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49 ピクシーの里帰り2

出発の朝 昨夜から降り出した雨が、シトシトと降り続いていた。

ついて無いな…。


なので、夜のうちに 荷車の床の水捌けが良くなるように準備をする。

敢えて隙間が出来る様に 蔓で織り込んだマットをドライに作って貰ったよ。

異世界版 エ〇ウィーヴだね!


出来上がりは、寝転がっても直に座っても、弾力があって具合が良くなった。

当然、それを見ていたラグ達も真似していたよ。


雨が降りそぼる中 ボク達は、4台の荷車に分かれて乗りこんだ。

そして順調に旅は進み、最初の目的地 橋のたもとに到着した。


お互い話が出来るようにまず2台横並びにして、間を開け他の2台と後ろが向き合う形で荷車を停める。


ボクは、荷車の中で当然ディメーションもフル活用しているよ。

ドライは、小さいからいいけどウルフだけで7匹 ワン達も5匹いるからね。


荷車は、ゼクスとツヴァイが交代で引いているしラグ達も2匹が交代なので、シャー達5匹に夜警を引き受けてもらった。


寝るまで自由にしていていいと話したら、ゼクス達8匹は、雨の中嬉しそうに飛び出していった。

ゼクス達の食事も準備してあるけど、狩りを楽しみたいのだろう。


10月半ばの、夜の雨は肌寒い。

お互いの荷車を利用して、上に幕を張り雨除けを作って火を熾した。


「この調子だと明日は、二つ目の停車場まで行けそうだね」


「ロッキーとムーンに交代で引かせて、休憩無しで先に進められたからな」


「各々荷車買って良かったね、引いていない方は中で休憩できるからさ」


「ノアのアイデアで荷台が、前より快適になったしな」


「ただ 話し相手がいないのが寂しいけど」


「みんな 中で何しているの?」


「俺は空の球に魔力を込めたりして、色々な罠の準備しているかな」


「ボクは、ドライに頼まれてディメーションに新しい砂場を作っている最中」


「え?どうして」


「移動した時の為に、中で生命樹を育てるんだって」


「大変だな~ノア」


「前よりも要領よくできるようになったから、それほどでも無いよ。それに 深さは、同じくらいだけど幅は5mでいいって言うから ワン達の時より楽だよ」

                   


「旅先であの実が食べれるなら俺達にも恩恵があるな」


「そうだね、怪我や病気だけじゃなくて魔力や体力の回復もできるからね」


「干した実も旨いけど、もぎたてジューシーな甘酸っぱいあの味は、堪らん。」


初めて食べた時 ボクも驚いたなぁ~見た目は、金色のスモモなのに味は、まるでパイナップルだったからね。


「思い出しただけで涎が出るぞ!仕方ない干した実でも食うか」


「この金色の実 珍しいよね、ぼく見た事無いもん。味も初めて食べたよ」


「旨いから問題なし」


「他の人に見えないのも良いよな、盗まれる心配が無い」


「樹からもぎ取るまで見えないなんて、本当に不思議だよね」


「さて、晩飯も食ったし明日も早い。そろそろ寝るぞ」


ラグの掛け声で、ゼクス達を呼び戻しそれぞれの寝床に潜り込む。


((それじゃ~シャー達。見張りを頼むね、お休み))


((我等にお任せを 安心してゆっくり眠って下さい))


