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66 初ダンジョン挑戦―ババール初心者向け

シャー達だけ影に忍ばせ入口に向かった。

3つの入口前に、それぞれ順番を待つ短い列が並んでいた。

意気込んで早く来過ぎても長蛇の列に並ぶ事になるので、この位の時間が丁度いいとリーが笑って話す。


入口の岩肌は剥き出しで、中に入るとギルドで受けた説明通り、壁にプレートを翳す板があった。

この場所に入りましたよとランクと名前だけ記録され、帰る時も忘れず翳すようにと注意を受けたよ。


中に入った時、洞窟と比べ違和感があったので兄さんに訊ねると、魔素が濃い場所にダンジョンが出現するからだよと教えてくれた。


少し先に進むと、通路の脇から水色のプルンとしたスライムが跳ね出た。

可愛い…思わず保護欲がムクムクと頭をもたげた…が、僕の様子を窺っていたセルジュに諭される。


「ノア、これからウンザリするほど出るからね、キリが無いからね!」


「ボク何も言って無いのに…。」


クレッセントと激昂が生暖かい目でボクを…

そんな場の雰囲気を変えるように、ラグが指示を出す。


「よし、魔物の姿を確認したし予定していた隊列で進むか。」


先頭は罠を踏破するラグ(訓練も兼ねている)、ラグの隣に前衛のトリル、そしてスミスとボクが二人の後に続き、激昂はボク達と少し距離を置いて後ろに 付く。


事前に調べた地図を頼りに前へ進む。

魔石やアイテムを拾うのは激昂が請け負うので、気にせずどんどん戦い進みなさいと、前もって言われていたので、ガンガン先へ進んだ。


―1階層

スライムが所々で数匹固まっているだけ、手応え無さすぎでした。


―2階層

スライムの数が増え、魔物の種類も増えた。

この異世界にもいたんだねG!しかもこいつ大きさが拳大だったよ…。

ふざけるなよ、もう!(涙目)奴が生息していると書いてあったので知ってたけど、覚悟もしてたけど、やっぱ駄目だ~。

まぁ、殺ってしまえば跡形も無く残骸が消えて、アイテムや魔石が残るだけなのが救いかな。


―3階層

いや…もう…魔物自体は何て事無い雑魚なんだけど、数が…。

火山で遭遇しなかった、ネズミに似たモーローやコウモリに似たカーン、それにスライムとG!

いや、名前はGじゃ無いけど、もう奴はGでいい。

最初にセルジュが宣言した通り、スライムがウンザリする程いたし、Gも目に焼き付くほど蠢いていました。


あまりの数の多さに疲れて息が上がっていたので、3階から4階へ降りる階段の途中で一休み。

そう言えば、魔物や魔獣は階層に留まるから、階段はセーフティーゾーンだと書いてあったな。

あ~それにしてもGの脅威、夢でうなされそうだ…精神的ダメージが…。

頭を抱え込みボクが呻いていると、セルジュがボクを見て、


「ノアがあんなに虫を嫌がるなんて、嫌いだったけ?虫。」


「G!G~~~~!って叫んでたアレって、クロバネの事だよな。」


ラグが不思議そうな顔で聞いたが、話題にもしたくないので、無視。


「何でGなんだ?」「さぁ~?」「ノアの弱点見っけ!」


「虫如きで騒ぐとわ。」「意外だったね。」


等々…色々言ってくるが、もう僕話す気力も無いからほっといて。

こっちのGは家に出現しないから、あの恐怖はきっと伝わらないよ。

前世のトラウマが弊害が…うがぁぁぁーーー!


