35 十四日目 go home 2
ゴトゴトゴト ガクン!
大きく馬車が揺れ驚いてビクッと体が震えた、目が覚めてしまう。
外を見るとまだ夜は、明けていない。
他の3人は、深く眠っているらしいピクリともしない。
ボクも、もう一度眠ろうかと思い瞼を閉じたが、駄目だ眠れない…
眠ろうと意識すると別の考え事が浮かぶのは、何故だろう?
そういえばこの森は、ドライの故郷なのかな?なんて、つい考え始めてしまった。
こんな時間だから寝ているかな?と思ったけど、話しかけてみよう。
((ドライ、起きてる?))
(( ………))
返事が無い眠っているんだな起こすのは、可哀想か。
諦めて目を瞑り馬車の揺れに身を任せていると
((ノアは、押しが弱いわね))茶目っ気を含んだ声が聞こえた。
((あ、起こしちゃった?ごめんね))
((ん~ん、ノアが目覚めた時から、起きているわよ。シャー達もね!))
((え?そうなの))
((そういうものよ、何か聞きたかったんでしょ。何?))
((この森は、ドライの故郷なのかなって思ったんだ。どうなの?))
((ん~生まれた場所が故郷なら、さしずめ私の故郷は、ノアの掌かしら?))
指を顎にかけ首を傾げる仕草が、とってもキュートだ。
そんな答えが返ってくると思いもしなかったので驚いたが、ちょっとくすぐったい。
((ありがとう。何故か分からないど、その答えを聞けて嬉しいよ。あのね、卵をここで見つけたし、もしかして他にもドライの仲間がいるんじゃないかと、思ったんだ。))
((うん、そうね…多分いるわ))
((分かるの?))
((言ったでしょ。ピクシー同士は、会話が出来るって。会話は、無いけど気配は、感じている…))
((なら、会っておいでよ。一日は、山で野営するから時間があるし))
((良いの?))
((ボクまだ9歳だから、あと2年と6か月経たないと自由に遠くまで出られないんだ。だから、仲間に会いたいなら今がチャンスだよ?))
((ありがとう、ノア。でも、他の子も誘いたいから皆が起きてからにするわ))
((わかった、なんか眠くなちゃった。寝るね、おやすみドライ。そしてシャー アッシュ シルバー ブルー レッドもおやすみ))
朝起きたら、ピクシー達が燥いでいた。
ラグ達も、快く送り出すと決めた。
行ってらっしゃい、馬車を見失わないでね!
朝食の時、父達と傭兵組が、今日の予定を話している。
「日が暮れる前に下りの中腹辺りまで走らせ、そこで野営にしよう」
「お昼の休憩を飛ばして馬車を走らせれば、なんとか行けるな」
「可哀想だが、馬に無理させちまうな」
「山を抜けるまでの辛抱だ、頑張って貰おう」
「じゃ~お弁当の準備をしましょうね。ミア手伝ってちょうだい」
話を聞いていた僕達は、ブラシを手に持ち馬の所へ向かう。
ボク達には、馬を労わる事くらいしか出来ないからね。
馬の世話をしながら、他愛もない話を持ちかけた。
「テイマーギルドなのに、何で従魔するっていうんだろ?」
「従魔術だから、じゃないのか?」
「そもそも、テイマー術で良くない?」
「どっちでもいいって事かな?」
「これからボク、ティムするって言おうかな。短いし簡単だ」
「いんじゃね?」
「名前みたいだね」
「チムニーに似てる。アハハ」
「本当だ!ティムは、何処かにいそうだな。じゃ~テイマーする?ん~」
「ノアの好きにすればいいよ。俺達の中では、もう通じるしな!」
「ノア用語だな!」
「じゃ~転移は、ジャンプかな…」
「転移?」
「ジャンプ?」
「何の事?」
「え?ボク、何か言ったっけ」
ヤバいヤバい、つい口からぽろっと余計な言葉が出ちゃった。
空耳だと誤魔化したけど…何か言いたげな顔をしている。
どうしようと思っていたら。
気まずい空気を打ち消すように、ラグが無理やり話題を変えた。
「そろそろ出る準備した方が良くないか?馬車に繋ぎに行こうぜ!」
ホッとした、ラグありがとう。
その後、馬車に乗り込む頃には、ピクシー達仲間に会えたかな?とか、迷子にならないよね?と心配したり、いつも通りの雰囲気に戻っていた。
ボクは、出発前の失敗に少なからず衝撃を受け、まだ立ち直って無いようだ。
本当に迂闊だったよ。
魔力操作の訓練をしようと言い出したのも、また口が滑るかもと恐れたのかもしれない。
皆、転移?ジャンプ?とグルグル考えているのかな…
それとも、真面目に、訓練に取り組んでいるのかな…
((ノア大丈夫です。無理に話す事は、無いのですから))
((シャーありがと。そういえば前に後で話すねって言って、そのままだったね))
((はい、そうですね))
((ボクは、物理的な力や剣そして魔法で高みを目指したくないんだ))
((ノアほどの魔力があれば、何でも出来るし、何者にもなれます))
((だけどボクは、何者にもなりたくない。それだけは、ハッキリしているんだ))
((ではノアは、どうしたいのです?))
