75 ほっと一息からの~21階層へ
幌から表に出て大きく体を伸ばし欠伸をした、そのままぼんやり空を見上げる11時ぐらいか…な?
隣の幌に目をやるが激昂の姿が見当たらない、昨夜アイテムや魔石の清算を済ませると言っていたから、換金のために街へ出かけたようだ。
ボス部屋の宝箱から出た麻痺効果が付与された短剣も売るし、楽しみだな少しは期待していいかも?
アジョンを出発して8日目、予定の無い休日なんて久し振りだ。
今日は、各々思うように過ごすと話していたけど、どうしよう?
ラグとトリルはいまだ爆睡中だが、スミスとロキシーバウルの姿が見えない、ボクも運動不足気味なウルフ達を連れて出かけようかな、砂まみれになるのは避けたいので、初心者ダンジョンの5階層草原エリア辺りで自由に走らせるか、ボクは休日なので戦闘はシャー達任せでもいいよね!
軽く小腹を満たした後、ゼクスとツヴァイを伴いシャー達は影に潜ませ、ダンジョンへと足を向けた。
今迄シャー達の攻撃は、体当たりと踏み潰しそして噛砕くの3パターンだったが、草原エリアで改めて後ろから様子を見ていると、明らかに違う手段が混じっている事に気付いた。
「シャー達!何それ?」
「ある日、突然このような結果を得たのです。」
「全身の毛が逆立ったと思ったら、稲妻のような金色と黒色の光線が炸裂って、カッコ良すぎじゃない?」
((私は金と青です。))((私は、金と赤!))
「えっ…どういう事?」
「金が雷で黒が闇そして青は氷赤は火と、どうやら瞳の色で属性が違うようです。」
「いつから使えたの?気付かなかったよ。」
「偶発的に初めて体現したのは、アセノス火山の樹海でした。その時、私達も何が起こったのか理解できず戸惑いました。」
((早くノアに話したかったけど、偶発する段階だったから。))
((こっそり抜け出して練習したんだ!))
((やっとノアに見せる事が出来た。))
「驚いたな…凄く心強いし嬉しいよ、頑張ったんだね。」
「ノアも新しい事にチャレンジしてますから、我等も!」
「こんな隠し技があるなら、11階層の方に行けばよかったな。」
「まだ使い始めで不慣れなので、ここが腕試しに丁度いいです。」
「ここで引き返すつもりだったけど、もう少し草原エリアでのんびりしたら、10階のボス部屋まで行こうか?属性があるし全て任せる、シャー達だけで踏破出来ると思うよ。」
結果、数か月前まであんなに苦労していた中型スクロも軽く倒し、スカーリーレジェントも難無く屠った、誇らしい反面ボクも負けてられないなと感じたよ。
たっぷりダンジョンの中を走り回り、一方的に暴れ回ったウルフ達が満足して幌に戻った頃には、すっかり夜が更けていた。
半日ウルフ達の後を付いて回ったおかげで、心地よい疲労が押し寄せていたから、幌に戻ってもみんなと碌に話もせずそのままベットにダイブし寝入った。
話したい事が沢山あったけれど、それはまた次回のお楽しみだね。
そして翌朝、三つ目の入口21~30階層に挑む。
地下に行くほど階層が広くなるので、念の為野営の道具をアイテムバックに入れた。
激昂の目があるので、ディメーションを利用できないのが難点だな。
―21階層
邪悪な木の異名を持つクリフォト、高さが10m以上あり移動しないが、不用意に近寄ると夥しい数の枝を鞭のように容赦なく振るう厄介な奴だ。
そんなクリフォトが、互いに干渉しない距離で掃いて捨てるほど乱立していた。
「見渡す限りクリフォトだねぇ~。」
「壮観だな…これ燃やしちゃ駄目だよね。」
「野外に見えるけどダンジョンだし、一応地下だからな。」
「仕方ない、丁寧に枝を払って無力化するしかないか…。」
先端に向かって枝は短くなるので、遠距離攻撃でボクとトリルが高さ5mまで枝を払い、そしてラグとスミスが虚を探し中にある急所のコアを割ると討伐完了だ。
虚の位置はまちまちだが、手の届く範囲にあるので枝さえ何とすれば、後は容易い相手ではある。
試しに、エアーカッターを圧縮してエアーインパクトで極太の幹を狙って撃ったが、威力が少し足りなかったよ、トリルも「腕試しだ~!」と気合を漲らせ斬撃を振るっていたが、まだ無理でした…残念。
そんな調子で対処していたので、22階層に続くセーフティーゾーンへ辿り着いた頃は、既に昼時になっていた。
「21階だけで半日潰れたな、先が思い遣られるよ。」
「確かこの後の階層に、クリフォトはもういない筈だよ。」
「ノアとトリルは、マジックポーション持ってるか?ちゃんと飲んどけよ!ずっと魔力使いっぱなしだったからな。」
「はーい。」
まだ魔力に余裕があったけど、お昼のデザートは生命樹の実で決まりだな。
トリルは枝を掃う合間に、こっそりドライ生命樹の実を口にしていた。
もともと魔力がそこまで多くないし、きっとキツかっただろう。
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