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77 試される適応力

「空を移動できるなんて、凄いな兄さん達…」


「ノアだって、その気になれば出来るんじゃないか?」


「簡単そうに言ってくれるねトリル。全員運ぶなんて…バランスとか色々考えるとまだまだ無理だと思う」


「何だお前達、聞きたいか?いいだろう俺が教えてやろう」


「リーお前何もしてないのに、何でそんな偉そうにしてんだ?」


「なっ!何でばらすんだよぅ~サザン」


「そりゃ俺が土魔法で板作って、オルムとセルジュの合わせ技で浮かして移動しているからさ」


「へっ?兄さん風魔法持ってたっけ」


「このために努力して会得したんだよ。適性が無かったから威力不足でオルムの魔力に少し加勢する事しか出来ないけどね」


「セルジュは、細やかな魔力操作に長けているから助かってるよ。それに引き換えリーは、風の適性があっても大雑把だから調和が難しくてね。本当使えない」


あ~ぁ、オルムの遠慮ない物言いで、とうとうリーがイジけて壁に向かって独り言を呟きだしたよ…


「俺達の中で風と土を使えるのは、ノアだけか」


「俺の4属性は、矢限定でしか具現化出来ないからな…くっそぉ」


「ぼくの光は、どちらかと言えば支援特化だしね。でも…もしかしたら付与魔法で…ブツブツ…」


スミスは思考の狭間に嵌ったようだ。


「俺は水と氷だしなぁ…」


「空を飛びたいなら、ボク達に合った方法を探そうよ!さっきも遠回りになるけど海路より移動が比較的楽な海底洞窟を選択しなかった。工夫して敢えて海路に挑戦したじゃん」


「僕も驚いたよ、てっきりノア達は海底洞窟を選ぶと思っていたから」


「普段出来ない事に挑戦してみようって、うちのリーダーがノリノリでさ」


「トリルも失敗したら海底洞窟行けばいいじゃんって後押ししてたよね」


激昂が初めてこの階層を攻略した時は、海底洞窟を利用したそうだ。

けど、これから先の事を視野に入れ空を飛ぶ練習をしたと話し、まだ改良の余地があると言ってたな。

ボク達もこのダンジョン攻略が終わったら色々模索しようと、新たな目標が出来た。

そして、小一時間ほど休憩を取りセーフティゾーンを後にした。


―25階層

鬱蒼とした森の中、ベールのような薄い靄で視界が遮られる。

この靄に状態異常の効力があり不気味な幻影を可視化する効果があり、それに惑わさた冒険者がフラフラ彷徨う隙を付きコダマが襲い掛かる…が、まぁ~ボク達に幻覚が効かないので…

コダマの脅威は幻影ありきだから、行く先々でコダマに襲い掛かられてもさして影響が無い。

後ろで激昂の話声がボソボソ聞こえるが、気付かない振りをした。


「俺達もっと苦労したよな…」「ライフか…」


『……』『聞こえないよぅ…』


―26階層

この地に足を踏み出した途端、ムッとむせ返る臭いに顔を顰めた。

熱帯雨林によくみられる大きな葉やシダが道を塞ぎ、高い樹木には蔦が絡まり切れ端が其処此処にぶら下がっている。

さっきの森も空気は重たかったが、もっとさらさらとした感覚だったな、此処は亜熱帯地域のように重たくべとっと肌に空気がはりつく。

毎度の事ライフのお陰で湿気の影響を受けないが、肌に絡み付くような質感までは緩和されないみたいだ。

だけど体調は万全、微妙な感触さえ我慢すればいいんだから、ライフ様様だな。


トリルの大剣で邪魔な葉を払いながら暫く進むと、ラグが「いるぞ」と、小声で注意を促しボク達は足を止める。

スミスがいち早く身体強化を唱え、ラグはスミスから預かってた泥罠を素早く前方に仕掛け距離を取り、トリルの横でガサガサ揺れる草むらを見据えた。


少し前から大きな魔力に気付いて、嫌な予感がしていたけど…生い茂る葉を揺らしぬっと頭を出したのは、やはりサーベルタイガーだった。

出来れば会いたくなかったよ~。

確か予習した手引きに、中ボスクラスとの遭遇は極稀と書いてあったのに…どういう事?オクトパスといいこれで2回目だ…不運続きだな。


その眼光は鋭くとにかく顔がデカイ、牙もあんなに必要?ってなぐらい無駄に巨大だ。

ボク達は、サーベルタイガーから目を離す事無くじりじり後ずさり、何故かサーベルタイガーも歩調を合わせ前にゆっくり進み出た。

無駄な肉が無いガチムチな姿を見せ、あと数歩で罠に届く場所で立ち止まり地面をクンクンと嗅いでいる。


「惜しい…」「デッケェ~」「あと一歩」「気付かれたか…」


気が済んだのかサーベルタイガーは、頭を上げボク達を見据え顔を歪めた。


「!!!!」


「おい、今笑ったのか?」「そう見えたよ!」


「ウガァー罠を仕掛けるとわ小賢しい小僧どもめ」


「!!!!」15mはあろう巨体で罠を軽々と飛び越え、低い唸り声をあげしかも喋ったぁ!


