌だったんですか…そうですよね」


「違くて、嫌じゃなくて、気持ちは嬉しいよっ。気持ちは!」


「嬉しいんですか!…う、うれしいぃ」


「泣かないで、というか、まだ、泣かないで…、ここからだから」


「泣いてすびばせん~」


「こっちこそごめんね。えっと、気持ちは嬉しいんだけど」「う」「嬉しいんだけど!俺すきなひとがいるので、ごめんなさい付き合えません」


「はい」


「え?」


「?はい」


「あの、付き合えません、って告白のお断りをしているんだけど…」


「あぁ!付き合えるなんて思ってなかったので大丈夫ですよ?」


「え?」


「え?」


「…そこは泣かないんだ」


「え?」


「何でもない!…じゃ、ごめんね」


「あ、先輩!本題はここからで一つお願いがあるんですが…」


「(最後に思い出にとか何かかな…)なにかな?」


「明日も放課後ここに来てもらえませんか?告白したいので」


「はい?」


「即答ではいって言ってくれるなんて、先輩本当神過ぎます…」


「はい?って言ったの!はい、じゃないから。じゃなくて、今告白断ったよね…」


「あの、理由言うので引かないでくださいね…」


「(もう若干引いてるけど、てか聞く前提で話すすめてるよこの人)…うん」


「私この間前世を思い出したんですよ…もう聞いちゃったんだから逃げないで最後まで聞いてくださいね先輩」


「…ハイ、スミマセン」


「先輩、異世界って信じます?」


「(もういいや…)うん」


「信じてくれますか!さすが先輩!私の好きな人!」


「(もう、本当もういいや…)うん」


「私前世で交通事故に巻き込まれて死んじゃってその後異世界のヒロインに転生して、悪役令嬢を貶めて逆ハーレムルートつくろうとしたらしく、それなのに逆に捕まって呪いかけられてしまったんですよ」


「うん…」


「その呪いがっていうのが、100回好きな人に振られないと恋愛できない呪いらしくて、生まれ変わってもそれが引き継がれるらしいんですよ」


「(まじで何言ってんのこの娘、とりあえずやばい系で間違いないな)…」


「まじで何言ってんのこの娘とかやばいやつとか思ってないで真面目に聞いてくださいよ。私本当に困ってるんですよぉ~」


「分かったから!聞くから泣かないで、ね!」


「先輩本当優しすぎる…。前世の私は捕まった後娼館行ったみたいなんですけど、好きになった男に3回振られて呪いを自覚して、人生に絶望したらしく自殺しちゃったみたいで」


「(娼館とか自殺とか重っ…)」


「あと、97回振られないと私この人生でも恋愛できないんですよ!可哀そうだと思いませんか!あ、さっき1回振られたからあと96回だ」


「ウン、カワイソウダネ」


「好きですって言って、気持ちは嬉しいと言ってくれた優しい先輩なら私のことあと96回振ってもらえると思って…」


「…他の人じゃダメなの?」


「好きな人じゃないとダメなんですよ。今私の好きな人先輩なんで」


「別の」「別の人好きになったらって言おうとしてますか?してますよね?96人も好きな人つくれっていうんですか?それこそこの人生だけで終わりませんよ」


「…ソウダネ」


「さっさと私も呪い解きたいんです…お願いします!あと96回私を振ってください!」


「ライムとかじゃダメなのかな」


「直接じゃないとダメみたいで」


「今96回振るのは?」


「1日1回じゃないとダメみたいで」


「でも毎日放課後ここに来るとかは、俺も忙しいし…」


「あ、振ってくれるのはいいんですね!さすが先輩!じゃあ、私毎朝校門前で待ってますから、その時告白するんで振ってください」


「え?」


「え?教室の方がいいですか?」


「いや、君恥ずかしいでしょ?」


「呪い解くためなら大丈夫です!」


「…本当に俺のことすきなの?」


「大好きです!前世思い出す前からずっとずっと好きでした。先輩なら96回振られても好きでいられる自信があります!あ、96回振ってくれたらあとは絶対に話しかけません。約束します!」


「…振られて傷つかないの?」


「傷つかないと言ったら嘘ですけど、付き合えるとはもともとこれっぽっちも思っていなかったので大丈夫ですよ。そもそも振られて傷つかなかったら呪い解けないですし。先輩になら傷つけられてもいいかなって」


「…はぁ、分かったよ。でも、みんなの前で告白するのはやめよう?俺も恥ずかしいし。昼休みか放課後か俺の都合のいいとき連絡するから。屋上か体育館裏かあんまり人が来ないところで。さすがに休みの日はいいよね?」


「…先輩本当好きです!ありがとうございます!人生の恩人!休みの日までは押しかけませんので安心してください」


「まだ恩人になってないから。乗り掛かった舟だよもう、最後まで付き合うよ…。とりあえず明日の放課後ここで。あと、ライム交換しよ」


「ありがとうございます!!!あ、終わったら絶対絶対お礼するんで!ちなみに先輩は私の魅了魔法に全くかからなかった婚約者一筋の王太子の側近でした!」


「俺もいたのかよ」







***************





「先輩、好きです!」


「ごめんなさい」


「…っ、先輩、今までありがとうございました。無茶苦茶なお願いしたのは本当に分かっていますっ。97回もつきあってくれてありがとうございました!先輩の貴重なお時間いただいてしまって感謝しきれません…。明日からは絶対に行きませんので安心してください!この御恩はかならずお返しします!では!」


