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24 三日目 ストラダム村 6

シャー達の洗礼を受けずに目覚めたけど、寝床から起き上がれない。


全身筋肉痛だ…隣を見るとみんな同じようで、動きが緩慢だ。


「痛ってててって」

「体が…」

「うぁ、もうやだー」

「普段、動いているつもりなのに…」

「ラグ歩き方!おじいちゃん」


笑いが溢れ何だかホッとする。

昨夜は、皆言葉少なく横になった。

だが今は、カクカク変な動きをして笑い、痛いと言ってまた笑う、みんな一緒で本当に良かった。


馬の世話を済まし食事に行くと、傭兵組が先に食事を始めていたので様子を窺うが、いつもと変わり無い、だから不思議に思い訊ねた。


「兄さん達は、筋肉痛になって無いの、平気なの?」


「お前等とは、鍛え方が違うのだよ!」


何故かリーが威張って返答し、3年の差は、こんなに大きいのかと妙に納得した。

やるべき事は、昨日終わらせたしあとは、父達の帰りを待つだけだ。

時間がぽっかり空いた。


「兄さん達、これから何するの?」


ボクの問いに今度は、セルジュが答えた。


「僕達これから、おじさん達と交代して見張りをしなきゃ。」


「盗賊は、シャー達が見張っているでしょ?」


疑問に思ったスミスが聞き返すと


「そうじゃなくて、魔物や獣に墓を荒らされないように見張るんだよ。」 


「昨晩おじさん達が交代して見張っていたから、明るい時間は協力しないとね!」


「俺達は、仕事で来てるしな!」


サザン オルム スターリーが代わる代わる答え、手早く食事を済ませ墓所へ向かった。

ボク達は、暇を持て余しシャー達の様子を見に行く。


「シャーどこー?」


ボクの呼び掛けに応じて、影からサッと現れた。


「シャー見張りありがとう。ちゃんと休憩している?」


「はい、ご心配なく」


「中の様子は、どう?」


「きつく縛られていて大人しいです」


会話をしながら無意識に手が伸び、大きい時のシャーは、キリッとしているな~なんて思いながら体を撫でた。

シャーも気持ちよさそうに目を細める。


「そっか~お腹空かしているかな?」


スミスが思い付きでチョット言っただけなのに


「悪人なんだし、それくらいどうって事無いよ!」


「悪人なんだし、2~3日飯抜いたくらいで死にゃしないよ!」


過剰反応したラグとトリルが、辛辣な言葉で返した。

それを聞き流しながら異世界で良かったね!と思ったよ。

だって…そんな言葉を口にした途端、うん臭いどこかの人権団体やら、マスコミに扇動された世間からの、誹謗中傷に晒されるところだったよ。

まぁ~ボクも、二人に同意するけどね。

そんなどうでもいい事をぼーっと考えていたら、シャーが首を傾げて不思議そうな眼差しを向けていた。


「シャー達が忙しいなら、出来ないな…」


思考を切り替えボソッとボクが呟くと、3人と1匹が素早い反応を見せる。


「何々?」「何かあるのか?」「面白い事か?」「主!」


「あ~だって、シャー達がいないと出来ないんだよ…?」


「一応言うだけ言ってみろよ!」


ラグが詰め寄るからボクの希望を話すと


「シャーに乗る練習したいな~なんて、思ったの」


「あ~楽しそうだな」

「やりたいね~」

「シャー達がなぁ~」色々葛藤しているな、シャーまで…


「主、出来ない事も無いと思います」


「!!!!」


「え、どうするの?」


「5匹も必要ないので、2匹見張り、2匹は、主と後は、休憩に1匹と順に回せば事足ります」


「シャー頭いい!」

「でも大丈夫?」

「無理していないか?」

「シャー本当にいいの、キツく無い?」


「主、大丈夫です。我等は、体も大きく魔物ですよ?体力もあります」


シャーの提案でまずは、シルバーとアッシュが一緒に行く事になった。

シャーは、リーダーだし譲ったようだ。

2匹を連れ拠点から林の間にある原っぱで練習を始めた。


「ノアは、決まりだから~あと俺等でジャンケンだな」


ラグがそう言ったが、ボクもシャーを見習って何と無く…


「え?ボクもジャンケンでいいよ」

「本当か~?じゃ~みんなで」


ージャンケンポン アイコデショ!ー

勝負の結果、結局ボク1番トリルが2番、3番スミスでラグが4番だった。


「トリル、どっちにする?」


「ん~シルバーよろしくな!」


「ボクは、アッシュだね。頼んだよ!」


2匹は、乗りやすいように伏せをして待つが、伏せていてもボクの胸のあたりまで高さがあるので、背に乗るのが大変だ。

