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第三話 カラーレンジャー 前編 4.動き(8)

 * * *


「あ?いや、昨日はしゃべってねぇなぁ。」


 教師とは思えないほど、気の抜けたしゃべり方をする担任に「そうですか」と言葉を返した。

 僕は生徒会立候補の用紙を担任に渡しに職員室へ行き、ついでを装って話をふってみた。だが、どうやら僕の立候補の情報が漏れたのは担任からでは無いらしい。


(なら、高橋先生か・・・)


 職員室を出て、僕は頭を捻った。

 もし、高橋先生にこの事を僕から確かめたらどうなる?高橋先生が犯人に話したのなら、僕に訊かれた事自体をまた犯人へ話す可能性がある。


(確認ができないのなら推測で絞っていくしかないか。)


 高橋先生が話すとしたら、可能性が高いのは現在の生徒会の生徒達だろう。たが、現生徒会役員が立候補者に嫌がらせをする理由なんてあるのだろうか。自分達はすでに役員に就任している身だ。これから生徒会に入る生徒との関わりは引継ぎぐらいのもので、彼らの学校生活にそれほど影響するものだとも思えない。


(むしろ、後は引退するだけの身なのに・・・。)


 でも、もしそうだとしたら?僕達に嫌がらせをする理由が生徒会役員にあるだろうか?もしくは、立候補したのとは別の理由で?

 もう一度頭を整理する。警告と書かれたメモ。濡れた靴。僕と西ノ宮さんだけへの嫌がらせ。


(僕と西ノ宮さんはあの日まで会ったこともない。共通点は生徒会役員に立候補した事だけ。)


 いくら考えても僕らに他の共通点など見あたらない。共通点がないのなら、他の立候補者と僕らに何か犯人にとって重要な違いがあるという事になる。


(違い、か。)


 僕から見ても分からない、犯人にとって立候補者を判別する基準がある訳だ。

 嫌がらせが始まったのは二学期に入ってすぐ。犯人が僕らに目を付けるとしたら一学期の内だろう。

 一学期。何かあっただろうか。自分でも見逃している、いつもと違う何かが無かったか?イベントなら体育祭。だが、そんなもの生徒会とは関係ない。


(後は・・・)


 答えのない思考にはまっていくような感覚を覚える。頭の中に色の無い生ぬるい何かが頭の中を占めていく。こんな時は決まって考えが進まず、気が重くなる。

 その時、ふと昔聴いた言葉が浮かんだ。


『もっと気軽でいいんじゃないかなぁ?』


 思わず口元が緩む。


(西ノ宮さんにも一学期のことを訊いてみるか。)


 全体が見えなくても、少しずつやれることはある。

 僕は一度深呼吸してから、携帯を取り出した。

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