「あっ…(泣き顔1回目の時以来だな)」




***************





「山村、なぁお前後輩ちゃんと全然会ってないの?」


「…うん」


「もうあきらめたのかな」


「…そうだと思うよ(ライムもブロックされてるみたいだし)」


「お前はさ、後輩ちゃんのこと好きじゃないんだよな」


「好きじゃないよ!俺が好きなのはっ…(好きなのは…)」


「そうだよな。蒼井さんだもんな。あ、蒼井さんといえば彼氏と別れたらしいよ!」


「え!」


「お前チャンスじゃん!俺は後輩ちゃんでも狙おうかなぁ」


「…やめたほうがいいと思うよ」


「なんで!?」



***************



「山村君」


「?あ、蒼井さん…」


「ちょっと話せるかな…」


「うん、いいよ」


「…あのね、私先月彼氏と別れたんだ…」


「そ、そうなんだ(知ってるけど…。なんで、俺にそんな話を…?)」


「彼氏が浮気したんだけど、相手がね、山村君に何回も告白してた後輩ちゃんなの」


「!?(でかあいつ有名だったんだな…恥ずっつ)」


「彼氏のことも許せないんだけど、あたし、後輩ちゃんのことも許せない。あんなに山村君にしつこく山村君に告白してたのにあっさり乗り換えるなんて…。それでね、山村君に聞きたいことがあるんだけど…後輩ちゃんの告白断ってたのって、私のせい??」


「え!?(なんでばれて…)」


「もしそうなら、後輩ちゃんはあなたの好きな人から腹いせで彼氏を奪う行為をしたってことでしょ。あたしのこともだけど、山村君のことも馬鹿にしてるっ。・・・山村君…私と付き合わない?」


「え!?」


「誤解しないでね、腹いせとかじゃないよ!純粋に私のことを想ってすっと告白を断ってくれてたって聞いてすごく私嬉しくて…。山村君と付き合えたら嬉しいなと思って…返事は後でいいから!考えてくれませんか?」


「…分かった。考えさせて」


「返事待ってる。またね」




***************



(俺は何を迷っているんだろう…蒼井さんがずっと好きだったはずなのに)











***************







「…よう。屋上(ここ)にいたんだな」


「っ先輩!すいません、今席外します」


「いいよ、そこで昼飯食べてて…一人なの?」


「…ちょっといろいろあって」


「俺のせい?」


「先輩のせいじゃないです!!」


「…蒼井の彼氏のことわざと?」


「っ…」


「俺が蒼井のこと好きって知ってたの?」


「…はいっ」


「やっぱりわざとだったんだ。嫌がらせなんてお前最低だな」


「っ…本当に申し訳ありませんでした!」




(逃げるなよ…)




***************



「ぎゃはは、お前サイッテーーだな!」


「だってさ、処女みたいでさ、怖いって泣きまくんだぜ。あっちから声かけてきアピールしてきたくせにさ」


「お前彼女いたじゃん。2年の蒼井?だっけ?」


「ちょうど飽きてきたところだからよかったんだけどさぁ、今思うと切らなきゃよかったな~具合は良かったから」



「(うるさいな…。ってあの人蒼井さんの元カレ?)」



「無理やりしようとしたけど、泣きまくって萎えちまったわ」


「んで、捨てたの?」


「だってヤレなきゃ意味ね―じゃん」



「おい、今のどういうことだよ」



***************



「山村君、その怪我どうしたの!?」


「なんでもないよ」


「もしかしてあいつにやられたの?あたしのせい?」


「蒼井さんのせいじゃないよ…。あのさ、蒼井さん、この間の返事してもいいかな?」



***************






「また屋上(ここ)にいたのかよ」


「先輩?…って、どうしたんですか?!怪我してる!保健室!病院?!あ、話しかけちゃ駄目ですよね。人呼んできます!」


「落ち着いて。大丈夫だから。ここにいて」


「でも…」


「あのさ、俺お前のこと好きみたい」


「え?」


「まだ、もし、俺のこと好きでいてくれてるなら…付き合ってください」


「え?」


「え?」


「…夢?」


「夢じゃない」


「でも、蒼井さんは?告白されたんですよね」


「断った」


「!蒼井さんは前世で先輩が溺愛してた人なのに…」


「お前、終わったら絶対お礼するんで!…って言ってたよな。蒼井さんを別れさせて、俺とくっつけようとしたんだろ」


「だって、私にはそれしかできないから…」


「前世は前世。今は今。そもそも俺は前世覚えていないし、俺は今のお前が好きなの。…お前から言ってくれないかな、もう一度。呪いは解けたかどうかはっきりするでしょ?」


「…先輩、好きです」


「…俺も」


「先輩、すきです」


「俺も」


「ぜんばい、ずきです~」


「俺も、好きだよ…ちゃんと、呪い解けたな」








ヒドインも救われてもいいと思う。

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