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「さぁ~行こうノア。」
兄さんが、明るくボクに声を掛けた。
昨日の反省を踏まえ個々の能力を見極める為、変則的に激昂と組んでダンジョンに入る事になり、ボクはセルジュと二人で初心者ダンジョンに向かう。
兄はあくまでも補佐、ウルフ達込みでボクの力なので、7匹とも連れて行く事になったが、これって過剰な戦力のような気も…。
―1~2層
シャー達が嬉々と走り回り遊びがてら蹂躙していた、なのでボクは、只々ひたすらアイテム回収する事になり…ハァ~。
けど、こうやってウルフ達を全部連れて狩りに出る事って、初めてかも?
心なしかあいつらも、いつもより燥いでいる気がするな。
―3層
蠢くGは見るに堪えないので、フローズンミストで一面凍らせエアスラッシュで砕いた、ざまぁ~G!一瞬で粉々だぁ。
シャー達が物足りないって顔をしていたが、関係無いね!
―4層
ソロで挑むと聞いたので、ボス対策で念の為ライフを使用していたから防寒無し。
だがスノウセチは、相手が強者であろうが警戒心無く寄って来るので、香炉だけ準備したけど、ウルフ効果でその他の魔獣も寄ってこなかったよ。
雪でウルフ達のテンションが、更に舞い上がってたけどね…シャー達があんまり楽しそうだったので、ボクもセルジュと少し羽目を外して楽しかったな…ヘヘへ。
―5層
アグリズリは雷で一撃だったし、中型スクロはボクが氷漬けにして、取り巻きの小型はウフル達が一捻りで終わり順調に進んだ。
ただ、人手が無いのでアイテム拾いが大変で、どの層でもそれなりに時間が掛かるかな、因みにセルジュは、ニコニコしているだけです。
―6~9層
ホーリーレインで一掃なんだけど、ウフル達はボクのずっと先まで走って、体当たりして楽しんで?いた。
ボクはアイテム拾いが、正直怠くて…だけど、8層辺りである事に気付いた、そして落ちたアイテムの下で空間を開き、アイテムバックに落とす練習を試みる。
セルジュは最初、立ち止まり暫くアイテムを見つめ、悔しそうな顔で拾いに行くボクの事を、首を傾げて見ていたが、9層の中間辺りからボクが拾わなくても、その場からアイテムが消え去る事を目視し、顔が引きつっていた。
ボク的には遠くにあるアイテムが、バックに収まるようになって劇的に楽になったよ。
その後、怖い顔をした兄に「この方法を絶対に他人に覚られちゃいけないよ!」と、階段で厳重注意を受けたけどね。
あ…あと空間魔法の使い手がボクだと、兄さんにバレました。
「あんな事して、気付かない方がおかしいよね、サザンには黙ってるよ。」
兄さん感謝、心なしかポンコツと言いたげな、シャー達の視線が痛い…。
―10層
気を取り直して、2度目のボス攻略。
予めシャー達に指示を出して影に潜め、ゼクスとツヴァイを左右に従え中に入る。
扉を開き、スカーリーレジェントが椅子から立ち上がる前に、ダイヤモンドダストを展開する。
座したまま凍り付いたところを、シャー達が奴の影から飛び出し両足の付け根を砕く、そして左右からゼクスとツヴァイが飛び掛かり、腕の付け根を砕いた。
そこでボクが、ホーリーレインで骨の再生を妨害し、エアーカッターで頸椎を切り思わず「うぉぉぉぉー!」と、勝鬨を上げた。
「お見事!手伝う余地が無くて少し残念だったな…ノア、強くなったね。」
興奮した兄さんに、手放しで褒められ照れくさかったな。
ボスが落としたひと際デカイ魔石を拾い宝箱を覗く、中には何の変哲もない盾が…。
やはり、あの時が特別だったんだろう。
ダンジョンに入って、だいたい2時間弱でボク達が幌に戻ると、入れ違いでラグ+ウルフ2&サザンが出陣した。
ラグ達が10階層に着く頃には、ボスも復活しているそうだ。
