第7話 寝台特急「出雲」
ラジオ番組のニュース速報が流れたのは、DD51の寝台特急「出雲」の入換作業を行っている最中だった。
駅のホームから、貨物列車を貨物ホームへ入れ、DD51の出雲を駅のホームから発車させようとポイント操作をしていた最中、
「高松駅から東京駅に向かう寝台特急「サンライズ瀬戸」が脱線した。死傷者多数。」と言うニュースが流れて来た。
両親が乗った列車だ。
自分は、両親に確認のため連絡を取る。
連絡が付かない。
テレビを付ける。
すると、テレビのニュース速報で、「サンライズ瀬戸」が瀬戸大橋の上で、脱線した対向列車と衝突し、一部車両が海に落ちている映像が流れた。
「ー。」
自分は、何がなんだか分からなかった。
ただ、目の前が真っ暗になったと思ったら、一気に頭痛が襲って来た。更に吐き気、めまい、視力の障害、痙攣などが現れ、ジオラマのテーブルに倒れ掛かる。その時、自分の手が、鉄道模型のパワーパックに触れたらしい。DD51の寝台特急「出雲」が、動き出した事だけ、感覚的にだけど分かった。
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DD51ディーゼル機関車を先頭に、機関車と電源車を含む7両編成のブルートレインは、町を離れ、トンネルに吸い込まれて行く。
その刹那、影法師の車掌が室内灯を付ける。
DD51ディーゼル機関車が、ガラスの笛のような透き通った汽笛の音を響かせ、列車がトンネルを出た時、A寝台個室車オロネ25の個室の中で自分は目を覚ましたのだった。