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第一話 仲間 8.体育祭(6)
よりによって白田に言うなんて、
「最低だ、私・・・。」
自分がこんなに卑怯だなんて思わなかった。白田なら許してくれるとでも思ったのだろうか。
ううん。違う。
別に私は許されたいわけじゃない。
ただ少し、引き止められるのが怖かっただけだ。白田は優しいから、私の事を止めたり出来ないだろうと分かっていて私は・・・。
振り返る事が怖くて、すぐに靴を履き替えて学校を出た。
白田がどんな顔しているかなんて見たくない。明日の事なんて今は考えたくない。
頭の中を振り払うように、歩くスピードが段々と速くなっていった。