セルジュに聞いた話だと、激昂が初めてここに来た時も、今日みたいに色々工夫して初心者ダンジョンに何回も挑んだそうだ。
そして最終的に、全員ソロで1時間弱で回れるようになるまで、トライしたんだって。
けど、ソロで挑んだのは初心者ダンジョンのみ、11階層~と21階層~は、ソロでは少し厳しいから、敢えて危険を冒す必要も無いのでお勧めしないそうだ。
「ノア達も、地下ダンジョン3っつの入口全てを踏破したら、きっとCランクに挑戦する自信が付くよ、実力は既にあるんだしね。」
そう話し、兄さんがニッコリ笑った。
今頃ラグはダンジョンで、罠のタイミングとかヒット&アウエイとか?色々教えて貰っているんだろうな。
ラグが終わったら、トリル+ウルフ2&スターリーの師弟ペア、斬撃を飛ばす練習をすると聞いた。
少し気掛かりなのが攻撃魔法の手段が少ないスミス、普段ボクと杖捌きの練習をしているし、ロキシーやバウルもいるから何とかなると思うけど、それにピンチになったらオルムが介入するだろうし大丈夫だろう。
トリルとリー、スミスとオルムは、作戦会議に余念が無く忙しそうだ、セルジュに声を掛けてから、時間までディメーションの拡張に勤しむかな。
「兄さん、少し休憩するよ。」
「そうだね、終わるまで時間掛かるだろうし、また後でね。」
ディメーションに戻り、少しだけ広くなったことを確認して満足していたら、苗木が植えられていた場所で目が止まった。
あれ?5日前まで苗木だったはずなのに、ボクの背丈より少し低い160cmほどの密集した低木が3本、しかも紫色の果実がたわわに実っていた。
「ドライ、これ食べてもいい物なの?」
((フフフ、充分熟しているわ甘いわよ。))
大きさが野球ボールのそれを樹からもぎ取り齧ると、手に滴るほど果汁が溢れ巨峰の味がした。
「旨い!これ大好きな味だよ。」
でも、ボクの記憶だと葡萄の樹って横に伸びていて、房でぶら下がってたけどな、これは何か不思議な光景だ。
((次は、何にしようかしら?拡張して広くしてるようだし、また場所を作ってね。))
「OK!あっ、そうだドライ。」
ボクは、昨日ババールの町で買った4種類の香辛料を出して見せた。
((これは?変わった匂いね。))
「これは、それぞれ実を乾燥させて細かく砕いたものなんだ、肉や魚の匂いを消して料理に風味や旨味を足したりするんだよ。」
((へ~そうなの、これをどうするの?))
「ドライだったら、ここで栽培する事が出来るかな?」
((分からないわ、試してもいいけど粉じゃ無理よ。))
「実そのものも売っていたから、今じゃ無いけど準備が出来たら買いに行くよ。」
15歳になり旅に出る時、ボクは冒険者ではなく行商人で行こうと考えていた。
香辛料の多くは流通していないので、これが成功すれば強みになるな。
新しい目標が出来たことで俄然ヤル気も出て、時間を忘れひたすら拡張した。
暫くするとラグが戻ったようで、「ヒット&アウエイ…半端ねぇ~」と、泣き言を漏らしマットに突っ伏した音がした。
手を休め幌を覗くと、ヘロヘロになったラグがうつ伏せで、マットに沈み込んでいた。
聞くと普段の何倍も動き回ったようで、今にも眠り込んでしまいそうだ。
「罠を仕込んでぇ陽動し爆ぜさせぇ…俺とロッキーとムーンは距離を取りぃ…(ふぁぁ~~)ヒット&アウエイでぇ三位一体と…なったぁ攻撃練習を…延々とぉずっとぉ(んんんん)飛んだり走ったりぃ…ダメだ暫くzzz…」
まぁ~頑張ったんだな、お休み。
ボクも帰って来て、そのまま夢中で作業していたせいか、はたまたラグの寝顔のせいか睡魔が襲って来た…少し寝ておくか。
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