苦労しながらも何とか跨り、アッシュが立った時は、新鮮な驚きが待っていた。


「うわぁ~高い!」

「スゲー遠くまで見渡せるぞ!」


二人の歓声に、ラグとスミスが羨望の眼差しで見詰める。

暫し感動に浸ってると、ラグがせっついて来た。


「早く動けよ~」

「あ…うん、アッシュゆっくり歩いて」


歩き出すアッシュの体幹に合わせ体も揺れ、軽快なリズムで歩を進める。

ゆらゆら楽しい、乗り慣れたら次の段階へ


「じゃ~走ってみて」


走り出した途端、大きく揺れたので思わずしがみつく。


「アッシュ、ストーープ!」


急激に止まったので今度は、落ちそうになった。

気を付けなきゃ。

暫く走ったり歩いたりを繰り返し思う存分堪能していると、二人がうずうずした表情で我慢しているのが見えた。

そろそろ交代するか。


「歩いてスミスの所まで戻って」


スミスの傍でひとまず降りる。


「どうだった?」

「気持ち良かったよ。でも…取り敢えず乗ってみて話は、体験してからの方がいいと思う」


「アッシュありがとう。交代するね」


((主、ご満足頂けましたか?)) 


不安気に問いかけて来る。


((とても気持ち良かったよ。ただ…このままじゃ危ないなって思っただけだよ、後でみんなと一緒に相談しなきゃね!))


「じゃ~アッシュ、スミスの事頼んだよ!」


ボクと話して納得したのか、軽い足取りでスミスを乗せて出発した。

トリルも戻ってラグと交代した。


「ノア…高くていいけど、アレだな」

「うん、後でみんなと相談だね」

「体験しないと分からないもんだな」

「そうだね、乗ってみてよかったよ。慣れもあると思うけどね」


みんな何回か落ちそうになりヒヤヒヤしたし、ラグだけ実際2回も落ちた。

1匹に2人乗れるか試したら案外いけたので、そのまま墓所まで散歩した。


「うぉ!お前ら何してんの?」


リーが真っ先に気付きその時のボク達は、チョット得意げだったかもしれない。

セルジュも羨ましそうだ。


「ふふ~ん いいでしょ~」

「いいな~ノア」

「兄さん乗ってみる?」

「え!いいの?」


パッと表情を明るくするが、サザンが注意する。


「コラコラ、仕事中!」

「ノアそろそろお昼だから、戻った方が良いよ」


セルジュに言われて拠点に戻ると、そこでも驚きと羨望の眼差しを受けた。

お昼ご飯を食べたら相談があるので後で出向くと伝えて、一旦アッシュとシルバーを酒場まで戻す。


「坊主、また面白事を始めたな」


寝足りないのか、ドアロスが目をシバシバさせている。


「ずっとシャーに乗ってみたかったけど、街で大きいまま連れ歩くのは、騒ぎになりそうなので我慢していたんだ」

「登録すれば大丈夫だよ。王都に行けば分ると思うけど、小型のドラゴンに乗ったままの人もいるしね」


ミスドさんが教えてくれた。


「しかし、アジョンじゃまだまだ珍しいからな」

「そうなると注目の的ですね…フフフ」


何を想像したのかミスドは、楽し気だ。うぅん~注目の的かぁ~目立つのは、嫌だけどシャー達の事は、自慢したい!ジレンマだ。


「アジョンといえば、早ければそろそろ戻るころだが」

「陽気が良いので、遺体の腐敗も進みますしね…」


ドアロスとスミスの話が移ったので、食事をサッサと済ませ酒場に向かった。

酒場に着くとシャー達が待っていた。


「主、どうでしたか?」

「うん、凄く楽しかったし視線が高くなって新鮮だった、良かったよ」

「それは、良かった。しかし問題もあるのでしょ」


気遣わし気な表情だ、シルバーやアッシュに何か聞いたのだろう。


「ん~問題と言うか提案?みんなにも聞いて欲しいんだけど、手綱や鞍があれば出来る事がもっと増えると思ったんだけど、どう?」

「我等は、そのような物を身に着けた事が無いので返答しかねます」

「だよね。シャー達が嫌がる事は、したくないから相談しようって思ったんだ」

「ですが、一度試してみて下さい」

「いいの?シャー」

「お!前向きな返事だな~」


ラグは、嬉しそうだがボクは、難しい顔で話を続けた。


「でもね…ここで、もう一つ問題がある」

「問題って?」スミスが不安そうだ。


「ん~シャー達サイズが変わるでしょ?伸びた縮んだりする素材ってあるかな~?これが出来ないと不便だよね」

「そんな素材聞いた事無いぞ」


トリルの言葉にみんな頷き困った顔になった。


ボクも…う~ん、形状記憶合金ってニッケルとチタンだったかな…無理!

