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26 六日目 ムバクーヘンの街

翌朝、目が覚めたら、シャー達も小さくなってボクに寄り添って寝ていた。

嬉しいけど、暖かくなってきているので少し…う~ん。


「お、ノアおはようー」

「ラグおはよう」

「昨夜は、寝るの早かったなー」

「うん、いつの間にか寝てたんだね」

「ノアが寝ちゃうと、シャー達もノアの側から離れないからつまんないよ」

「ふ~ん そうなんだ、知らなかった」

「我は、主をお守りするのが仕事ですから当然です」


シャー達がいつの間にか横並びで、キリッと顔を上げていた。

小サイズで…いや~もう~可愛いな~とデレてしまう。


「僕も従魔のステータス欲しかったな~」口を尖らせスミスが呟いた。

「従魔のステータスなら俺も欲しいぞ!」ガバッと起き上がりトリルが叫ぶ

「俺だって欲しいけど、どう習得するかな…難しそう」溜息をつくラグ

「でも…まぁ~ノアがいるから、シャー達といられるし、いいか!」

「だな!」

「ん~だね」

「よし!ご飯に行こう」

「その前に馬!」


皆で餌と水遣りに向かい、傭兵組と鉢合わせた。


「おはよう」「おはよう」

「ノア達早いね!」

「久しぶりのベットで、夢も見ないでぐっすり眠れたよ」

「野営は、初めての経験だもんね。僕も最初、慣れなかったよ」

「慣れるものなの?兄さん」

「うん 段々とね」

「野営と言ってもテントを張っているし、今のところ天気も崩れていない、マシな方だよ」サザンが教えてくれる


そう言うものなのか~と、感心していると


「何も無い所で寝るのか?」

「うー」

「雨降ったら、どうするんだよー」

「濡れるの嫌だな~ぼく」

「甘いなお前等」

「虫や蛇も出るぞ」

「えー」


傭兵組の体験談に、わいわいと話が盛り上がっていたら「坊主ども飯の時間だ、早くしろ」ドアロスの声が響いた。

その声に、馬がビクッと震え迷惑そうにボク達を見た。




出立の準備を終え、村長にお礼を言ってデクシラの家に寄る。

名残惜しいが、帰りにまた寄るからと約束をして、村を後にした。

今日中に次の街へ到着する予定だ。ボク達はムバクーヘンを目指す。


牧草地帯を離れ、左に鬱蒼とした森が遠くに見え右には、草原が広がっていた。

ずっと小さい状態のシャー達をノビノビ走らせてやりたいと思い父さんに、街の手前まで外を走らせたいとお願いして許可を取った。

シャー達は、馬車から付かず離れず気持ちよさそうに走っている。


お昼休憩の停車場に他の旅人の姿が見えたので、シャー達を呼び戻し小型化にした。

気付かれなかったようで、騒ぎにならずホッとする。

その後は、旅人の姿も増えたのでシャー達も大人しく馬車に乗っていた。


夕方にムバクーヘンの街に着いた。

街の入り口で、人物確認の為列に並んだ。

シャー達は、影に潜ませる。

商人や旅人が多く結構な長さだったが、問題なく列が進む。

ボク達の番になり馬車から降りてプレート(ギルドカード)を水晶に翳す。

犯罪者を街に入れないように警戒するためだ。

プレートを翳すと係の騎士が驚きの表情で、ボクを見る。


「君、詰め所まで来てくれるね」有無を言わさぬ顔だ。

「え…ボク何も悪い事なんてやっていません」

「何か不都合な事でも?」父さんが聞いた。

「いや 違います。お尋ね者の盗賊の首領を討伐したと証明されまして」

「えーー?あ…あいつか」父さんとボクが顔を見合わせて頷いたので

「お心当たりが、ある様ですね」騎士に付け込まれた。

「お連れの方々も…それぞれ討伐証明が記載されてますね、一旦馬車をあそこに停車させて、悪いんですが詰め所まで来てください」


仕方ないので父達と傭兵組そしてボク達は、詰め所に入った。

詰め所の騎士たちは、ボクがどうやって討伐したか聞きたがったがボクの口は重い…

あんなチートな能力をひけらかしたく無いよなぁ…困っていると


「どんな能力か言いたくないんだ、興味本位に聞くもんじゃ無い!」


察したドアロスが睨みを利かせ一喝した。

すると騎士達も、無理強いしてる事に気が引けたのか、それ以上追及するのを諦めた。

そして、事務的に仕事を進め出す。

プレートに記載された討伐証明分の報奨金が出る事。

今現金で渡してもいいが、ギルドの通帳に振り込むことも出来る事。


知らなかったが、登録するとそういうシステムも使えるようになるらしい。

傭兵組に聞いたら、正式登録の時に説明を受けたと教えてくれた。

