38 噂のパーティー
12月18日 ボクは、12歳になる。
今までは、仲の良い友達が集まってグループを組み仕事をしてた。
しかし 仮登録の時は、簡単な仕事ばかりなので基本ソロ扱い。
それぞれ個別で依頼を受け、報酬を貰っていた。
少額依頼が主なので、友人の分も清算したりアバウトではあったが。
これからは、行動範囲も広がり 本格的な討伐依頼を受けるようになる。
なので、パーティを組み それをギルドに報告する義務が生じる。
冒険者ギルドの登録者は、女の子が少ない。
だから、女の子だけのグループもあるけど 稀だ。
男の子のグループに 一人か二人女の子が混じっている場合が多い。
ボク達は、ウルフや小鳥を使役していたので、女の子に人気があったようだ。
グループに入れて欲しいと、多くの子が頼みに来た。
中には、しつこく付きまとう子もいて うんざりだよ。
女の子=面倒くさいと思っていたボク達は、当然お断していた。
ボクは、心弾ませ受付のアリスさんの前に立った(3人が後ろで待ってる)
他の3人は、とっくに12歳になっているが、ボクの誕生日までパーティーを組まずにいてくれた。
3人は、本採用と同時にEランクに昇格して青銅のプレートに代わっていた。
ボクが翳したプレートを見たアリスさんは、一瞬息をのんだが 前回の様な失態は、しない。
平常心を装っていたボクも内心ヒヤヒヤしていた。
けれど、プロに徹しているアリスさんを見てホッとする。
ランクはDだった。
一瞬焦ったが、Eランクと同じ青銅のプレートだと気付き胸を撫で下ろした。
因みにAがプラチナ BとCが金のプレートだ。
ギルドにパーティーの報告をする前に話があると、トリルが真面目な顔で部屋の隅に誘う。
「なぁ~相談なんだけど、女の子を一人パーティー入れたいんだ」
「何だお前もか?実は、俺も知り合いの子が母ちゃん通して頼んできてさ」
ラグとトリルは、申し訳なさそうにしていた。
少し悩んだが 3年後ボクは、ここから居なくなるかもしれない。
ならばみんなで、今後の事を話し合うべきだと気付いた。
「みんな 将来の希望とか持ってる?ボクはある。今このパーティーのメンバーをどうするか?も大切だけど、ずっとこのパーティーでいられるかとか、色々あると思うんだ。この先の事を少し話し合ってからパーティーを決めないか?」
「悪かったよ、変な事言いだして」
「もういいよ。母ちゃんは、何とか誤魔化すから」
「違うよ、女の子が嫌だって言って無いよ。これからの希望で形が変わるかもしれないだろ?例えば ん~ボクは、成人したら街を出て 当ての無い旅をしたいと思っています。期限は、決めていないので その時は、パーティーを抜けると思います」
ラグとトリルは、黙り込み スミスが驚いた顔で聞いてきた。
「え、例えなの?本気なの?」
「うん、本気。今は、そう思っているよ。スミスの希望はあるの?」
「う~ん ぼくの希望か…希望じゃないけど、父さんが引退したら魔道具の店を継ぐ事になるな」
「付与魔法得意だもんね」
「うん、修行の為に冒険者になったからね」
ラグとトリルは、話が思わぬ方向へ向かったので、戸惑っているようだった。
二人の親は、冒険者だし 冒険者以外頭に無かったんだろう。
いつもなら、ラグが空気を一変させるところなんだけどな。
「あともう一つ言っておくと、女の子に限らず他の誰かが新しく入るならボク遠慮するね。秘密が多いからさ、そうなるとソロになるかな~たまには、誘ってくれよな」
それを聞いた二人は、いきなり断言した。
「なら誰も入れない!トリルそれでいいよな」
「当たり前だろ、この4人じゃ無きゃ面白くないや」
「本当にそれでいいの?3年後ボクは、抜けるかもしれないんだよ」と 念を押したが、その時になったらまた考えればいいさと笑った。
もしかしたら、一緒に行くかもしれないだろとも言っていたな。
みんな一緒なら心強いかもな、でも まだ先の話だ。
そこからの話し合いは、早かった。
リーダーは、ラグに決まり受付に申請をし ついでに依頼を受ける。
ラグは、親に言われたからだけどトリルは、何故?と思い聞いたら、気になる女の子に頼まれたんだって。
そうか 思春期なんだね、ボク達。
パーティー申請を終え、ついでにホールラットの討伐依頼を受け、2年半ぶりに砦の外の壁を越えた。
ホールラットは、林を少し奥に入った場所の地面に穴を掘り、その中で繁殖している。
移動中ホールラットの特徴を話し、穴から誘き出す作戦を練った。
皆でトリルをからかう事も忘れなかったよ。
「火を焚いて、煙で燻すと出て来るんじゃないか?」
「みんな手拭いを湿らせて、口と鼻を覆ってね」
「目が痛くなるな…」
「煙を穴に送るための 扇ぐ物も必要だね」
穴は、10か所あった。
なので、土魔法で8か所塞ぎ、片方の穴で火を焚いてスミスが扇ぎ、もう片方の穴で3人と従魔達で待ち受ける。
少し時間が経つと、ギーギーと呻きながら体長15cmのラットが、わらわらと逃げ出して来た。
「何匹いるんだこれ?」「シャー達、逃がさないでね。踏みつぶして」
ラグとトリルは、弓や大剣では追い付かないので短剣に持ち替え奮闘している。
ボクも杖で突くより火魔法の方が早いやと考え、小規模で撃ち込んだ。
大規模魔法は、土地が荒れるし また出番が無いとぼやかれるからね。
影から影へと移動するシャー達のお陰で、広範囲に逃げたホールラットを取りこぼすことなく始末できた。
時間は、掛ったがまずますだ。
ホールラットの尻尾が討伐部位なので、それを集め土魔法で穴の通路まで全部塞いで、依頼の完了だ。
尻尾を数えたら379匹分あった チョットしたホラーだな。
「腹減ったな」「結構時間かかったしな」「お弁当持ってないよ」
「ふふふ 忘れているね!王都で買いあさった食べ物の事」
「おぅ!それがあったな。近くに川があるからそこで食べようぜ」
川で汚れを洗い落として、串焼きやアマパンを皆で頬張った。
仕事を終えた後 みんなで食べる食事は、最高に美味しかった。
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