あ、錬金でなんとかなるのかな~?でもLv10にしたけど、今まで一度も試してないから、何が出来るかがわからないや。

伸びて縮むか~アメーバーとか…後何かあったけ…ハッ!閃いた。


「ねえねえ!スライムどうかな?」


急き込んで思い付きを話したら、


「はぁ~?」

「何で急に?」

「何でそうなる?」


三人揃って懐疑的な表情だ…


「だって、スライムって伸びたり縮んだりするでしょ?」

「プルンプルンだね」

「スライムを従魔にして形を変えるんだよ!核の部分さえ保護すれば手違いで滅される事も無いし…どう思う?」

「突拍子もないアイデアだけど、面白そうだなそれ!」


流石、ノリがいいラグと控えめながらも賛同するトリル。


「試してみる価値あるか」

「スライムを探さなきゃね」

「いっぱい捕まえるのか?」

「今から?」

「スライムも登録するのかな?」

「弱すぎて登録いらねんじゃね?」


3人共ノリノリで頼もしい限りだがこれだけは、言っておかないと。


「スライムを従魔するなら5匹だよ。一度従魔にしたら兄弟みたいに思えるんだ…大切になる。だから…失敗してもいいから、みたいな雑な扱い嫌なんだ」


「わかったよ、5匹な!」

「5匹だよね」

「当然だな」


みんなの同意を得て新たな目標が出来た。

スライムを従魔にするぞっと。


気になっていた相談が終わり、午後も乗せてもらう事にした。

レッドとブルーが二人乗せても大丈夫というので、2組に分かれ乗り村の中を散歩する。


「ここの通り、道端5人組が寝ていたところだよ」

「あ~間抜けだったよな」

「あ!ここで足が攣りそうになったんだよ」

「慎重に音も無く早歩きって、 訳分らんかった」

「どうしろって言うんだって、叫びたいの我慢したよ」


会話が弾み村を散策した。

僅か数日の滞在だったけれど、嫌な事ばかりじゃ無かったね。

村の入口に差し掛かり境界線の外を見渡したら、土煙がもうもうと上がっていた。


「あれ見て!」

「何だ?」

「まさかまた盗賊?」

「いやいやいやいや」

「騎士かな?先頭に重装備の人がいるよ」


一団は、村の入口近くで停止してこちらを窺っている。


「止まったよ」

「何で?」

「さぁ~?」

「ん~?」

「あ!父さんだ」


ボクは、騎士の一団に紛れた父を見つけてホッとした。

そして、レッドの背の上から思いっ切り手を振った。


「おぉーーい、父さんおかえりなさーーーい」

「あ、本当だ」

「お帰りなさーい」

「お帰りー」

「親父早かったな―――」


また挨拶が無いって怒られても知らないよ?僕達を確認した父達の馬が、先に向かってきた。


「お前達、騎士団の斥候から大きな狼に乗り操る子供がウロウロ徘徊していると報告があって、こっちは、大騒ぎになっていたんだぞ!」

「乗っている所を見た事無かったから、 まさかと思ったら…」

「驚かしてごめんなさい。でも今朝乗る練習したから、今日が初めてだよ」


ボクもこれ以上言いようがない、他の3人も何とも言い難い顔をしている。

ハーネルが騎士団の元へ戻り、安全だと事情を説明して村に招き入れた。


騎士団の隊長スデラーが、馬上からボク達を凝視する。

怖かったけど目を逸らさずにジッと見返した、けど本当に怖かったよ!


「ふふ獰猛なウルフどもを手懐けるだけ有るな」


それだけ言うと父に向き直り「まず拠点に案内してもらおう」と言い、何事も無くその場を去った。

一団が通り過ぎる時、騎士達にジロジロ見られたけど


「俺達何も悪くないのに…」


不貞腐れるラグ、そして首を傾げるスミス。


「悪戯が見つかったような気になったのは、何故だろう?」

「気にするな!」


ブレないな…雑な感想のトリル、それに同意する僕もボクだけど。


「うん、気にしたら負けだ!多分」


不思議な事にレッドやブルーも同じ気持ちのようだ、ビンビン感じたよ。


「あっ酒場…シャー達がいるから行かなきゃ、早足でお願い走らないでね!」


酒場迄急いだが、すでに騎士団も近くまで来ていた。


「シャー達、出て来て」


影から、シャー・アッシュ・シルバーが順に出て来る。


「主、終わりですね」

「え…あっそうか、通信か慌てなくても良かったんだ。アハハ」

「ノアってたまに抜けてるよな」

「え、たまに?」

「結構あると思うぞ」

「酷いよ…みんな」


ボクがへこむと


「大丈夫です。我は、主のそのような様子も好ましく思っています」


励まされている?馬鹿にされている?

シャーと通信の両方でウルフ達が、わいわい慰めてくれるからもういいや。


騎士達が酒場の中に入り盗賊を連行し始めたのを眺め、ボク達も拠点に戻る事にした。

帰る途中、やっぱりジロジロ見られたけどね。

仕方無い体長2m強のウルフ5匹と、その背中に跨る子供4人目立っちゃうよね。


スデラー隊長に登録がまだなら人目を気にしなさいと、注意を受け素直に謝る。

騎士団が現れた時点で影に潜ませていれば…ラグの言う通りボクって抜けてる。


騎士団と一緒に、街に住むストラダム村出身の人も数人やって来たので、少女の事や墓の事を任せボク達は、明日村を出る事にした。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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