((何を目指すかまだ決めて無いけどやりたい事は、出来たよ。ボク成人したら、街を出て旅に出たい。今回色々な町や村に旅して、もっと知りたいって思ったんだ))
((それは、楽しそうですね。我等もお供します))
((本当、ありがとう。後5年半!待ち遠しいな))
「ノア、何楽しそうな顔しているんだよ。真面目に訓練してるのか?」
「へ?あ~シャーと話し込んでた。そう言うラグこそボクの顔を見てる暇あったんだ?真面目にやってない証拠だね!アハハ」
シャーと話をしたおかげで心が軽くなり、いつもの調子が戻っている。
皆は、何も聞かなかった事にしたのかボクに問い質してこない。
長い時間一緒にいるから、気の緩みが出たんだろうな。
あんな事があると空気が悪くなるから、気を引き締めなきゃ。
暗くなる前に目的地に到着した。
本当は、少しでも前に進みたいが、この先に適当な広さがある場所が無いので、仕方がない。
馬車を行きと同じ配置にして、見張り用のテントを1つ設置した。
父達と傭兵組は、夜警のため仮眠を取る。
ドアロスがラグに、最初の見張りに立つので、お前が寝る前に起こせよと頼んでいた。
大人って大変だな。
山の中腹辺りなので、木々に遮られ視界が悪い。
夕暮れ時の散歩は、危険なのでふらふらする訳にもいかない。
なので、焚火を囲みボーっとして時間を潰していた。
シャー達がボクの側で、周りを警戒してくれているので安心だ。
「ノア、お願いがあるの」
珍しくミアが、しおらしい物言いをして来たが嫌な予感しかしない。
「なに?」ボクは、警戒する。
「私も従魔が欲しいの、ノア手伝って」
正直、こいつ何言ってんだ?と思った。
「ミア、何でテイマーギルドに登録に行かなかったの?今そんな事したって、今更王都へ引き返せないと思うんだけど…」
「あの時は、まだ欲しく無かったんだもん」
「どうしてもと言うなら、父さんに相談してからにして。じゃないとボク手伝えない」
可哀想だけどこればかりは、仕方がない。
ボクが手伝って今ミアが従魔を使役したら、父さんに何て言われるか。
ミアは、諦めきれない顔をしていた。
困ったな~と思い母を見ると、母は、少し頷き
「ミア、ノアの言う通り今更王都に引き返す事は、出来ないのよ。分かるわよね。もう少ししたら、仕事でミアも一緒に王都へ荷を運ぶ時が来るわ。その時登録に行きましょう。それまで我慢できないかしら?」
ゆっくり、言い含めるようにミアに話す。
ミアは、唇を噛んだままコクンと頷き馬車の方へ歩いて行った。
「ありがとう。母さん、助かったよ」
「ノアがあんなに愛らしい小鳥まで使役したから、きっと欲しくなっちゃったのね。ノア、ティマーに登録したからといって程々にしてね!これ以上ミアを刺激しないでちょうだい」
「はい、気を付けます」
ますますワン達の事、言いづらくなっちゃったよ。
「ノア、大変だな」
ラグが肩に手を置き笑いを堪えていた。
他の二人もワン達の事に気付いているんだろう、笑いを噛み締めている。
ボクだけ複雑な表情だ。
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