01
”world:bot社”。
world:bot社は2110年に設立。主に人材不足への解消を行うために”job:bot”を開発。
job:botはコンパクト的なサイズに情報を徹底的に守るため作られたセキュリティ機能、危害や災害から守るための防災機能と救助機能、多くの機能が搭載されている。
job:botは開発から半年で評判が上がり功績を得ることに成功、多くの企業がjob:botを配属するようになっていった。
だが、2116年にjob:botによる暴走事故が多発したため、world:bot社はjob:botの回収を行い、配属していた多く企業の損害賠償を支払うこととなり会社は2117年に倒産することとなった。
――――
chapter.01/ー警官ロボット”ボルク”ー。
ー黒田のアパート、自室ー。
「はあー、くそ重てえー……」
警官ロボットを抱えながらアパートの錆びた階段を上がり、ようやっとの思いで自身の部屋に着き抱えていた荷物を降ろす。
警官ロボットの身体からバッテリーを引っこ抜き、job:bot専用充電用バッテリーにセットして電力を送り込む。
job:botのバッテリーはそこまでの電力を消費をしないよう家庭にも優しい使用となっている。
……のだが、もしバッテリーが破損した場合、購入をしなければならない……このバッテリーの金額は財布には優しいものではない。なんなら、焼け野原である。
運が良かったのはこの警官ロボットのバッテリーは破損されず綺麗なものであったので、黒田は心底安心していた。
自分の財布に穴が開かなくて。
バッテリーが満タンになるにはまだ時間が掛かる。
黒田は電子タバコを口にくわえて改めて、その警官ロボットを見た。
すると黒田はある一点に目が留まった。
「なんだ?エンブレムが抜き取られてんのか?」
その警官ロボットの帽子部分……もとい頭となるのだがその鍔部分に飾られている警察のエンブレムが抉れたように抜き取られているように見える。
抜き取られたせいで中が見えてしまい、ヘッドパーツ部分が露出してしまっていた。
黒田は轟木が言っていたことを思い出していた。
ー「俺はこの事件”警察に恨みをもった奴”が犯人だと思っている」ー。
轟木が予測していることは当たっているかもしれない。
轟木から渡されていたデータによると、奇襲された警官達は気絶後に警官バッジを取られている。
昔は”手帳”って形になっていたんだが、百年も経つとそれもデータ化され今じゃ”バッジ”と化していた。
……話がちょっと逸れてしまったが、奇襲された警官達や警官ロボットまで警察の紋章と言えるものを奪ってでもするこの行為……何か理由があると黒田はそう考えた。
するとピコンッ!と音がなった。どうやら充電が満タンになったようだ。
黒田はボルクから離れ、満タンになったバッテリーを取った。
満タンになったバッテリーは青く光っている。
黒田はさっそくその満タンになったバッテリーをボルクの胸部分を開き、その中に設置して閉めた。
バッテリーを設置し電力が回ったのかボルクの中からか細い機械音が聞こえてきて、黒くなっていた眼に光が宿った。
ボルクは目を覚ますと周りを確認した後にゆっくりだが、無機質な機械音声で話し出しだ。
「……ここは?」
「よお、起きたか」
「あなたは誰ですが?私はどうしてここにいるんです?そして……」
「あー、ちょっと待て」
起きて早々に多く質問を投げかけられた。
さすがはロボット、相手を待とうとしない。それはお話大好きなおばちゃんに捕まってマシンガンのようなトークという弾丸を五月雨が如くよろしく言わんとばかりに撃たれるというものと一緒だ。
まずここは一旦、相手の話を切ってからもう一度相手の問いに1つずつ答えていかなければならない。
相手が話し、自分も話す。それを繰り返す、話しがボールならそれを投げる者”キャッチャー”がいなければ会話は成立しない。
さて……、あの事件現場の目撃者……ロボットに言うのも可笑しいかも知れないが加害者から証言を聞けるチャンスだ。
慎重に話しをしていこう。