表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
-outburst-  作者: ロロル
chapter/03-亡き者の影を追って-
11/23

01


 2120年05/20. -22:30-。


 雨はすっかり止み、むせった臭いが裏路地に漂っている。

 ボルグを家に帰らせ、黒田はまた繫華街の裏路地に来ていた。

 犯行現場から近い酒場に黒田は向かっていた。つまり隠れ酒場だ。

 観測者達から得た情報によると、ここで坂本刑事が話していたという映像が見られた。映像にはまだ生きていた坂本刑事が写っていた為、推定するに数週間前の姿だろうか?

 多く酒を摂取したらしいが……一体彼に何があったのか。

 そうこう考えているうちに例の酒場に来ていた。

 さてと……こういった場所は、一見さんお断りであることは相場が決まっている。だからといって紹介してくれる人もいないわけだが、それでもここに入れる合言葉があるらしい。

 どれ、それに賭けてみることにした。

 黒田はまず玄関前に立ち、タッチパネルに触れる。するとタッチパネルから機械音声が発せられ、パスワードを求めた。

 「ブラックか、ホワイトか」

 ()()()()()()()()

 それを意味するものが黒田には分からなかったが、観測者から得た情報で合言葉の答えを話した。

 「グレーだ」

 そう答えると玄関上にあるテンプレートがclose(閉じる)からopen(開ける)に替わる。

 玄関は拒んでいた者を受け入れるように自動で開いた。

 黒田が酒場に入って行くと、突き刺すような視線のお迎えが待っていた。玄関に受け入れてもらえたが、中に居る人間まで受け入れてもらえるとは限らない。何事もなかったのように黒田は視線を無視しながらカウンター席にへと座る。

 カウンター前に居る酒場の店主が黒田に背を向けながら注文を聞いてきた。

 「飲み物は?」

 黒田は酒を注文する。

 「”正しき心”を頼む」

 すると背を向けていた店主が黒田の方を振り向き、顰めた顔を見せた。

 「あんた警察か?ここに何ようだ」

 「おいおい急になんだよ、せっかく飲みに来たのに酒無しかい?酒がなきゃ話たくても口が回んねえな」

 「……正しき心(ジンバック)は坂本が好きな酒だ。なんで知ってんだ」

 黒田の隣にいた客がそう語りかけてきた。黒田は客を見るとそれは見知った人物だった。

 ……そう、今日聞き込みをした繫華街の店の店主だった。

 他の席に座っている連中らにも、聞き込みをした人達が何人か見られる。

 この状況では下手なことは言えないだろう。黒田は鎌をかけるべく、噓を装った。

 「ああ、坂本刑事とはだいぶ前の仕事仲間でな……連絡もなくて、突然亡くなったもんだからよ、真相が知りたくてな」

 そういうと酒場の店主が突然笑い出した。今度は黒田がその笑いに顔を顰める。

 「さてはあんた、噓が下手だな?」

 「……なんで噓だって思う?」

 「そりゃ噓だってわかるさ、なんだって坂本は警察を()()()いなかったからな」

 そう言って店主は黒田の前に酒が置かれた。だがそれは、注文した物とは違うものだった。

 「注文したやつと違うぞ」

 「これはジントニック、”強い意志”というカクテル言葉です」

 店主は黒田を真っ直ぐに見つめて、決意したように言った。

 「この強い意志(ジントニック)は私達の現れです。きっとあなたがここに来たのは、何かの運命でしょう」


 「黒田さん、あなたに”依頼”をお願いしたいのです」

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