「話せるって事は、筒抜けになるからコッチ使うぞ」

「何コレ?知能高すぎだよ」

「スミスありったけの泥罠俺に寄こせ、数打ちゃ当たるかも知れない」

「ラグとノアで多方面から撹乱してトリルの援護をお願い」


スミスは、トリルの後ろで防御の体制を構え ラグとノアは、左右に散開しトリルは真っ向勝負に出る。

斬撃を放つと同時に突進したトリルの攻撃にタイガーサーベルは、右前足で上からバンッと斬撃を叩き潰し大剣を牙でガシッと受け鈍い音が響く。

その後方でラグは、泥罠をまき散らしノアが背中にプラズマショットを放った。

ビリビリッとした衝撃でタイガーサーベルの全身の筋肉がギュッと引き攣り背中をのけぞらせると、牙に遮られた大剣の枷が外れた。

一瞬のスキを逃さず「もらったー!」と叫んだトリルが目の前に晒された喉元を真横に切り裂く。


「グゥゲェ…」


声にならない掠れた音が漏れ、喉からダクダクと夥しい血を流す。

余裕のあった金色の目は今や焦りの色を見せてた。

タイガーサーベルがじりじりと後ずさったので、さっきばら撒いた泥罠の一つに後ろ脚がまんまと嵌り、何とか足を引き抜こうとジタバタ暴れるが、固定された後ろ脚目掛けラグのアイスアローとトリルの斬撃が唸った。


首を捻り砕け散り失った後ろ脚を目にしたタイガーサーベルは、茫然自失となり完全に動きを止める。

その目には、怯えの色が浮かんでいた。

ボクは、戦意喪失したサーベルタイガーの心臓を逸らした顔の影から躊躇う事無く穿ち、大きな体がズシンと音を立てて崩れ落ち絶命した。

消えたサーベルタイガーのあとには、身体能力が大幅に伸びる皮鎧と巨大な牙が2本残されていた。


「ハァー、喋るなんて書いて無かったよね…」


「さっきのオクトパスも再生するなんて書いてなかったし…」


「勘弁してほしいよな…」


「でも、まぁ~何とかなって良かった」


「4人ともご苦労様、いい連携だったよ」


セルジュが飛んで来てボクの手を取り褒める、他の激昂メンバーもラグトリルスミスの肩や頭に手を置き褒め称えていた。


「この階層を出たら昼飯と休憩だ、気を抜かずしっかり進めよ」


「はい」


サザンの号令に従い、ボク達は出口を目指した。


―27階層

荒れた硬い地面の上を歩くには、少々靴底の厚さが足りない…

花粉対策眼鏡を模したサングラスと鼻口を覆う布の準備はしたけど、足元まで気が回らなかったな、失敗した。

目の前に広がる荒野、枯れた雑草が点々とあるだけで只々砂埃が舞う地面が続く。

かなり古いシチュエーション…「シェーンカムバーック!」っと、叫びたくなる気持ちをグッと堪えた。

イヤホンはあれからずっとオンにしたままだけど、ボクの頭はキチンと棲み分け出来るので、些細な事をぼんやり考えていても漏れる事が無いから大丈夫。

ラグとトリルの状況も、たまに「腹減った」とか「魔力補給しなきゃ」等々聞こえる事もあるが使っているうちに案外慣れてきたようで、初日のような暴露話は聞こえてこなかった(残念)

案ずるより産むが易しって事かな。


「ハァー間違えであってほしかった。右斜め前方5km先からロックサラマンダーがこっちに向かってるっぽいぞ」


ラグがぐったり項垂れ肩を落とした背後でスミスが愚痴をこぼす。


「ボス遭遇極稀って記述は、何だったの?」


「まだ出口は遠いし避けられないなら、覚悟して迎え撃つ準備をしよう」


言葉とは裏腹に沈んだボクの声を耳にしたラグは、スミスに罠の有無を確認したがタイガーサーベルで使いつくしてもう無いと答えが返った。

ラグの爆破の罠がまだ残っていたのでそれを設置し、ボクが作った土壁の後ろで待ち構える。

罠を中心に半円形に何枚か壁を並べたけど…意図が見え見えかな?

激昂はサッサと上空へ移動し高みの見物…「邪魔にならないよう気遣いだよ」なんて言ってたけど、なんか腑に落ちない。


そうこうしているうちに、ロックサラマンダーの姿がハッキリ見えた。

頭から後ろ足と尻尾で半々の割合だ。

体長は、ざっと18…20m?大きすぎて目測しきれない。

腹は、ギリギリ地面から浮きズシンズシンと音を響かせ尾をズルズル引きずり歩いている。

資料には、上側の皮は硬いが腹は柔らかいと書いてあったな。


短い脚を交互に出すたび左右に尾を振り埃が舞い上がる。

罠に気付くことなくその上を這うって、あれ…もしかしてお馬鹿さんでしたか?そう思った瞬間、ラグの罠が爆ぜた。

見事腹のど真ん中と顎?の辺りで爆発し、爆風で仰向けになり腹を晒し短い四肢をバタつかせた。

尻尾を使い反動で戻ろうとしたが、尻尾の根にトリルが斬撃を放つ「一発で駄目でも何度でもだー!」と、尻尾めがけガッシュガッシュ繰り返し大剣を振るった。

サラマンダーの顎?の部分と腹は、爆破で抉れ血が滴っていたので、顎の抉れた場所から脳天めがけ杖槍で串刺しにすると、ビクッと痙攣しやがて動きを止めた。


そして、サラマンダーの姿が消えた場所に、でっかい肉の塊と剣が落ちていた。

日本刀に似ているな、ん~鍔無しだから木刀っぽいかな?座頭市の刀みたい…そんな事を考えながら剣を拾った。

手にしてみて鞘に特殊な加工が施されている事に気付いた、興味を引き剣を抜くと刃は酸性の魔力を帯びた石黄色の刀だった。


その後、出口を目指し出会った魔獣はだいたい蜥蜴っぽい奴ばかり、平地なので遠くでも探知しやすく罠に嵌めやすかった。



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