飯石成男40歳童貞の恋。⑤
飯石『遅くなる前に帰るぞ。親御さんも心配するだろうしな』
千沙子『はい!』
——————————————————
酒が入ってるせいか一緒に駅に向かい歩いてると今日はやけに彼女の距離が近く肩や腕が当たってくる。
千沙子『先生のマンションてたしかここから近いんですよね?』
飯石『ああ、一駅分。歩いて5分で帰れる距離だ』
飯石『千沙子…』
千沙子『はい、なんですか?』
飯石『ウチ来るか…?』
カランカランカランカラン………
千沙子『え?なんか言いました先生?』
飯石『…何でもない。気をつけてかえれよ。
ニンジャ…じゃなかった。痴漢に襲われないようにな』
千沙子『はい!先生もお気をつけて!痴漢に襲われないように』
飯石『バカか。俺が襲われるワケないだろ。』
千沙子とフミキリを渡って駅に向かう教え子の後ろ姿を暫く眺め、俺も踵を返し自分の家に帰ろうとした。
その時だったーー
『ニンニン!』
ズバァァァッ‼︎‼︎
飯石『え?』
振り返ると電灯の下、忍者に日本刀でハデに斬られ血飛沫が吹き荒ぶ教え子の姿が目に飛び込んできた。
飯石『う、ウソだろ…お持ち帰りするシナリオは回避したはずなのに…』
どんなルートを辿ろうが未来(結果)は変わらない……このデッドエンドのシナリオは回避できないってのか…
理解した瞬間には超スピードで日本刀を持って向かってくる忍者に対応できず、自分の血飛沫とともに目の前が真っ暗になった…
『ち、ちくしょう…ま、また救えなかった…千沙子ぉ…』
…………………………………………………………………。
…………………………………………………………………。
…………………………………………………………………。
…………………………………………………………………。
…………………………………………………………。
…………………………………………………。
………………………。
……………。
………。
……
『先生、大丈夫ですか〜?』
『はっ!』
目を開けると俺は居酒屋のトイレの中に居た
完