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44 …前の静けさ

朝目覚めると、傍に居るはずのシャーの姿が無い。

レッドとブルーは、いるのに おかしいな…

あれ?2匹に擦り傷が出来ているし、何故か少し汚れているな。

それに ドライも見当たらない 庭にいるのかな?シャーを探すため、起き上がり庭の様子を見に行くと「何だ…アレ」樫の木に 蔓で出来た袋の様な物が吊り下げられ、その中にシャーが入って ゆらゆらと揺られていた。


((あら、ノアおはよう)) ((ドライ おはよう。これは何?))


((癒しのゆりかごよ)) ((シャー病気なの?))


((違うわよ。朝方 怪我をして帰って来たから、放り込んだの))


((怪我!昨夜何かあったんだね))


「ノア 心配いりません。大したこと無かったのに、ドライが」


((何言ってるの?結構深い傷だったじゃない。全く 生命樹を育てていて良かったわよ))


「せい めい じゅ? 樫の木じゃ無かったんだ」


((私、樫の木なんて一言も言ってませんけど?))


「似ていたからさ、早合点しちゃったよ」


((似てる?あ~そうか、ちょっと待ってて))


ドライは、ボクの頭上を飛び回り何かを振りかけ((どう?もう一度見てよ))悪戯っ子のような表情でボクを促す。


「えっ!これ…」


さっき迄 青々とした葉が生い茂っていたのに、目の前の木は今 黄金色に輝いている。

ボクは、余りの美しさに言葉が出なかった。

暫く見とれてたら、後ろでラグ達の声がした。


「うへ!眩しい」「一体どうなってるんだ?」「更に目立っちゃうよ」


((これは、生命樹です。あ~やって 揺り篭に揺られながら、躰を癒す力があるの。実を付ければ その実は、薬になるわ。乾燥させて持ち歩けるのよ。それに他に人には、普通の緑の木にしか見えなから心配しないで))


ラグ達も各々の妖精から説明を受けたようだ、表情に安堵の色が浮かんだ。

傷が癒えたのか、シャーが出て来て昨夜の話をしてくれた。

シャーの話だと狩った数は30匹だが、それで終わりじゃないと断言した。


「奴等は、三位一体で攻撃を仕掛けてきました。そして 足に鋭い爪を持っていて、正面から攻撃するのは、少々厄介です。我は、相手の出方を見極めず、突っ込んでしまい愚かにも傷を受けました。しかし、そのような計算した攻撃をするには、誰か…そう きっとリーダーの様なモノがいるはずです。だが昨日の戦いの場に、そのようなモノはいませんでした。なので、何処かに控えているモノがいても、おかしくありません。先発で30匹送りこむ事が出来たのなら、その倍か3倍のアームモンチがいると思われます」


昨夜の事と、シャーの話を伝えなければ。

ボク達は、シャー以外の従魔達に留守番を頼み ギルドへ急いだ。


ギルドの前に行くと、早朝からハーネルや数人の上級者が集まっていた。

昨日 ドアロスが一人で探索に出て失敗したので、人数を増やし手分けしてアームモンチの拠点を探すようだ。


ボク達は、急いでドアロスの元に行きシャーの話を伝えた。

すると、ドアロスも慌ててチムニーに近付きボク達の情報を話す。


二人は、取り敢えず集まった人にギルドの中に入って待ってもらい、ボク達を奥の部屋に引っ張っていく。

チムニーが、苦虫を噛み潰したような顔をしてボク達を見下ろした。


「でっ!奴等は、何処にいるのか分かったのか?」


ボクが答える前に、シャーが話した。


「我には、知りえませんが臭いを辿れるはずです」


「だが そんな危ない場所にラグロス達は、連れて行けんな」


悩ましげな顔をしたドアロスが呟く。

少し考えたボクは、ある提案をした。


「それなら 激昂のメンバーだったらいいでしょ?」


「サザン達か、ドアロス達Aランクが一緒ならば 問題無いか」


「昨夜 シャー達と一緒に戦ったロックウルフをセルジュに付けて2匹同行させます」


それから激昂を呼び出し、ツヴァイとゼクスをセルジュに預ける。


「ノア ありがとう」「うん。ツヴァイ ゼクス兄さんの事頼んだよ」


((はい、きっとお守りします)) ((任せて下さい))


