表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/32

1


「は? 『小説家』? オイ、なんだそれベル」


 金髪刈り上げのいかつい男が、強い語気で言った。


「あはっ、なにそれ。そんな聞いたことないんだけど!」


 続いて、同じく金髪で派手な女がそう言って笑う。



「……。僕も、そんな職業は聞いたことがない。きっと精霊協会側の設定のバグだと思う。でも、なってしまったものは変えようがないし……悪いがベル、君を、ウチのパーティから解雇させてもらう」


 パーティのリーダー。心優しそうな青年だが、戦力外となってしまったメンバーをそのままチームに入れておくことはできない――レベルアップし、職業が『小説家』となってしまった男に対し、はっきりと、解雇を命じた。




 戦力外通告、並びにパーティ解雇を命じられた男――ベルは、しかし特にショックを受けた様子はなかった。


 ただ平然とした顔で、言う。


「役に立てなくて悪かった。今夜中に荷物をまとめて、明日の朝、出ていくよ」





 せっかく貴重な上位職″賢者″になれるよう期待されてこのパーティに誘致されたが、その期待には応えられなかった。ぶっちゃけ自分は特に気にしていないが、一応、彼らには申し訳ない。


 ――そう思ったベル。


 その夜。滞在していたギルドの寮部屋で、早々に荷物をまとめ終えると、彼は机に向かう…。



 スキルを発動した。

 紙とペンが、出現する。


 そして、感じるままに、ペンを走らせるのだ。



 ″小説家″のスキル。それはまさしく職名のまま、『執筆』――小説を書くことだ。




 頭で考えるのが先か、手が動くのが先か・・・自分でもわからない。

 目にもとまらぬ速さで一作を書き終える。そのまま二作目へと着手する。そうして夜が更けるまで、冒険者ギルドの寮の一室の灯りが落ちることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