それでも、何とかメンタルを持ち直し、水分とエネルギー補給をして体を休めた後、階段を下りる前に次の準備、上着を羽織り香を焚いた。


―4階層

ガラッと場面が変わり、一面雪景色となった。


「まさに、百聞は一見に如かずだね。」「寒いけど、絶景だ~。」


「何でダンジョンの地下に空と雪?」「不思議だよな。」


スノウセチ対策の香炉をふわふわ浮かべ、風魔法で拡散させながら進む。

寄せ付けないので倒す必要も無いのに、遠巻きで浮遊するスノウセチを球で次々と打ち抜く、さっきの憂さ晴らし、八つ当たりです…リーが背後から叫んだ。


「おいノア、アイテム拾う身になれよ!」


あっ、ごめん。


雪が華のように積もった木々の間から数匹のウルフが現れた…あ~こういう出会いもあるんだね、うちのウルフ達と違う色合いで淡い茶色、麦色だな…。

あれ?このウルフの記載無かったよ?ウルフは嫌だなんて言ってられないので、影に潜ませたシャー達を呼んだ。


鑑定―ウィートウルフ 個々の能力は低く群れを成し協力する。

いや酷くない?これだけかい、ん~流石初心者ダンジョン雑魚だった…雑魚過ぎて記載漏れだったのかな。


ラグ達に情報を伝えシャー達に控えているように指示を出して、自ら挑む構えを見せたが…シャー達に怯え逃げ出した後でした。

あれだ、これからは鑑定してからシャー達を呼ぶよ。


尻尾をはち切れんばかりに振り、爛々と輝く瞳で見詰められたので影に戻れと言いづらく、雪原を駆け回るシャー達。

この階層の魔物は、もう近付かないわ…なので、どんよりとした雲の下を黙々と歩き、階層の出口に着いた。

階段でシャー達を影に戻し、香炉や上着をバックに手早く片付ける。


5階層―またさっきと打って変わり、青い空と野原と森の、のどかな景色。

出迎えたのはウィートウルフの群れざっと30匹。

スミスが全員に身体強化を付与し、トリルが切り込みラグが弓を射る。

ボクは囲まれない様に、側面と背後に高い壁を作ってから球を飛ばし眉間を狙った。

当然、この程度の魔獣に手を焼く事も無く終了、壁を崩し後ろにいる激昂に手を振った。


次にボク達の前に立ち塞がった体長3mの単体アグリズリ、全体的に青いけどこれは熊に近いかな。

スミスの付与を受け球を眉間に打ち付けたが、意外と硬くて打ち抜けず落下した、残念。

ラグがアイスアローを足に射ると膝辺りまで凍り付き、振り回す太い腕をかいくぐりトリルが大剣で叩き付け砕く、ズンと音を立て体制が崩れるアグリズリ。

後ろで激昂が「やるね~」「おぅ~」と声を上げる、何だろ緊張感が台無し楽しそうだな、オイ!

そしてすかさずトリルが刃に氷を纏い首を切りはらった。

図体の大きい奴は足を狙う、ガリラヤ村の教訓が生きてるな。


暫く歩くと、小型スクロを5匹従えた中型スクロに追われている、10人の少年達がこっちに逃げて来た。

ヨレヨレになった少年達に助けを求められ、彼等を庇い対峙する。


「小型を先に狩った方が良いね、中型の足止めをして引き離すよ。」


そう言ってボクが中型を一気に凍らせると、スミスの付与を受けたラグとトリルが小型を殲滅し、ボクをジトっと見る。


「いや…足止めってノア、仕留めてるし。」


「あ…つい、アハハ。」


凍り付いた中型スクロをトリルが叩き砕くと、アイテムと魔石が転がった。

後ろで見ていた激昂は何とも言えない顔をし、へたり込んでいた少年達はポカンとしてる。


5層の出口近くだったので、階段まで一緒に行き少年達に話を聞くと、彼等はババールの新米冒険者で、F ランクの薬草採取依頼で来たと答えた。

採取が終わり帰るところに出くわしたらしい。


「いつもより魔獣に出くわす回数が多くて、魔獣を回避するアイテムを使い果たしちゃってて…本当に助かりました。」


「ありがとうございました。」


回避アイテムが無いと聞いたので、激昂が憎っきGの場所まで送る事になり、ボク達は階段で待つ。


「やっぱり、過保護なアジョンシステム良いね安全第一!」


「F ランクで中型スクロとか、ないわ~恐ろしい。」


「回避アイテム消耗して、利益出るのかな?」


「だから人数が、多かったんだと思うよ。」


「それより腹減った~」「あ~俺も。」


「何か食べるか?」「待たなくていいの?」


中型スクロをうっかり凍り付かせたけど、不問のようだ。

普段ボクが力加減をしている事を、多分みんな薄々気付いているからね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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