第一話 仲間 7.準備(5)
「緑川は駄目だって。」
そう言って赤木が携帯を閉じた。
放課後だというのに、緑川は周りの目を気にしているのかもしれない。
あいつも大変だよな。他の女子ならともかく、一番仲のいい女友達が青山の事が好きなんじゃ、この場に一緒に来る事はできないのだろう。
練習を終えて着替えた俺達は、赤木が腹が減ったと言うので帰りがけにファミレスに寄る事にしたのだ。
それを赤木が緑川に連絡したのだが、俺の予想通り緑川は断ってきたらしい。
多分、赤木・青山はその理由に気付いていないだろう。気付かれない方が、緑川にとっても良いのかもしれない。
赤木は着替え終わった黒沢にも声を掛けた。
「黒沢は行くよな?ってか、来て。」
「いいけど・・。」
「だって黒沢となんか食べに行くとか中々ないじゃん。じゃ、行こうぜー。」
まぁ、確かに。黒沢とはじっくり話してみたいと思ってたしな。緑川が居たら聞けなそうな事をこの機会に聞いておこう。
俺達は緑川・白田を除いた四人で学校を出た。
緑川には携帯のメールで『気苦労が多いこったな。老けるぞ。』とだけ送っておいた。
さて、黒沢からはどんな話が聞けるかな。