72 パジャマパーティー(え?)
壮絶にお腹が空いて目が覚める、食事時誰も起こしてくれなかったのか?と、恨めしく思いながらむくりと起きたら 、三人の腹の虫も鳴いていた。
あれ?揃いも揃って仲良く寝落ちかぁいぃ…ハァ~。
そう言えば、キョホンを1個食べたっきりだったなぁ、表に出ると月明かりと各ベースから漏れる小さな灯りのみだ。
月がまだあの位置だから…3時か4時ぐらいかな?こういう時、時計があると便利だよな…買おうかな。
本当なら肉に食らい付きたいが、夜中だし2食抜いた後に肉だと重いかな?
そうなると、キョホンで喉を潤わせつつ少しお腹を満たしてから、締めは串焼きで…ふと、この思考はまるで中高年だなと思い、クスリと笑いを漏らす。
この躰は、思春期真っただ中なのだ、「胃が重たくなる…」なんて気にするはずもなく、本能の赴くまま好きなだけ食べたらいいのに…再び小さく笑む。
冷たい外気で、バッチリ目が覚め「うっ~さっぶ。」肩を竦め幌に戻った。
ディメーションの中で、キョホンと串焼きを準備してベンチに腰掛け、先程チラリと浮かんだ時計について考え込む。
時計くらい買えばいいのにと簡単に思うだろうが、これが結構な高級品なんだよ、まぁ~お金には困って無い…けど、個人で所持している人も限られているしな。
アジョンにいる時は、街に2箇所設置してあるから、不便を感じない程度に生活も送れるけど、街から離れた途端こうだし…。
「そんなに不味いのか?それ。」
「ラグ、おはよう?キョホンは、甘くて美味しいよ!考え事してただけだし…ラグも食べて見なよ。」
「苦虫を噛み潰したような顔をして食ってて、味が分かるのか?」
そう言いながら、キョホンを樹からもぎり取り、齧り付いた。
「おぉ~果汁がすげーな、旨い!空腹に染みるぜ。でっ、考え事って?どうせまた碌な事じゃ無いんだろうなぁ~」
「ラグの中の、ボクの評価が気になるところだけど!」ふぅ~。
大袈裟に溜息をつき、時計を買うか迷っている事を相談しかけたら、ラグが大声で騒いだせいか「旨い!」に反応したかは定かでないが、二人がもそもそ起き出して、キョホンの樹に直行し、その実を手にした。
まぁ~相談するなら、後で説明する手間が省けるし、四人一緒の時がいいか。
そして、それぞれ食べ物を準備して落ち着いたところで、時計の必要性を説いた。
「一個あれば、計画も立てやすいと思うし、どうかな?」
「太陽や月の位置で、大まかの事はたりているけど、必要かな?」
「曇りや雨の日は、壊滅的だけどな、それでも腹時計で何とかなるぞ。」
スミスが慎重なのはわかるが、トリルが反対するとは思わなかったな。
「やっぱり碌でも無い事考えてたな、買うとしても金はどうするんだ?最低でも金貨3枚必要だぞ。」
「家が一軒建つな…。」
「結界があるからって、幌に置いておくのもどうかと思うし、持ち歩くのも怖いよね。」
「わかった、諦めるよ。」
あれば便利だし、いいと思ったんだけどなぁ、ラグにまで反対されたらどうしようも無いや、まぁ~行商に出た時にでも考えようっと。
ボクがあっさり引き下がってので、三人が拍子抜けた表情で「本当にいいのか?」と、探るような目でボクを見る。
これは、話題を変えた方が良さげだなぁ、今一番身近な話題はアレだ!「ソロ狩りどうだった?」と、何事も無かったような顔で、話を持ち出した。
正解だったみたいで、良かった。
「大変だったけど、斬撃も飛ばせるようになったんだぜ、衝撃の影響はまだまだ小さいけどな、今後の課題は、どれだけ衝撃の威力を上げるかだな。」
「おぉぅ~」「期待してるよ。」「ズバッと決まったら痺れるだろうな。」
「俺とロッキーとムーンで、三位一体ヒット&アウエイ攻撃極めるぜ!」
「なにそれ?凄そうだね。」
「敵を翻弄し休む間もなく、多方面から次々と攻撃を繰り出すんだよ。」
「へぇ~襲われる方は、堪ったもんじゃ無いな。」
「ぼくは、積極的に口数と手数を増やす事かな、今まで後ろから付与して守られていたけど、もっとやれると実感したんだ。」
「おぉっ!スミスが燃えてるぞ。」「頑張れ~」「いいねいいねぇ~」
その夜の話を纏めると、ラグは、ヒット&アウエイを意識しウルフと共に、飛んで走り回った武勇伝を、身振り手振りを交えて話し…
トリルは、無我夢中で大剣を振りまわしただけで無く、斬撃のタイミングを徐々につかんだ、苦労話をし出し…
スミスは「杖なの槍なのどっちー!」と、訳が分からなくなるほど突き続けたと、三人三様面白おかしく、延々朝まで飽きることなく話した。
ボクは、ほとんど聞き役に回っていた。
シャー達と連携して工夫を凝らしたけど、結局魔法無双だったし、頭と躰を使って戦う3人と比べたら、つまらない 戦法かもな~。
残念だけど、チートって退屈なんだなと、思い知ったよ。
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