第二話 恋愛 6.罰ゲーム(3)
カラオケボックスを出た俺達は今度はカフェに移動して、それぞれ適当に腹におさめた後解散した。白田と赤木はCDショップへ寄ると言うので、俺は緑川と駅へ向かう。
二人だけになったので、俺は気になっていた緑川の発言について突っ込んでみた。
「なんだよ、アレ。」
「何が?」
「好きな奴いないって。今更じゃね?」
少なくとも俺と白田は黒沢の事が好きなのは知っているのだ。あれだけ皆が正直に話したのだから、別に隠さなくてもいいじゃねぇか。
そう思って言ったのだが、緑川の回答は俺の予想外のものだった。
「今はいないの。」
「は?」
「失恋したの。」
「・・・・・マジで言ってんの?何?フラれたって事?」
「そんな感じ。もういいでしょ。」
本人から聞いても信じがたい話だった。俺の目から見て黒沢は緑川に少なからず好意を持っていた筈だ。
付き合う程じゃないって事だったのか?それとも今は彼女が欲しくないとか?
黒沢の顔を思い浮かべてみる。自分の事はあまり話さないし、読めない奴だが、まさか緑川をフるとは思ってなかった。
まぁ、俺が何を思ったって、終わっちまったもんはどうしようもないか。黒沢に話を聞きたい所だが、そこまで首を突っ込むとただの野次馬だ。
「ひと夏の思い出だな。」
「うるさいな。傷心なんだからなんか奢ってよ。」
「なんでそうなんだよ。」
「アイス食べたい。」
「100円までな。」
「ケチっ!」
「奢んなくてもいいのか?」
「税込み100円?」
「消費税分位出してやるよ。」
「やった!じゃあコンビニ行こうよ!」
ヘコましちまったかとビビったが、とりあえず大丈夫そうだ。
コンビニで二人分アイスを買うと、俺達は食べながら駅へ向かった。