01
赤いレーザーポインターが額に当てられ、常に狙い定められている。
いつ撃たれてもおかしくない状況に緊張が走る。
張り詰めた空気の中、黒田のことなどお構いなしにボルグは質問を開始した。
「1つ目、お前は善人である」
「……いいえ」
「2つ目、お前は悪人である」
「いいえ」
――なんだ?この質問は……何の意味がある?
ボルグの意図が見えない質問に黒田は理解できないでいた。
それでも黒田の困惑など気にせず、質問は続いていく。
このまま質問を続けても、いい結果にはならないと思った黒田は拘束器具で取り付けられている左腕の器具が歪んでいた為、少し力を入れれば外れるとわかった。
質問に答えつづ、拘束器具を外していく。
「3つ目、お前は前科を持っている」
「いいえ」
「4つ目、お前は警察を信じている」
「はい」
そう答えた途端、ボルグの手に握られていたレーザー型銃が光りを放ち、黒田に目賭けて撃ち込まれた。
黒田は瞬時に顔を逸らした為、レーザーはそのまま医療用の椅子に当り後頭部の部分を焦げさせた。
ボルクは不機嫌そうに話す。
「残念……”いいえ”だ」
あまりにも勝手過ぎる行動に黒田自身も怒りを露にした。
「……おい、質問は〇×ゲームなんかじゃねえーんだぞ」
今までやっていた拘束器具が緩んだため、一気に力を入れて左腕の拘束器具を引きちぎる。
そして左手の手袋を口で外して、素手となった手で向けられていたレーザー型銃を掴んだ。
すると、レーザー型銃は高い電子音を発しながら煙をあげて破裂するように爆発した。
爆発した衝動でボルグはデスクの後ろに吹っ飛ぶ。
「今度は俺から質問だ……お前はボルグじゃないな」
「答えろ、お前は”何者”だ」
「……フフ、ハハハハハ!」
壊れた玩具のように高笑いをあげた瞬間、目の前にあった汚れたデスクを軽々と持ち上げて黒田に向けて投げられた。
デスクは黒田の横ギリギリを通り抜け、奥側の壁にぶち当たるとデスクの木片が飛び散り黒田の方にも木片が掛かる。
黒田は飛んできた木片が目に入らないようにと瞬時に目を瞑った。
だが、自分が座っている医療用の椅子がガタンと揺らぎ椅子が後ろに傾いていく。
傾いた衝動で後ろをみると、そこには大きな穴が開いてあった。
結構高い所に連れてこられたのだろう、底が見えない。
これはマズイと思った黒田はどうなっているのかと椅子下を確認すると、ボルグが床に貼り付けられた医療用の椅子を引き剝がそうとしていたのだ。
小型機械では有り得ないぐらいの力を見せつけてみせた。
掴んでいた椅子の部分は凹み、床に張り付いていた医療用椅子はそのまま引っこ抜かれ、このままでは後ろの床穴に落とされてしまいそうだ。
すると穴に落とすギリギリの所で止まり、そこでボルグが話し出した。
「お前はどこの間抜けな”警察”とは大違いだな……まさか操っている”俺”に気付くとはな」
「お前はサイバーギャング団か……!一体何が目的だ」
ボルクは不敵な笑みを浮かべて、話す。
その表情を見て、あまりの不気味さを黒田は感じた。
「サイバーギャング団なんぞ、たかが舞台の”駒”にしか過ぎない」
「……なんだと?」
「俺と勝負しようぜ、刑事さんよ」
「今から深夜の二時に第五地区警察署をサイバーギャング団が襲撃しに行く、もし朝方の六時までに来なければ警察署の警視総監と警察共の命はない」
椅子がだんだんと後ろにへと傾いていく。
「お前の”善”が勝つか、それとも”悪”が勝つか……見どころだな」
「人の命は、てめえーの好き勝手で賭け事に使うようなもんじゃねえーんだよ……くそ野郎」
ボルクは掴んでいた手を放し、黒田をそのまま後ろの穴にへと突き落とした。
落とされた黒田は犯人に向けて、怒りをぶつけた。
「覚えとけよ、お前の顔を拝みに行ってやるからな!」
突き落としたボルクは黒田が落ちて行った穴を覗きながら、楽しそうに呟いた。
「楽しみ待っているよ、刑事さん」