第二話 恋愛 2.メールアドレス(7)
訊きたいことがあるけど訊くことは出来なかった。早瀬さんが言っていた同中の奴が好きだって話。
今まで恋愛話など誰ともした事は無い。増して緑川相手に自分から話を振るのは至難の業だ。
他の奴等なら知っているだろうか。かと言って、青山に訊く気にはなれなかった。
電車の中で携帯のアドレスを見る。そこには先程交換したばかりの緑川の名前があった。
メールしようにもなんて書いたらいいのか分からない。もともと必要に迫られなくてはメールなどしない方だから、何か用事を作らなければ緑川に連絡を取るのは難しそうだ。
溜め息が出る。
メールなんかで今まで悩んだ事はなかった。それもそうだ。今まで用が無くても連絡を取りたい相手なんて居なかったのだから。
すると携帯のランプが光った。マナーモードにしているのですぐにバイブで震える。
届いたメールを開けると残念ながら、相手は自分の想像した人物ではなかった。
早瀬里美、とディスプレイに表示されている。最近早瀬さんからはメールが一日に一件は必ず届いている。大概は他愛の無い話なので適当に返しているが、正直いつも返答には困っていた。
そして今回のメールを開くと、いつも以上に困った内容だった。