第一話 仲間 5.動物園(9)
「青山!写真!」
「え?」
「私あれやるから写真撮って!」
見ると緑川は巨大な蛇を首に巻いて、写真を撮る事が出来るコーナーを指さしている。
(一緒に撮ろう、じゃなくて撮ってなのか・・。)
溜息を付きたいのを我慢して、俺は緑川からデジカメを受け取った。
緑川はおもーい、と叫びながらも蛇を首にかけて笑っている。その笑顔が本当に楽しそうで、俺もつられて笑った。
写真を撮って飼育員の人に蛇を降ろしてもらうと、緑川は俺の所に来てデジカメを受け取る。
「はい、じゃあ交代。」
「は?俺もやるの?」
「トーゼンでしょ!せっかく来たんだから。思い出、思い出。」
「えー。」
早く、と言われて俺は笑顔の飼育員に肩に蛇を乗せられる。
「・・・・・。」
なんつーか、このままじゃ面白くない。
「緑川!」
「?」
「一緒に撮ろうぜ。」
彼女がでもカメラ、と言うと、係の人が撮ってくれた。
初めてのツーショット写真が蛇を巻き付けた姿だったけど、楽しかったし、俺も彼女も笑顔の写真だから良しとする。
「その写真現像したらちゃんとくれよ。」
「あれ?欲しいの?」
さっきは嫌がってたのに、と彼女が言ったけど、
「思い出、思い出。」
と言って誤魔化した。