第二話 恋愛 2.メールアドレス(4)
昼休み。
教室で昼飯を食っている時、携帯が鳴った。皆自分の携帯かとポケットや机の上を見る。
すると青山と黒沢が同時に手にした携帯を開いた。
「すげぇ。同時?」
4個目のパンの袋を開けながら、赤木が言った。それを見て桃井は眉根を寄せた。
あいつ何個食べる気だよ・・。
「・・・・。」
「あぁ。」
黒沢は無言で、青山は言葉短に応じる。
だが、二人の顔はなんか妙だ。苦い顔をしながら携帯を見て、直ぐに閉じた。それが気になって口にしてみる。
「女からか?」
冗談のつもりだったが二人は微妙な顔をする。
もしかしてビンゴだったか?
「お!何々?」
「赤木。口の中カラにしてからしゃべりなよ。」
口をもごもごさせながら二人の反応を見て興味津々に口を挟む赤木に、白田がまるで母親のような注意をする。
青山と黒沢はお互いに顔を見合わせて、何も言わずに顔を逸らした。
すると、今度は俺の携帯が鳴る。
「おぉ。桃井もか?」
嬉しそうに言う赤木に、俺は携帯の画面を見せた。
「緑川だよ。」
「なーんだ。」
失礼な話だが、緑川では話の種にはならない。
ふと二人を見ると、何故か同じ顔して俺を見ていた。
「お前らは緑川からじゃないのか?」
悪戯心でそう言うと、二人は珍しく嫌そうな顔を見せた。
これはこれで面白い。