第一話 仲間 8.体育祭(1)
体育祭当日は見事な快晴だった。
中学とは違い比較的自由な高校の体育祭は生徒達の盛り上がりも大きい。
僕達のクラスは予想通り、飛び抜けて優秀な成績を残してはいないものの、重視される競技に運動能力が高い生徒を配置したお陰で現在三位につけている。
予想外だったのは緑川の運動神経の良さだった。女子とは体育の授業で別々になる事も多いし、部活もやってないので分からないのも仕方ないが、100m走で陸上部を抜いて1位を獲ったのだ。
(緑川をリレーに入れるべきだったかもな。)
そんな事を考えながら、僕は午前最後の競技、綱引きを終えてクラスの席に戻る。
「お、白田。お疲れ!」
「お疲れ様。赤木は午後の二人三脚までしばらく競技は無し?」
「そう。」
「皆は?」
「昼メシ買いに行った。」
「赤木は行かなくていいの?」
「200mで1位とったから広樹のオゴリ!」
「あぁ、そっか。青山は2位だったもんね。」
「そうそう。ま、相手が悪かったよな。」
「まさか陸上部のトップと当たるとはね。」
事前の情報から陸上部員と同じレースになるのはできるだけ避けた順番にしたのだが、土壇場で相手側が変更してきたのだ。
仕方のない事とはいえ、お昼ご飯を賭けていた青山にとっては気の毒な結果だった。
「じゃあ僕も買いに行ってくるよ。」
「あ、白田の分もついでに買って来るって言ってたぞ。」
「本当に?じゃあ待ってよっか。」
ジリジリと肌を焼く日光に目を細めてグラウンドを見渡した。周りの生徒達は既に日影の場所や校舎内で各々お昼休憩に入っている。
午後からは更に暑くなりそうだ。