次の日 目覚めると嬉しい事に雨は、上がっていた。

太陽は、まだ昇り切っていなかったので 辺りは薄暗い。


見張りをしていたシャー達をみんなで労う そして中で休ませた。

今日は、ツヴァイが先に荷車を引くので 急いで生肉を出して食事をさせる。

ゼクスは、馬車の周りを走りながら狩りをすると言って、浮かれ気味で外へ駆け出した。


「さて 出発しますか」


「一つ目の停車場で交代だけして、休憩無しでそのまま出発するからな」


「わかったよ」「夜までに 2個目の停車場に着けばいいね」「出発だ!」


二つ目の停車場、コトネル村を通り過ぎたその先を目指して出発した。


朝日が昇り 暖かな日差しが射した道をゴトゴト走る。

街道の人影が増えてきたので、ゼクス達を呼び戻した。

後で交代するから、ちゃんと休んで貰わないと困るしね。


途中何回か、馬車とすれ違ったり追い越したりした。

4台連なり ウルフが引く荷車をみんな物珍しそうに見ている。

馬車よりも少し速度が速くて良かったよ。

でなきゃずっと、見世物みたいになってただろうな。


お昼前に一つ目の停車場についたが、予定より早く着いたので、お昼休憩を取る事にした。

みんな 会話に飢えていたようだ。

シャー達とゼクス達は、他の旅人や商人たちを避けて原っぱの方へ駆け出していた。


少し早いけど、ボク達も昼食を取りながら話をしていると、停車場の余裕がまだあるのに わざわざボク達の隣に1台の馬車が停まった。

気になったが、その時はそういう人もいるんだなと思う程度だった。

だが、馬車から恰幅のいい男が降りて来てボク達に話しかけてきた。


「やぁ~君達、まだ子供のようだけど冒険者なのかい?大人は一緒じゃないの?」


その男は、抜け目のない目をしていて、まるでサーカスの団長のような風体で 関わりを持ちたくないタイプの人間に見える。

ボク達は、お互い目配せをして注意を促し、そしてラグが口を開いた。


「何か用ですか?」


「君たちの様な子供が4人で旅をしていると色々危ないからね、気になったから声を掛けたんだよ。何処まで行くの?この辺は危険だし、良かったらおじさんが一緒に行ってあげるよ」


「心配ないです。ボク達冒険者なんで」


「そうかい?気が変わったらいつでも声を掛けてくれたまえ」


そう言って、値踏みをするような目でこちらを見て違う幌馬車の方へ去った。


「何 あいつ?」「子供だと思って、わざわざ近づくなんて怪しいよ」


「危ない奴だなきっと」「サッサとここを出ようぜ」


シャー達を呼び戻し、停車場を後にする。

あのおじさんは、ウルフを使役するボク達を見て驚いた顔をしていた。

ボクはすれ違う時、おじさんが近づいた幌馬車に子供が何人か乗っていた事が、少し気になった。

もしかして人攫いなのか?だからボク達に声を掛けてきたのかな…。


暫く荷車を走らせ停車場から遠のいたが、あの子供達がどうしても気になる。

なので、街道から少し脇に逸れた場所で荷車を停めるようにと、シャーを使い伝言を飛ばした。


「ノア どうした?」


「あのおじさんが近づいた幌馬車に、小さな子供が何人か乗っていたんだ」


「えっ、それってやっぱり 危ない人だったって事?」


「分からないけど、気になっちゃって。確かめた方が良いのかなって」


「どうやって確かめるんだ?聞いたって正直に言わないだろうしな」


4人で悩んでいると、ドライ達がそれぞれに語り掛けてきた。


((ノア 私達に任せて)) ((どうするの?))


((あの人を眠らせるわ。その間に 子供から話を聞けばいいじゃない?))


「みんな聞いた?」「おう!」「いいね!」「じゃ~戻ろう」


ボク達が街道に出て停車場に戻ろうとしたら、丁度あの馬車と幌馬車が連なってこっちへ向かって来た。

急いでいる様子で、スピードを出して砂埃をまき散らしていたが、ボク達に気付くとスピードを落として、近くで止まった。


どうやら ボク達を追いかけて来たらしい。

今度は、おじさん一人だけじゃなく数人で降りてきた。


「君達 こんな場所でどうしたの?」


下卑た笑顔で近付いて来る まわりのおじさん達も同様だ。

見ているだけで胸糞悪いなと心の中で舌打ちをする。

だが、警戒されないように笑顔で話す。


「ボク達 さっきおじさんが言った事が気になって」


「俺も気になったからさ、一緒に行こうと思ったんだ」


「そうかい?それがいいだろう。荷車は、どうするのかな?」


「おじさん達に 任せてもらってもいいんだよ」


「それは大丈夫です。おじさん達何人いるの?」


「ここにいる7人だよ」


((ドライ 宜しく!)) ((了解!))


「可愛い小鳥だね、よく懐いてるな。君達の小鳥なのかい?」


「はい」


他愛ない会話をしている間に、ドライ達がおじさんの周りを飛び交い子守唄を囀る。

そして、話をしている途中でまんまと眠り込んでしまった やったね!


