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第二話 恋愛 2.メールアドレス(2)
「黒沢!おはよう。」
「おはよう。」
自分より頭一つ分位大きな黒沢の顔を見上げる。しかし、いつもと同じ無愛想な顔が見えるだけだ。
(別に何も違わないよな?)
赤木は昨日の緑川の言葉を思い出しながら、下駄箱から教室までの廊下を黒沢と並んで歩いた。
「どうした?」
「あー、いや。何食ったらそんなにでかくなれるんだ?」
「さぁ?」
「家族も皆でかい?」
「そうでもないな。」
「へぇ。いいなぁ。」
「赤木は、小さくは無いだろ?」
「いや、男の中じゃそんなにでかくもないぜ。中の小ぐらい。」
「そうか。」
「なぁ。」
「ん?」
「黒沢って悩みとかあんの?」
「・・・・。」
そこで会話が途切れた。見ると黒沢の表情が固まっている。
あれ?もしかして俺、核心ついた?
「・・なんで?」
「なんとなく。」
「・・・・。まぁ、悩みは、あるけど。」
「へぇ!どんな?」
「どんなって・・」
「じゃあ大雑把で良いから教えてよ。勉強とか進学とか恋愛とか、色々あるだろ?」
「・・・・。進学。」
「へー、そうなんだ。大学何処にするかって事?」
「まぁ、そんなもん。」
「ふーん、そっか。あ、緑川!」