そして、Aランク冒険者数人と激昂の準備が整い次第出発する事となった。


ボク達は、話を済ませたら安心したのか急にお腹が減って来た。

そういえば朝ご飯まだだったな。


岩場にいるシルバーとアッシュを呼び戻し、ボク達も溜まり場へ帰る。

そして、王都で買った串焼きをアイテムバックから出して皆で食べた。

焼きたての状態なのでジューシーで旨い!残り少なくなってきたのが残念だ。


食事が終わる頃、2匹が戻り 戦闘の話を聞いた時から気になっている事をシャー達に確認した。


((魔力の供給日が近いけど昨夜暴れたみたいだし、どう?足りてる))


((少し早いですが、ノアが良ければ今夜にでも補給したいです))


((分かった。今夜だね))


ラグ達が岩場にいるロック ロッキー ロキシーを呼び戻し、キャル ムーン バウルと交代させると話していたので、ボクもブルーとレッドを送り出す事にした。


商会の開店時間には、早いので砂場の作業をする。

今日中に目標の3mまで掘り進みそうだ。


「ノアそろそろ開いてるんじゃないか?」


トリルに呼ばれ作業を中止して、シャーとワンを連れて出かけた。

多分 特注品になるので、職人のカレフの意見を聞く必要があるだろう。

なので 店に着いたら先ず父さんを探す。


ワンを装備した状態のシャーを初めて見る父さんとカレフ。

これはまた斬新なアイデアだなと、感心していた。

二人は、細部を繁々観察しながらボク達をそっちのけで あれこれ話し合っている。


「父さん 作れそう?」


すっかりボク達の事を忘れていたようで、ボクの呼び掛けに振り向き、少しばつが悪い顔をして頷いた。


実際にロックウルフが見たいとカレフが言ったので、ラグがロッキーを呼んだ。

そして カレフが、僕に振り向きシャーとサンドを見ながら設計図を取るから暫く待ってくれと、頼まれたので待つ事に


ボクは、父さんの執務室に呼ばれたので、付いて行く。

ラグ達は、他に必要なものが無いか店の中を物色しているよと言っていた。


呼ばれた時からそんな気がしていたが、当たりだな 設計図の買取と利権の話だった。

金額や条件に不満は無かったので、そのままサインした。

そして、金は通帳に振り込んでもらう事にする。

人知れず通帳の金が、どんどん膨らんでゆくな…


設計図の見取りと採寸が終わり、ラグ達はついでに発注をして店を出る。

その足で、ギルドに向かった。

昨日 随分散財しているので、ボクはさておきラグ達は、稼がなくちゃね。


依頼書を眺めどれにしようか、ボク達が迷いながら選んでいると。

背後から嫌味な声が聞こえて来る。


「やぁ~君達、久しぶりだね。部屋を借りたんだってね」


「ゲッ!ツオーネ」「うへ」


シャーやロッキーが傍に居るのに、珍しく話しかけて来た。

何か魂胆があるに違いない ボク達は、無言のまま冷たい視線を送る。

しかしツオーネは、素知らぬ顔で話し出した。


「コホン。実は、君達に聞きたいことがあるんだ」


「お前に、教える事なんて無いぜ」


ラグの冷たい返事にツオーネは、少し顔を顰めたが 直ぐに媚びるような愛想笑いを浮かべ


「ボク達のパーティーにも従魔士がいてね、ウルフを欲しがっているんだ。けど このところウルフを見かけないじゃないか、それなのに君達は、見つけた。しかも 激昂のオルムにも当てがったんだろ? 是非 デギキスにも紹介してやってくれないかな?」


