42 閑話⑦ 女神達の呟き
体調不良が続き暫くぶりになりましたm(_ _)m
豊穣の女神セレースは、知的生命体の宿る数多の星をぼんやりと見つめていた。
すると、水の女神ユートゥルナと、浄化の女神サルースをはじめ、幾柱の女神と意識が繋がった。
「あら、女神さま方お揃いでなあに?」
「知っていてお聞きに?」
サルースがクスクスと笑う。
「セレース様の蒔いた種が、また芽吹いたようですね」
ユートゥルナが微笑む。
「豊穣の女神ですもの、種が芽吹いて花開かせるのは当たり前でしてよ」
女神達が一斉に笑い出す。
セレース達女神は、星の危機を一早く察知し、星を救済するためあらゆる手段を講じて種を蒔くのだった。
とはいえ、それは女神達にとってちょっとした退屈凌ぎでもあったのかもしれない。
時空を超え星々に種という名のネタを仕込むのだ。
「小説、それとゲイムだったかしら? 人の子の生きる世界や時代に合わせたそうだけど、色々とご苦労なことね?」
サルースが大袈裟なほど心配顔で言った。
「本当に種を蒔き植物を育むのだったら、朝飯前なのだけどね」
セレースは溜息を吐く。
小説の場合、本の材料となるパルプや天然の染料なら自分の範疇だが、ゲイムに関すること、テクノロジーとなると珍紛漢紛なのだ。その筋に明るい神々にコンタクトを取り、話を理解してもらい、引き込み、種を蒔く手伝い(ほぼ丸投げ)をしてもらうのには、少々知恵を絞った。
サルースが薄く笑う。
「それで、私達は知らず知らずの内に、あの人の子に力を授けてしまっていたと?」
ユートゥルナは自分の肩に手をやり、凝りもしないのに首をコキコキと動かした。
「道理で、この頃ちょこちょこ力が持っていかれるような感覚があったのねー」
棒読みだった。
「前の星で、その人の子は私が蒔いたゲイムという種を育てていたの。そして、ただ一人、秘密の扉を開き女神の呪文に辿り着いたわ」
首を傾げてサルースが言った。
「その影響で、違う星にピョーンと?」
「……さあ」
セレースは視線を少し漂わせた。
「そう言えばちょっと前にも、似たようなことがあったかしら?」
ユートゥルナが思い出したように言った。
それは、小説を読んだライアンの曾祖母、マリアを指していた。
その他の女神達は生温かな瞳で空を見つめていた。
「コホン!」
セレースが話をぶった斬るように咳払いした。
「この、人の子の名はマリサ。今見えている星のここ、ロンド王国にいるわ」
女神達はそれぞれのヴィジョンでマリサの姿を確認する。
「本当に、この星の子ではないのね」
「ちょっと瘦せすぎているようよ」
「あら、寄り添っているのは神獣じゃない?」
セレースも神獣と呼ばれたもっふもふのシロリンを見るなり、蕩けそうな笑顔になる。セレースは女神界きってのもふラーで、シロリン推しだった。
ユートゥルナが悟ったように話し出す。
「それで、その人の子を見守ればいいのかしら?」
「うふふ、話が早くて助かるわ。ね、皆様も協力してくださるでしょう?」
女神達は、それぞれやれやれといった顔になりつつ笑って賛同してくれる。
セレースは、シロリンの笑顔と、一見すると折れそうなようだが、その実雑草のようにしなやかなマリサを見つめて頷いた。
「では、皆様、これからは本腰を入れて、マリサとシロリンちゃんを見守ってくださいね。そして、存分に女神の力を授けてくださいね」
こうして、マリサ自身はまだ気が付いていないが、呪文を唱えることなく、女神達の力を放つことができるようになったのだった。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
次回は本編に戻ります。




