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68 ババールダンジョン初心者用 反省会


激昂がアイテムや魔石を管理していたので、ボス部屋の宝箱から出た品を、昨日の夕食前にサザンに渡すと、初ダンジョン踏破の記念品だからお前達で分けろと言われ、ボクが一時預かる。

その時リーが宝物を手に取りジーッと眺め首を捻り、もう片方の手で紙をヒラヒラさせていた。


「なぁ~この紙、高級品なんじゃ…ツルツルしてて手触りいいよな、でも何が描かれているんだか、これは絵なのか?文字なのか?」


ボクは首を横に振り肩を竦め「さぁ~?」と、ジェスチャーで答えた。

流石に「それは日本語です。」何て言えないからね、胸の内でそっと呟くに留めたよ。


その夜、寝床に転がり色々思い悩んだ、ボクが未知の事柄を知る理由…。

暫く思いあぐねたが、それをいちいち説明する必要は無いと、迷いをキッパリ断ち切った。

いつものルーティンだな、色々考え開き直って終わりにするのだ。


スッキリした気分で朝を迎え、起きてからボクの顔は緩みっぱなしだ。

反省会が終わったら、早速みんなに説明するぞ!きっと驚くだろうな。


朝食を済ませ、魔石やアイテムを売るため、ババールのギルドへ赴く。

つでにギルドで小部屋を借りて、そこで反省会を済ませる予定だ。

午前中とはいえ砂上での反省会は、環境が厳しいからね。


反省会―


まず、サザンが口を開き続いて他の激昂メンバーから感想が述べられ…


「後ろでお前達の様子を観察させてもらった、お互いを信頼し合って上手く連携が取れていたな。」


「足りない所や気になる事もあったけど、まずまずだったかな。」


「それぞれの役割や得手不得手があって当然だけど、このチャンスを生かして苦手な事を克服しよう。」


「明日もう一度初心者ダンジョンに潜って、おさらいするからな!」


そこから個別でダメだ(ゲフンゲフン)…指導を受けた、概要はこんな感じ。


―トリル

大剣を難なく振る力を付けたし、魔力を纏う事も上手くなったが、まだ未熟。

スムーズに魔力を纏い、纏った魔力を飛ばす剣技を習得する事が課題。


―ラグ

一度に5本の矢を射る事は称賛に値するが、広範囲で攻められると攻撃が鈍る。

罠を扱えれるのに利用する余裕が無いのが残念、課題はヒット&アウエイ。


―スミス

肉体強化など支援魔法を扱いメンバーを支えているが、後に控えてるだけでは駄目。

後衛の利を生かし戦況を把握、相手の弱点を看破し指示を飛ばす事を心がける。


―ノア

手を抜くな、魔力は潤沢なのに能力の出し惜しみしている事は明確。

大きな力に胡坐をかいている。


えっと、みんなは褒めてから駄目だしされているのにぃ~ボク褒められて伸びる子なのに!

そんな僕の心の叫びが届くことなく、サザンが反省会の終わりを告げた。


「続きは、明日ダンジョンで詳しく説明するので、これで解散だ。」


ボクの評価が駄目だしのみだった事に、ぶーたれた顔で部屋を出ると苦笑したセルジュから「ご飯奢るよ。」と声を掛けられ全員で移動した。


ラグ達に宝物の説明するのは、密談に最適な幌に戻ってからだな…。

そんな事をぼんやり考えて後を付いて行く。


ババールの町は、東西南北に出入り口がありダンジョンは北口が近い。

冒険者との住み分けがなされ、ギルド周辺に何もかもが詰め込まれている。

店の横道に入っても行き止まりで、一画が壁で囲われた作りになっていて、生活圏内に踏み込まないで下さいという意思を感じる町だった。


町の説明を聞きながら店に入り、注文を済ませ食事が運ばれ落ち着くと、当然話題はダンジョンの事になる。


「しかし、もっとノアが魔法無双してると思ってたんだけど、意外に堅実的だったよな。」


リーが口に肉をほおばりながら喋るので、オルムが「飛ばすなよ。」と、嫌な顔で言う。


「みんなと力を合わせる事も大事だけど、普段使い慣れないといざっていう時ベストを尽くせなかったら困るんじゃないかな?」


セルジュが危惧した。


「大丈夫だよノアなら、すぐやらかしますから。」


ラグがそう言って笑い飛ばすと、スミスやトリルも同意して


「あの盗賊の時もだったよね…ノアのポンコツぶりは実証済み。」


「大蛇も一撃だったしな!」


トリルが放った衝撃的な言葉でラグが慌てた、ボクも「ハッ!」と声が出てフリーズ…どういう事?知ってたの?いつから?頭の中は嵐の様に混乱していた。


「馬鹿、何言ってんだよお前。」


「ノアが話すまで黙っとこうねって、約束したでしょ。」


「ごめん、この間話題にしたばかりだったから…つい口が滑った。」


3人が言い合いしてる間、固まっていた激昂がボクに視線を移し、セルジュが口を開く。


「大蛇って、王都へみんなで行った時の話かな?どういう事か説明してくれるかな。」


いや…兄さん、その笑顔怖い。

申し訳なさそうに横目でボクの顔を窺うラグ達、真剣な表情でボクを凝視する激昂の面々。

ボクは肩で大きなため息をつく…仕方ないな~。


「あの大蛇に落ちた雷は、ボクの魔法です。って言うか、ラグ達いつから知ってたの?」


「あの後、お前直ぐに寝ただろ?様子がおかしいなって思ってたよ。」


「僕たち興奮して暫く眠れなかったのに、ノアの態度不自然だったし…」


「俺達大声で騒いでたのにな、だからもしかしてノアやらかしたのかなと…」


確かに、自分でもやらかしたと焦ってたし、朝食も食べすに寝てたっけ…

ボクが黙っていたせいで、ラグ達は今まで気遣っていたんだ悪い事したな。


「何で、あの時言わなかった。」


サザンが静かな声で問いかけ、セルジュ達は興奮気味にかぶせて聞いた。


「凄いよノア!」「そうだぞ、隠す必要無いじゃん。」「規格外れすぎ。」


「あの時は、偶然雷が落ちた事で話が纏まっていたし、ボクがやったって話す雰囲気じゃ無かったし、一番の理由は目立ちたくなかったから?」


そんな言い訳を聞いて、全員脱力していた。

その後、「王都が個室で良かったな。」「全く悪運の強い奴め。」などと、功績を称えるどころかうつけ呼ばわりされるのは、腑に落ちない。


食事が終わり店を出る時、お土産を二人で選ぼうとセルジュに誘われ解散して、それぞれ幌に戻る事になった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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