04
黒田が目を覚ますと、そこは薄暗く所々ボロボロになったコンクリート状の室内であるのがわかった。
風通しが良くなった窓から月明かりが室内に零れて入ってくるため、何となくだが確認することが出来る。
頭がボーっとする中、起き上がろうとしたが身体が動かない。
いや、動かせない。
どうなっているのか自分の身体を確認すると、医療用の椅子に座らされて固定器具のようなもので身体を縛られている。
どうにか動かしてやろうにも、びくともしない。
黒田の頭脳に嫌なフラッシュバックが甦る。
――あの悪夢と一緒だ。
”予知夢”というものがある。
果たしてそれが実際に当たっているといえば確かに重なって似ているとも思うが、全てそうだと認識してしまえば自分の見ていた悪夢が実現するということになってしまう。
……それだけは、ごめんだ。
これから先その悪夢が実現するぐらいなら自分は真向に生きていく自信がない。
あれは”夢”だからいいんだ。
夢は見るものであって、実現するものではない。
「……寝るんだったら、ベットがよかった」
「起きたようだな」
誰もいないだろうと独り言を呟いた黒田の言葉に反応するように、室内にある汚いデスク向かいのチェアが回転し黒田の方にへと向いた。
そこにいたのは――。
「……ボルクか?」
P-303型警官ロボット、ボルクだった。
黒田の返事にボルクは黙ったまま、返さない。
薄暗い室内の中、ボルクの赤い瞳のLEDがぼうっと光り、こちらをずっと見つめ続けている。
あまりの異様な雰囲気に黒田は、また問うた。
「おい、ボルクどうした?返事をし――」
突然室内に閃光が走った。
一瞬ではあったが室内が明るくなり、一瞬で暗くなる。
左耳から焼け焦げたような音が聞こえてくるため、視線だけ左に移すと薄っすらだが煙が目に映った。
視線を戻して閃光が走ったところを見ると、それはボルグの元から発せられたものであり、手元からだと理解した。
暗い部屋の中、視界が慣れてきたのだろう。
ボルグの手元をよく確認すると、それは坂本刑事の命を奪った凶器”レーザー型銃”が握られていた。
今まで持っていなかったレーザー型銃を今のボルクがどうして持っているのか。
いや、待て……目の前にいるのは本当に”ボルク”なのか?
疑問が頭の中で飛びかまう中、黙っていたボルグが突然話しだす。
「勝手にあれこれと質問をするな。質問をするのは”オレ”の方だ」
あからさまに違う口調に黒田は黙って様子見をする。
それに気分を良くしたのか、淡々と喋り始めた。
「なに、簡単なことだからそんなに怖がるなよ。オレの”質問”に、あんたが”答える”」
「ただそれだけだ……な?とても簡単だろう」
ボルクは椅子からデスクに飛び移ると行基悪く座って、レーザー型銃を黒田に向けて標準を合わせる。
それは真っ直ぐ、黒田の顔を定めていた。
銃を向けたまま、ボルクは宣伝した。
「さあ、始めようぜ……”クローズドクエスチョン”だ」