88 偏愛
ババールのギルマス ズンドは、難しい顔で腕を組み 最後まで話を聞いてから口を開いた。
「ふぅ~ 君たちの訴えは分かった。天空の鷲にも詳しい事情を聞いて判断したい」
「信じてもらえないんですか?」
サザンが、やや強い口調で詰め寄る。
「いや そうじゃない、一応形としてやらなきゃならんのだ。君達はいつまでここに?」
「明日 帰る予定です」
「今日中に片付ける。スマンが、明日立つ前にギルドに顔を出せないか」
話し合いの結果「明朝までに 天空の鷲の処分が下る」と言われ、出直す事にした。
前から 付き纏われ迷惑していた件も含め話したせいか、セルジュはタリアとの関係を事細かく聞かれ、ギルドからの帰り道 辟易した表情だった。
「ハァ 身に覚えが無い事でも探られるのは、気分が悪いな」
肩や腰に触れなかったか?とか口説いた事は?など事細かく問われ、同情した仲間が軽く肩を叩き言葉を掛けた。
「身の潔白の証明なんて 水掛け論になるよな」
「初対面が、初心者ダンジョンじゃなくて良かったよ」
「ソロでいたのは、あそこだけだからな」
トリルとスミスは、しつこく絡まれる発端を作った事に意気消沈したが、そんな二人をリーが「気にするな 放って置いた俺達にも責任がある」と宥めている。
そこで「今日は、打ち上げだ。フォレドラゴンの肉を食うぞ!」サザンの発言で、わっと歓声が上がり ようやくみんなの表情が明るくなった。
次の日 ギルドの一室で天空の鷲と対峙する。
天空の鷲の処分は、ランクの格下げとボク達8人に対する接近禁止。
そして ババールへの立ち入り禁止命令だった。
勿論 ダンジョンも同様だ。
罰則を聞いた天空の鷲は、肩を落とし項垂れていたが、一人だけ目を吊り上げ わなわなと震えている。
「そんな そんな権利ギルドに無いわ!私達は愛し合ってるの」
その絶叫を聞いたボク達は、呆然とした。
口には出さなかったが、みんな同じ気持ちだったろう。
(オイオイ 何を言ってるんだ?この女)
さらにタリアは、セルジュに向かい「ねぇ 私と会えないと寂しいって、この人達に言ってよ」と 縋るような目で訴えた。
「君の言っている意味が分からない 一度も愛を語った事など無い 君を愛しいと思った事も無い 何度も迷惑だと言ったはずだ」
本気で怒ったセルジュの酷薄な顔 絶対怒らせないと肝に銘じた。
多分 これもみんな同意見だ。
それと直面したタリアは、それ以上何も言えず 身じろぎも出来ないでいた。
今回の処罰は、当然ギルドを通して通達されるので 恥を晒す事にもなる。
自業自得だけどな。
次は追放だと注意を受けていたし 多分大人しくなるだろう。
最後は、後味の悪い結果になったけど 色々経験できたし楽しかった。
ボク達は、漸くアジョンへ帰る。
最後までお読みいただきありがとうございます。
☆☆☆☆☆の評価と ご意見やご感想を寄せていただけたら嬉しいです。
続きが気になるな!と思ったらブックマークをお願いします。




