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-outburst-  作者: ロロル
chapter/00-奪われた警官バッジ- 
2/4

02

ー4年後ー。



 2120年05/19. -17:00-。


 男は夢を見ていた。

 霞む視界の中、寒い雪を這いずくばりながら進んでいる。

 身体中が寒さによって感覚や男の体温を奪っていく。

 白い白銀が吹き荒れる世界の中、男の視界に人影が映る。

 その人影が男に対して何か言っているのだが、男にはそれが聞き取れない。

 吹雪の音によりその人影の声が聞こえなくなっていく。

 次第に感覚もなくなり眠気が襲ってきた。男は動くごとを辞め、そのまま眠気に従うように眠りにつく。



 ー起きろゼロ。仕事の時間だー。


「……っは!」


 男は悪い夢から覚め、ベットから飛び起きた。嫌な冷や汗が男の額に落ちる。まだあの寒気も感じる気がする。

 ……いや、それは違うな。自分に”感覚”なんてものは存在しなかったなと男は自分に呆れて大きなため息をついた。

 ここは東京都第5地区のビル街。

 ビルが多く立ち並ぶ狭い路地の間に、三階建てのボロのアパートがある。そのアパートの三階の奥角、そこがこの男の住所である。

 悪夢に魘されていたこの男は、東京都第5地区の特殊刑事課に所属している。名前は”黒田 純一郎”。


 黒田は今日もまともに眠れなかったと、うんざりしながらもこの気持ち悪さを拭おうとベットから立ち上がり洗面台にへと向かっていった。

 洗面台に着いた黒田は洗面台に取り付いてある鏡に目を移す。相変わらずの辛気臭い顔が鏡に映っている。

 目元のクマちゃんはいつもより元気そうに前より濃くなっている。

 嫌気がさし、自分自身を見るのが嫌になった黒田は洗面台に水を溜めと水道のセンサーに手を……。


「おっと、危ねえ……」


 黒田は慌てて近くにあった黒い革の手袋を嵌めてから水道のセンサーに触れた。

 センサーは反応し、水道から水が出て洗面台に水が溜まっていく。

 そこそこ溜まってきた為、黒田はセンサーから手を引いていい感じに溜まっただろう水で洗顔をし始めた。

 やはり体の感覚は無くとも、洗うってことだけでもこの嫌な気持ちを緩和してくれる。

 少し気持ちが落ち着いてくるのを黒田は感じた。

 近くにあったタオルで洗顔後の顔を拭いていると、私室から機械の信号音が聞こえてくる。

 どうやらスマホが鳴っているようだ。黒田は首に先ほど拭いていたタオルを首に掛け、そのまま私室に戻りベット近くで今でもこのスマホの主を呼ぶように鳴り響ている。

 黒田はスマホを手に取り、呼び出し人の名前を確認した。相手は同じ職場で働く刑事課の”エドリック・轟木 ”だった。

 彼からの呼び出しは珍しいと黒田は思い、今も鳴り響くスマホに応えるように電話に出た。


「よお、おはようさんだなエド」


「おはようさんって……お前、もう夕方だぞ?太陽さんならとっくのとうにお帰りの時間だぞ」


「それはそうとお前さんから連絡だなんて久しぶりだな。……何かあった?」


「起きて早々で悪いんだが、今からこっちに来られるか?場所はー」



 ー東京都第5地区、繫華街ー。



「現場ってここか?俺の家からそう遠くねえぞ……」


 黒田はエドリックから呼び出され、繫華街の狭い裏道を通っていた。

 表通りは人混みでごった返していて今もこの裏道から表通りの賑やか声が聞こえてくる。

 裏道はというとそれとは打って変わっていいもんではない。表通りで商売している者達が抛り捨てたゴミ、または油だろうか?濁った水やらがそこらの地面に撒かれ匂いが酷いことになっている。

 これじゃ先ほどのいい気持ちもひとしおで、匂い堪えながら早々と現場に向かう。

 狭い裏道の曲がり角、そこに曲がるとエドリックがいる現場に到着したようだ。


 黄色いレーザーテープで現場は確保されている。黒田は何事もなく黄色いレーザーテープを通り過ぎエドリックの近くによる。

 エドリックの見つめる視線先には、ホログラフィーにより再現されただろう遺体が壁に寄りかかる形で生々しく現象されていた。

 黒田はそのホログラフィーに近づき遺体の様子を確認した。

 遺体の容姿はというと、服装は何日も洗っていないのだろう色が黒ずんでいて何処かの拾い物だろうか?所々ボロついている。

 だらっと放り出されている両足には左右に10㎝程の穴が開いている。開いてある穴の周りには焼け跡が残っていた。


「両足とも貫通している……穴はざっと10㎝か?焼け跡……まあ銃痕だな、だとすりゃ凶器は”レーザー型銃”か」


「ご名答だ。だが、傷跡はそこだけじゃない」


「目を見てみろ」


 黒田はエドリックの言う通りその遺体の顔を覗き込んだ。


「左目も撃ち抜かれていたのか。……ん?」


「頭上に穴が……?ってことは、銃線は下から左眼目掛けて撃たれたってことか」


「死因は脳損傷による出血死だ。こいつはこの繫華街の近場にいたホームレスでな、この近辺の住人からゴミ箱を漁っている所をよく目撃されていた」


「そのホームレス殺害されるほどの因縁関係とかは調べてんのか?」


「……そこが一番の”重要なポイント”だ」



「ホームレスの名前は”坂本 直樹”。……元東京都第5地区、警察署の刑事課を担当していた刑事だ」


「この仏さん、元刑事さんだったのか?まだ俺よりも若いのにホームレスになるだんて……一体何があった?」


「今より4年前。サイバーギャング団の一員を追いかけていた時にだ、坂本の指揮ミスによりその強盗犯を殺めてしまったらしく……坂本はその責任として警察署から解雇処分を命じられたんだ」


「ただ大人しく去っていれば良かったんだけどな……逆上した坂本は警察署に配属されていた警官ロボットに破壊行為をしてな、その機械破損による賠償金を背負うことになり後の奥さんとも離婚……家庭は崩壊し、坂本はこの繫華街でホームレスとして生活するようになったんだ」


 悲惨といえば悲惨なのだが、半分は自暴自棄ともいえるだろう。

 坂本の心境に何があったのか黒田はホログラフィーと化した坂本の遺体を見つめた。


「それでこの事件の見込みはどうなっている」


「他殺だ。だが、意見が別れている」


「1つは人による殺人だ。坂本はホームレスとは言えども元刑事だ、しかも4年前の一件もある。まだサイバーギャング団は捕まった訳じゃない、そいつらが仲間の敵を討つために坂本を殺害したと考察している」


「あともう1つは?」


 エドリックは視線を黒田から外し、坂本のホログラフィー隣にある物、それに視線を移した。

 黒田はその視線を追うようにそれを見た。

 そこには棒立ちしているロボットがそこにいた。


「気になってはいたが、こいつは?」



「job:bot社の制作したjobロボット、P-303型警官ロボット……名称は”ボルク”」




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