「ドライ達 取り敢えず蔓で縛り上げといて」


「ノアいいのか?間違えかもしれないんだぞ」


「その時は、みんなで素直に謝ろうね」


幌馬車の中を覗くと、明らかにボク達より幼い子供が10人乗っていた。

見ると、口を塞がれ手足がきつく縛られていて血が滲んでいる。


「可哀想に痛かっただろ」


口と手足を自由にしてやりながら、一番年上に見えた男の子に事情を聞いた。


「妹と歩いていたらあのおじさんに道を聞かれて、そのまま連れ去られてしまったんだ」


「妹以外 他に知っている子はいる?」


男の子はコクンと頷き一人を指差した。

どうやら奴等は、幾つかの村や町で少人数を攫いながら旅をしていたようだ。


「どうするラグ、コトネル村の方が近いけど騎士団がいない。ムバクーヘンの街は、夜通し走っても到着は朝になる」


「う~ん 夜までまだ時間があるし、次の停車場まで取り敢えず行こう。その子達も疲れているだろうし、お腹も空いてるんじゃないか?」


子供達を馬車と荷車に分けて乗せ、幌馬車に人攫いを積んで頑丈に縛り直した。

勿論 幌馬車の方に見張りを付けたよ。

威嚇の意味を込めて、シルバーとアッシュが姿を見せたままでね。


夜になり停車場に着いた。

他の人達がいたので、勘違いされないよう 先に縛り上げた人攫いの事を一通り説明したよ。

話を聞いた人達は、怒気を含んだ目で幌馬車の中を覗き込んだ。

石を投げつけようとする人もいたが、さすがにそれは止めたんだ。


停車場で子供達に食事をさせ寝かしつける。

そこで少し休憩してから、ボク達はそのままムバクーヘンを目指した。


太陽が、山の頂から顔をのぞかせた頃ムバクーヘンに到着した。

早朝に着いたおかげで、ボク達が一番乗りだ。

開門を待つ間 幌馬車の従者席で、睡魔が襲ってくるのをグッと堪えた。

前の旅で父さんや激昂は、こんな苦労をしていたんだなと実感したよ。


お日様が昇り切って少し経つと門が開いたので、ラグが門番に昨日の顛末を説明すると、門番は慌てて仲間を呼びに中へ戻った。


そして、わらわらと騎士が飛び出て来て人攫いを連れ立てて行く。

子供達も騎士達が、優しく手を引いて連れて行ってくれた。


「お手柄でしたね。手順なので悪いんですが水晶に翳して下さい」


プレートを翳すと、人攫い捕獲の証が出た。

奴等 あっちこっち渡り歩いて攫っていたので、すでに手配書が出ていたのか。


この街は飛ばす予定だったが、一睡もしないでここまでやって来たので 眠い。

臨時収入も入った事だし、昼まで宿を取って寝る事にした。         


宿に向かおうとしたら騎士に呼び止められる。

どうやら、幌馬車と馬車そして付いている馬まで人攫いを捕獲したボク達の物になるらしい。

普通喜ぶところだが、今は正直邪魔なだけだよな。


「どうする?」「困ったな」「ん~」


「あ、そうだ。ディメーションに入れちゃえばいいかな?」


「なら 飼い葉がいるな」「水は?」「プールにあるよ」


早速 人目に付かない場所を探してボク達は、移動する事となる 眠いのに…

売るにしても知らない街で売るより、トーマス商会を利用した方が足元見られないしね。


何とかディメーションに収納して、馬を歯噛みから外したが柵木が無い。

ボクが困っていたら、ドライ達が協力して高さ2mの生命樹をワン達の砂場で育てた。

ミニチュア版だね。


狭くなったので、ワン達が嫌がるかと思ったら思いのほか喜んでいる波動が届く。

生命樹の影響が、砂の中まで浸透して居心地が良くなっているようだ。

なので、砂場の横に今掘っている穴をこっちとくっ付けようと考えている。


予定と違うが、今日はこの街で泊まる事にした。

前に来た時に泊まった宿屋を尋ねたら、空きがあったので部屋を取った。

今は、何も考えられない そのままボク達は昼過ぎまで眠り続けたよ。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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