仮登録のGランクでも使えると教えて貰ったので、父さんに相談すると、旅の途中だから預けた方がいいと言われて従う事にした。


金額は、各々違うので個別に署名をするよう指示をされ一人ずつ狭い個室に連れていかれた。

気分は、ドナドナ犯罪者だ。


「ノア君で、間違い無いね!」

「はい」

「ふむ、首領とその手下合わせて35人で違いないね」

「え?そんなに多くないです」

「しかし、君のプレートにそう証明されている。どういう事だ?」

「あ…もしかして、ボクの従魔が倒した数も入っているのかも」

「君は従魔使いか、テイマーギルドの登録が無い様だが?」

「登録する為、王都に向かう途中なんです」

「なら仕方ないな、一応従魔の確認をしたいんだが、これは決まりなので」

「え~ここじゃ狭いかも」

「詰め所の外にいくか?」

「人目に付くのでチョット…」

「ふむ、なら壁の外に出よう」


そう言うとサッサと先に歩いて行くので、慌てて後を追う。

ボク達が入った門とは、別の通用口がありそこから外に出られた。


「さぁ、ここなら文句ないだろ?」ここまでされたら仕方が無いので、「シャー達、出て来て」サッとボクの影から5匹が出て、静かに佇んだ。


「こりゃ~大したもんだ、なるほど納得したよ。しかし…」

「あの、もういいですか?」

「おっと…考え事をしてしまった、すまん。それで街中では、どうしているのかね?」

「小さくなって貰います」

「ほー見せてくれるかね」

「はい。シャー小さくなって」

「おおー」目を白黒させながら見入っていた。

「よく分ったよ、戻ろうか。それと小さければ出していても構わんからね」


小部屋に戻り討伐の金額大銀貨100枚と提示され、度肝を抜かれる。

後で父さんに相談しないとな…金額が大きすぎて憂鬱な気分で部屋を出た。


騎士達にお礼を言って詰め所を出る時呼び止められ、左を指差しこの先の宿屋に停車場と馬房があると教えてくれる。

親切だなと思ったけど、ボクに対する謝罪の気持ちだろうとミスドさんが耳打ちした。


宿屋では、家族単位で部屋を取る事になった。

デクシラが居なくなり、母さんが寂しそうにしているので配慮したようだ。

傭兵組のセルジュもこの時ばかりは、家族と一緒の部屋に泊まる。

人数が多いので、食事も別で済ますようだ。


ムバクーヘンの街は、北東が海に面しており貿易の要所となっている。

なので、宿屋の料理も新鮮な魚介が売りだ。

ボクは、お刺身を期待したが生魚を食べる習慣が無いみたい、残念だった。

それでも、珍しい料理が所狭しとテーブルに並び家族と語らいながら、美味しく楽しくお腹いっぱいになり大満足だ。


部屋に戻り、父さんに報奨金の事を相談した。

父は、暫く黙し他の親達と話をしてくると言って部屋を出た。

半時ほど時間が経過し父達が部屋に入るといきなり「坊主、稼いだな!ワハハ」ドアロスが豪快に笑った。


「その場にいた大人の意見と、あと冒険者の方がこういう分配に明るいと思ってね、連れて来たんだよ。まずノアがどうしたいのか自分の考えを話して」

「あの…ボク、皆で協力したのにボクだけ大銀貨100枚は、おかしいと思ったんです。迷惑でなければ皆と分けたいと…」

「ふむ、まず協力していたがパーティーを組んでいなかった。これは、正当なソロの報酬だ。だから金額が多い事は、気にしなくていいんだ。それでもノアがどうしてもと言うなら、分配すればいい。だが、俺達大人がおいそれと貰う訳にもいかないしな…」

「でも、盗賊を捕まえただけじゃ無く、墓所を作ったりその後の警備は、ボク遊んでいて何もしていない…」


ドアロスは、考え込んだがハーネルが提案した。


「俺とドアロスが個人で貰った報奨金をノアに、あと傭兵組を抜いて、子供らが貰った分をミスドに分けてやればいい。そして、100万シリから俺達10人が均等に分ける事にしたらどうだ?そうすれば、少し多めにノアの手元に残るし、俺達も潤うしな。それでノアの気持ちが少しは晴れればいいが…」


「ノアどうだい?」父さんが肩に優しく手を置き聞いた。

「はい、そうして下さい。宜しくお願いします」

「じゃ明日、飯食ったらギルドへ行くとするか」


ドアロスの言葉で話は終わり、それぞれ部屋へ戻って行った。


「父さんは、誇らしいよ」頭を優しくなでられ、くすぐったい思いだ。




最後までお読みいただきありがとうございます。

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