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第一話 仲間 3.お手伝い(1)
「次の授業の教材運ぶから手伝え、レンジャー」
ある日の授業合間の休憩時間中、突然担任が教室に顔を出したかと思うと、開口一番そう言った。
「はぁ?」
黒沢を除く私達5人が一斉に声を上げる。
「なんだ?お前ら正義の味方だろ!平和の為に協力しろ。」
「えー!やだよ。日直とかでいいじゃん。」
赤木の言い分はもっともだ。
すると担任は目を、いや眼鏡を不気味に光らせた。
「ほー。そんな事言ってていいのか、赤木、緑川。積極的に教師の手伝いをすれば内申点が上がるかもしれないぞ。お前らに断る余裕があるとは思えないけどなぁ。」
「まじで!やる!」
「それ脅迫だよ・・・。」
赤木はまるで子犬の様に喜びながら、私は渋々ついていく。すると他の皆は席から動かない。
嫌な予感がして、私が白田に目で訴えると、
「僕成績に困ってないし。」
「右に同じ。」
白田に続いて桃井が嬉しそうに手を挙げる。次に黒沢を見れば「悪いな」の一言。
仕方なく肩を下げて私は教室を出た。