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第三話 カラーレンジャー 前編 4.動き(9)

 * * *


「ねぇ、あの二人って付き合ってるの?」


 授業の合間の休憩時間。爆弾発言を何気なく口にしたのは白田だった。あの二人とは緑川と黒沢の事だ。

 赤木は昨日見た二人の姿を思い出しながら、驚いて変な声が出てしまった。


「へぇ!?・・なんで?」

「何でって、二人を見ててなんとなく。」

「ヘぇー・・・。」


(すげぇよ。白田。)


 しかし、此処に広樹が居なくて良かった。広樹は部活のミーティングに出ていて今教室にはいない。


「やっぱそうなのかなぁ。あ、広樹には言うなよ。」

「分かってるよ。青山、緑川のこと好きだもんね。」

「・・・なんで知ってんの?」

「見れば分かる。」

「白田すげぇな。」

「どうも。」

「二人とも趣味悪りぃよな。よりにもよって緑川なんて。」


 本気で不思議そうな顔で桃井が言う。


「私が何?」


 すると、耳ざとくそれを聞きつけた緑川がこっちを振り向いた。


「うわっ、地獄耳。」

「あ、悪口言ってたんでしょ。」

「よく分かってんじゃん。」

「桃井最悪。」

「緑川よりはマシだよ。」

「どういう意味?」

「そのまんまの意味。」


 すると、緑川が桃井の手元を見て表情を変えた。


「あ、それちょーだい!」

「駄目。」

「いーじゃん、ポッキーの一本や二本や三本!」

「どんどん増えてるぞ!!」

「俺も欲しい!」


 俺も負けじとポッキーの箱に手を伸ばした。勿論食い意地を張っている訳ではなく、話題をそらす為だ。あくまでそれだ。

 緑川と言い争っている桃井の隙をついて、見事に俺は箱ごとポッキーをゲットした。一本自分の口に咥えると、箱の口を横の緑川に差し出す。


「いただきまーす!」


 ついでに目が合ったので、少し離れた席に居た黒沢にも声をかけた。


「黒沢は?食べる?」

「だからこれは俺のだって!」

「あぁ。俺はいい。」

「だから!」

「桃井、携帯鳴ってるぞ~。」


 興奮する桃井に、俺が机の上にのっていた桃井の携帯を指さした。着信ランプの光っている携帯を桃井は不機嫌そうな顔で手に取り画面を開く。緑川がそれをみて桃井をからかう。


「あ、花穂ちゃんだった?」

「ちげーよ。ただのダイレクトメール。」

「なんだ。残念だね。」

「・・・・。」


 桃井は黙って緑川を睨みつける。だが、当の本人は気にせずポッキーの箱に手を伸ばしていた。すると、先程まで笑って見ていた白田の表情が変わった。真剣な顔をして、突然自分の携帯を取り出すとその画面をじっと見ている。


「白田、どうした?」

「うん・・・。」


 皆の目が白田に集まる。

 だが、休憩時間が終わるまでそれ以上白田が何か言うことはなかった。

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