34 十三日目 go home
「坊主達、馬の世話は、終わったか?」
「バッチリだぜ!父ちゃん」
「馬車に繋いでます」
「おう!そうか、ご苦労」
昨日あの変なおじさんに絡まれた後、街を見る気も失せそのまま宿に帰った。
午後は、皆で魔力操作の練習に取り組んだ。
他にやる事も無かったからね。
帰還の馬車に乗り込んでからしばらく時間がたったが、ラグがずっと静かだ。
「ラグ、お腹でも痛いの?」
「そんな事無いよ」
「妙に、口数少ないよね?」
「俺、肝心な事忘れてた…」
「何を?」
「母ちゃんの土産!」
「あ!」
「あ~」
「俺もだ!」
「え?」
「まぁ~まだ、街は、あるし…ね!何とかなるよ」
「うんうん、大丈夫だよ。今度は、ボクも覚えておくよ」
「そうか?頼むよ…母ちゃん、こえ~んだ」
「俺も…」
多分怖いだけじゃ無いと思うけど、きっとガッカリした顔を見たくないんだね。
「あ、そういえば」
「ノア注意報発令!」
「危ない、危ない」
「アハハ」
「ハァ~もう。良い事も言うでしょ?」
「ごめん」
「何?」
「ま~な!」
「ピクシー達が連携すれば、ボク達も通信で話せるかなって思ったの」
皆、自分の肩に乗っているピクシーを見た。
「どう言う事?」
「ボクとシャー達が話せるのは、知っているよね?ドライとボクが話せるのも分かっているよね、皆も自分の子と会話が成立してるんだよね?」
「うん、出来ているよ」
「大丈夫!」
「通じてるぞ」
「もともとシャー達とドライは、言葉が通じないんだけど、ボクと関わりを持ったことで会話出来るようになったんだ」
「うんうん」
「それで?」
「あ、そう言う事か」
「別々の通信を繋げる事が出来れば、お互い離れていても意思疎通が叶う!これってかなり便利じゃない?」
「待ち合わせにも使えるな」
「内緒話にもね!」
「仕事にも生かせるぞ」
「今の話を皆のピクシーに、してみてよ」
((ドライ、聞いていた?どう思う))
((ノアは、とんでも無い事を思い付きますね!フフフ))
((難しいかな?))
((ピクシー同士の会話は、できるのですよ。初めての試みなのでいま答えは出せません。私達も相談してみます))
((分かった、ありがとう。無理しないでね))
「どうだった?ドライは、他のピクシーと相談するって言ってるけど」
「アンも同じ」
「フィーアも」
「センクもだ」
「あとは、待つだけだね!」
「うん!」
「そうだな」
「期待してるぜ!」
電話の無い世界で、この計画が上手くいけば画期的な事になる。
同種族の魔物を使役すれば、会話が成立するんだ。
でも、今まで誰も気付かなかったのかな~?
電話って概念が無いからかな?ボクは、何と無く腑に落ちなかった。
まぁ~話を出来る事が前提だから、まだ何とも言えないけど。
昼休憩は、馬の為だけに30分。
急いで丁寧に世話をしろ!と言われた。
どういう事?頭の中は、謎だらけだ。
ボク達の食事は、宿屋のお弁当を馬車の中で簡単でお手軽だね。
街から離れたので、父さんに一応許可を貰ってシャー達を外に出した。
周りに旅人が居たが、チャンと印を付けているから大丈夫!
中には、驚いている人もいたが概ね問題無い様子だ。
運動不足解消になるからそのまま午後は、走って馬車に付いておいで。
午後は、走る馬車の中でディメーションを開いて、サンド達の様子を見る。
こんな簡単な解決策、何で行きに思いつかなかったのかな~。
あんなに気に病んで損した気分だ。
サンドをよくよく観察してみると、核が見えない!
どうなっているんだろ?分からないなら本人に聞くしか無いと思い。
1匹だけ、名前を付けてみる。
「君は、ワンだよ。よろしくね!」
魔力が削られる事を覚悟していたが…拍子抜けするほど影響が無い。
魔物の格が違うって事かな?
なので、残りの4匹にも名付けた。
全然問題なかった。
そして、名付けたはいいが言葉を話さない…違う意味で脱力。
感情の波がよりハッキリ分かるようになったので、良しとしておこう。
それでもボクの考えを理解する様で、核ってどれ?と探していたらこれだよ!と言わんばかりのアピールをして来たのには、驚いた。
でも、可愛い奴だ!
核は、体と同じで平べったくも丸くもなる流動的だ。
下手に貝に保護したりすると、かえって悪目立するな…
スライムの中で、貝が蠢き移動する光景ってチョット面白いと思っていたが、断念。
ボクの妄想は、敢え無く却下となる。
観察って大事だよな。
ディメーションを閉じて、一息つく。
皆静かだ、何してるのかと思い顔を上げると風景を眺めていた。
たまには、こういうのも悪くないと思いボクも外を眺めた。
行きと同じくロカナの街は、素通りした。どんな街か知りたかったな。
日が翳り夕暮れ時に馬車が停車した。
ボク達は、言われる前に急いで馬の世話をする。
勿論、丁寧に!だ。
シャー達は、ずっと走って後を付いて来てた。
今は、満足そうな様子で馬車の中で丸まっている(良かったね)
一気に山の麓まで馬車を走らせていた、テントも張ら無い所を見ると、また夜中に出発して山は、一泊の野営で済ます積もりなんだろう。
危険は、なるべく回避したいよね。
あんなハプニングは、もうごめんだ。
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