嫌味な口調は、いつもの事だが 今日は随分下手に出てるなと感じたが


「五月蠅い!何勝手な事ほざいてんだ。俺は、何も教える気はないって言ったんだけどな!」


ラグの容赦ない対応で、一気に険悪な雰囲気になった。


「何だなんだ 朝っぱらから喧嘩か?」「うるせーぞ!外でやれ」


「おっ!ガキ共がおっぱじめるか」「やれやれ!」


他の冒険者も集まって来て、無責任な発言で囃し立てた。

だが、このまま喧嘩になってしまうと後で絶対面倒くさい事になる。

仕方ないので ボクが間に割って入った。


「ツオーネ聞きたい事は、分かった。けどウルフが何処にいるかなんて事ボク達は、知らないんだ。たまたま出会ったんだよ」


知ら無い事は、本当で たまたまの部分は、嘘だ。

これで納得してくれればいいが、無理かな。


そう思ったが、騒ぎが大きくなり怖じ気付いたのかあっさり諦め、よく分からない捨て台詞を残して、ギルドから出て行った。

ツオーネの後姿を見送りながらボクは、ホッとした。


ラグには、リーダーなんだから もう少し冷静な対処をするようにと厳重注意をしたよ。


騒ぎが収まった所で奥からチムニーに呼ばれ、俺達まだ何もしてないぞ?と囁きながら傍に行く。

すると 個別で奥の部屋に入るように命令され 何故か嫌な予感しかしない…


部屋に入ると机に水晶が置いて有り、ギルドカードを翳すよう指示された。

言われた通りにすると、アームモンチ討伐16匹と出た。

あ~そうか、昨夜のだ 残りの14匹はロックウルフか…


「もうわかっていると思う。今は、まだ討伐完了していないので報奨金は、後で換金される」


「えっ じゃ~何で今?」


「ランクが上がるんだよ。ラグロス達は、Dランク。嫌がるかも知れないがノア お前は、Cランクだ」


突然の話で一瞬呆けてしまったが、プレートの色が変わるは、困る。

ボクがそう言おうと思ったが、察したチムニーが先に話し出した。


「強い者には、責任が伴ってくる。だが ノアは、成人している訳でも無い まだ子供だ」


チムニーは、そう言葉を切り溜息をついた。 

ボクは、静かに次の言葉を待つ。


「今回の昇格を見送りたいのならそうするが、先に ノアの気持ちを聞いとかないとな」


「ボクは、皆と一緒が良いです。Dランクのままがいいです」


「やっぱりな、だがいいのか? Cランクに上がれば今回のアームモンチ討伐に、個人で参加する事も出来るんだぞ」


あっ!と思ったが、この先の事を考えると些末な事だ。

なのでボクは、もう一度ハッキリ宣言するとチムニーは、やれやれという顔で天井を見上げた。


話が終わり 部屋を出ると昼時になっていた。

今から討伐依頼を受けたら 終わって帰る頃は、遅くなるか泊まりだ。

仕方ないので、林の奥にしか繁殖しない毒草採取へ行く事に決まった。


そのまま出かけてもいいが、留守番している他の従魔達の様子を見てからにしようと思い、一度 部屋へ戻った。


ドライ達は、林に行きたいがまだ庭に施したい魔法があるので、このまま留守番すると言ったので、余り様変わりすると周りが驚くので、程々にしてねとお願いをしたよ。


ラグ達が、自分のウルフに乗って行くと言ったので、近場の毒草採取だし シャーとワンだけ連れて他の子は、留守番をお願いする。


色とりどりの小鳥は、目立っているし 実際人気があるので、誰かが盗みに来るかもしれない。

ドライ達だけ置いて行くと不安が残るが、シルバー アッシュ トゥ達がいれば大丈夫だろう。

準備を整え「留守番頼んだよ」と 声を掛け林の奥へ向かった。



―side セルジュ―



「オルム 従魔達にもう慣れた?」


「おう。セルジュの弟のお陰で、アイム ノウム クルムに出会えて、本当に良かったよ」


「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」


「セルジュいいなー」「何だよ リー」


「従魔のステータス無いのに、ウルフ 羨ましいぜ。俺もノアみたいな弟、欲しかったなぁ」


「ふふふ」「アッ!こいつ自慢げに笑いやがって」


「ゼクス ツヴァイどっちでもいいから 俺の横に来てよ」


そんな事を言われても、ノア以外の命令を聞くわけも無く無視された。

リーは、面白くなさそうだ。

そんなリーの様子を見たセルジュが、同情してゼクスにお願いしたが、やはり セルジュの傍を離れる事は、無い。

当たり前だが、何処までもノアの命令に忠実だ。


セルジュ達は、岩場の奥の火山地帯まで来ていた。

身を隠すような木は、無い 大きな岩がゴロゴロと転がる殺伐とした地形だった。


火山を越えた事は無いが、越えると確かドワーフの街があったな。

そんな事を考えながら、アームモンチの痕跡を探した。


匂いを辿ってここまで来たが、川を渡ったらしく ここで臭いが途切れてしまったのだ。

狡賢い奴等だ、やはり シャーの話が正しいのだろう。


ドアロス達は、ここで野営をするか岩場でするか迷っていた。

そして、これ以上臭いを辿れなければ 激昂の出番はない。

なので、野営をするなら 暗くなる前に街へ帰すかどうかも話し合っている。


ドアロスからサザンが意見を求められ 僕達は、話し合いをし 結果残る事にした。

今の場所では、襲撃に備えるには不適切なので、岩場まで戻ると決まった。

ノア達のウルフも一緒だ問題ないだろう。


昨夜は、襲撃があったと聞いていたが、生々しい痕跡が洞窟内や表にも散らばっていた。

肉片やら何やらを片付けて、野営の準備をした。


暗くなる前に、シャドーウルフ2匹だけ帰って行く。

きっと ノアに呼ばれたんだなと思いながら見送った。



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