第二話 恋愛 5.キャンプ(4)
残念ながらコテージに風呂は付いていない。今日は利用客も多そうだし、施設の浴場があまり大きくない事もあって俺達は二組に別れて風呂に入る事になった。
先に赤木、青山、黒沢の三人が風呂に行ったので、俺と白田は余った菓子を摘みながらそれを待つ事にした。
「白田。」
「何?」
「これから何か行動起こすと思うか?」
「誰が?」
ぜってぇ分かってて惚けてやがる。
こうゆう時の白田は誤魔化したり回りくどい言い方をしては駄目だと分かっているので、俺はすぐに名前を出した。
「青山と黒沢。どっちかが。」
「青山はやりそうだけど、花田さんもいるから緑川と二人きりになるのは難しいんじゃない?」
「あぁ、そうかもな。黒沢は、やりそうにねぇか。」
「緑川と桃井ってどっちかの性別がもし逆だったら、すごい気が合いそうだよね。」
「は?」
話の途中で突然訳の分からん事を言う白田に、菓子袋に伸ばした手を止めて、呆けた顔で見返してしまった。
「なんだそれ。」
「二人は良く似てるって話。」
「げぇ。どこがだよ。」
質問ではなく否定の意味で言ったのだが、白田はわざわざ説明を返してくる。
「口が悪いけど人のこと放って置けない所。」
「・・・・。」
「緑川が心配だから色々探ってるんだろ?」
「・・ちげーし。」
「桃井に彼女が出来た事聞いた時、緑川すごい喜んでくれたもんねぇ。」
「あれは面白がってたんだろ?」
「おまけに早瀬さんの事もあるしね。」
「なんでお前の言葉って全部断言なの?」
「あれ?なんか間違ってた?」
「・・・・ムカつく。」
「話題ふってみる?」
「何?」
「修学旅行とかで寝る前に女子が良くやるでしょ。恋愛の暴露話。」
「あぁ。・・お前がやんの?」
「いいよ。その代わり桃井は洗いざらいしゃべる覚悟しておいてよ。」
「それはお前もだろ!」
「僕ネタ無いし。」
「出たよ。ずりぃ。」
「桃井は幸せなんだからいいじゃん。」
「まぁ。けどあいつらがしゃべるか?特に黒沢。」
「さぁ?それは聞いてみないと分からないよ。」
「今更だから俺はいいけど、あいつらがだんまりだったら最悪じゃねぇか。」
「いいじゃん。桃井は幸せアピールするだけなんだし。」
「・・・。お前、俺の事嫌いだろ。」
「そんな訳ないだろ?仲間なんだから。」
「・・・・・・・ウルサい。」