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箱庭?のロンド ―マリサはもふ犬とのしあわせスローライフを守るべく頑張ります―  作者: 彩結満


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28 教会の女神像① ~四日目

 お越しくださりありがとうございます。今年初の更新が少し遅くなりました。

 明日も更新致します<(_ _)>



 皆が教会の中へ入る前に、マリサはアイテムボックスから物資を取り出すことにした。

 事前の話し合いで、マリサが自分の収穫物をこの村へ配分することとなったのだ。

マリサのアイテムボックスには、他の魔術師から預かった食料やフルーツジュースとワイン等の飲料に、薬や、衣類、毛布や、その他の細々とした備品もあり、それらも数名の住人等と一緒に入り口まで運んだ。


「わたくしは、この教会と教区の代表で、司祭を務めております、ミシェールと申します。なんとみずみずしく、大きな野菜ばかりでしょうか。こんなに沢山の物資を、誠にありがとうございます」


 白い光沢のあるローブを纏った大柄の老人が、胸に手をあてて頭を下げた。


「ど、どうぞ、頭をお上げください」


 マリサが恐縮していると、ミシェールは頭を上げながら、マリサの横にいるシロリンに、バチンッと音が鳴りそうなほどのウィンクをしてほれぼれと言った。


「はぁあ、なんと美しいワンちゃんでしょうか。これは、うーむ、面白いですねぇ。今でも素晴らしいですが、更に、更に、強く、立派になられることでしょう」


 司祭はつぶらな瞳をパチパチキラキラ、腕をわきわきさせている。


「ワフゥ?」

「撫でても?」


 蕩けそうな笑顔で聞かれ、マリサはふんふんと首肯した。


「はぁぁああ……」


 司祭の止まらないわしゃわしゃの勢いに、若干腰が引け気味のシロリンだった。


「し、司祭様」


 村の長老と思しき髭を蓄えた老人が、苦笑いを浮かべて、ブランカと共に、司祭の袖をひっぱって教会へと連行していった。


「しばし、ご辛抱ください!」


マリサに向かって、剣士が深々と頭を下げた。

教会へ入る前に、剣士と魔術師にマリサは呼び止められたのだった。


「本来は、守るべき対象のマリサ様を外で待機させてしまうのはやぶさかではないが、シロリン君は、私達より頼りになるからその点では不安は少ないです」


 魔術師がシロリンを見て「マリサ様を守ってくれな」と付け加えると、シロリンは任せろとばかりに、


「ワフ、ワフッ!」


と吠えた。

 シロリンを見てうんうんと頷きながら、剣士が話す。


「中にも、負傷者が数名いますが、見張り以外の住人は皆軽傷ですので、ご心配ありませんように」

「では、後で交代に参ります」


と、申し訳なさそうに二人は頭を下げた。

ロバジイは、内緒話よろしくマリサの耳元で、


「コカトリスの羽根は一つ無くしてしまったらしい、参ったなぁ」


と言ってニヤリと笑った。

思わぬ心遣いに胸がじんわりと温かくなった。

果たして、インドアでへなちょこなマリサが、この羽根の助けなしで険しい行程を乗り越えられただろうか……。胸に着けているコカトリスの羽根に、そっと手を添え、マリサは深々と頭を下げてロバジイ達を見送った。


ちょっと寂しい気分なっているマリサに、シロリンがぴったりと寄り添ってきた。嬉しいものの、本犬はそんなつもりはないだろうが、微妙に体重をかけられていて、踏ん張っていないと倒れそうだ。


(も、もたれないでー、重いよ君ぃ)


脚をじわじわとずらしながら、ゆっくり閉じて行く教会の扉を眺めつつ、マリサはふうっと息を吐いた。


「二人きりだねぇ」


 マリサ達の向こうのバリケード前には、見張りが二人立っているのだが、彼らは教会を背に立っているため、『二人きり』という気分なのだ。

 シロリンを抱きしめたり、わしゃわしゃ撫でている内に心が凪いできた。


「ずっと守ってくれて、ありがとうね」


 なんといってもシロリンが活躍してくれたおかげで、こうして無事に、初めての魔物討伐を切り抜けられたのだ。

シロリンがいなかったら、まだ畑もできていなかったかもしれないし、ここにいることもなかったかもしれない。だが、既にシロリンのいない生活など考えられない。

シロリンは嬉しそうに尻尾をわさわさ振りながら、マリサの顔や手をべろべろ舐めてくる。


「うはは……、くすぐったいよ」


 暫くしてシロリンが寝そべると、マリサは、う~~っと伸びをした。

ロバジイも剣士も魔術師も、気持ちのよい人達ではあるが、それでもやはり緊張はするし、気も遣う。なにより、魔物の襲撃は、肉体的にも精神的にもくるものがあった。

マリサにしたら、張り詰めていたのが解き放たれ、「やっとシロリンと二人きりになれた!」という想いなのだ。


「(とはいっても)逸れ(ハグレ)魔物が出るみたいだから、気を抜かずにいなくちゃね」


マリサの呟きを拾ったのだろうか、ふいに見張りの一人が振り返った。


「魔物は、それほど頻繁には現れませんし、今なら私達も元気ですから、どうぞお任せください!」


 右手親指をくいっと立ててにかっと笑うと、もう一人の強面のおっちゃん見張りの肩をパシッと叩いて向き直る。すると今度は強面おっちゃんがこちらを向いた。


「おうよ。はるばる物資やなんかを運んでくれただけで御の字だ。それに、さっきはびっくりしすぎて、礼を言いそびれちまったけど、姉ちゃん、ほんとにありがとうよ。おかげですっかり怪我も治ったし、身体の疲れも吹き飛んでピンピンしてるぜ!」

「おい、言い方……」


 隣の真面目そうな中年の見張りに肘で突っ込まれているが、マリサは、両手をいえいえと振って笑顔を返す。


「少しでもお力になれたなら嬉しいです」


 先に教会の内部を確認しに行った剣士にも、女神の祝福をと考えていたマリサは、次いで交代に出てきた見張りの二人を見て驚いた。これから任務だと言うのに、結構な怪我をしており、顔には疲労が色濃く現れていて見るからにボロボロだったのだ。

 マリサは、この二人にも女神の呪文を施したのだった。



 すると――

薄いグレイのヴェールを纏っていたような空が明るくなり、空気の質も明らかに変わっていた。

高台にある教会周辺は、下の広場ほど毒と瘴気のガスの影響は無かったものの、それまでは、深呼吸ができるような空気ではなかったのだ。

同じ場所で二度女神の祝福を施したせいもあり、マリサは自分でも無自覚に、空気の浄化もしてしまったらしかった――――


 その時、ブランカの瞳が一瞬、恐れをなしたように翳った。


『……なぜ? あのものが、女神様の愛し子だとでも?』


 だがマリサが放つ眩い光に包まれて、マリサ以外は誰も、ブランカのささやき声に気がつく者はいなかった……。


 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 皆様にとって幸多い一年でありますように!

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