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第一話 仲間 3.お手伝い(2)
緑川の嘆願を、俺は片手を挙げて断った。
まぁ、日頃の行いの差だ。
すると、
「しょうがないな。」
そう言ってお人好しの青山が席を立った。
ほっときゃいいのに。
「あいつ本当に赤木の保護者だな。」
と誰ともなしに零すと左隣の白田から言葉が返ってきた。
「それだけじゃないと思うけどね。」
「どーゆー意味?」
「桃井には内緒。」
「なんだよ、ソレ。」
こうなったら白田は簡単に口を割らない。何か面白い事が起こっても、こいつは黙って一人で楽しむタイプだ。人の良い顔した根性悪。だが敵に回すと厄介なので、本人の前ではその事については言及しない。
俺はそれ以上追求せずに、目線だけで教室を出る3人を見送った。
白田の言葉の意味を考えてみるが、俺にはさっぱりだ。