19 一日目 ストラダム村
王都へ旅に出る日程が5日後に決まり、何故か皆一緒に行く事となる。
父さんが、セルジュ達のパーティーに傭兵の指名依頼を出した。
セルジュもボクと同じく10歳で仮登録してGランクになり、12歳で本登録する頃にはEランクになっていた。
そして 一年が過ぎ13歳になった今 他のパーティーメンバーのランクはDだがセルジュ自身は、Eランクのままだ。
2足の草鞋もそろそろ限界かな?
ラグとトリルの両親は、Aランク冒険者だ。
長旅になるので、二人の父親が一緒に付き添ってくれる事になって心強い。
そうなると スミスの母は、息子だけ保護者無しで行かせるのが心許ないと思ったのか「たまには、男同士出かけて来い」と 父の背中を押したそうだ。
4人の父達がまた揃う事となった、何かのフラグじゃ無ければいいが…
王都へ向かう道程の途中、デクシラの故郷コトネル村に寄る事にした。
きっと 最後のいい思い出になるだろう。
結局 荷馬車1台 箱馬車2台の大所帯になっていた。
5日間の間 旅の準備やギルドの依頼を受けたりして過ごした。
あと、レッドとブルーの名付けも無事終わらせホッとする。
荷物を運ぶのにアイテムバックを使いたかったので、父さんに少しステータスの話をした。
詳しい事は、勿論省いて全てを話せていないけど チョットだけ心が軽くなった。
そして当日 慌ただしかったが準備も整い王都へと旅立つ。
荷馬車の御者と荷物をセルジュ達傭兵組に任せて先頭を走り、母さんとミアとデクシラが2台目に乗り込みボク達4人は、3台目に
父達4人は、2台の箱馬車の御者を交代しながら適当に乗り込む。
南門を抜け初めて外の壁を越える 興奮してきた!
だがボクは、疑問の解消をしなければ気になって旅を楽しめない。
「ボク 一緒に行けるなんて思って無かったよ。どうやって説得したの?」
真っ先にラグが胸を張って答えた。
「広い世界を見たい!と五月蠅く言い続けたのさ」
「俺は、こじつけ戦法だ」
「え…」「何を言ったの?」「参考までに聞かせてよ」
「ん~ノアだけ見聞を広め知識を深めてはこの先不都合だ。とか? 後は、俺達はきっとこのメンバーでパーティーを組む、なのでこの先命を預ける相手の事を良く知らないと危険だ。とか? それに、この旅でノアだけ成長をしたら深い溝が出来る。何て事も言ったかな~ まぁ色々こじつけたら苦笑いして折れてくれたよ」
肩を竦めてトリルが答えた。
「それって、ノアだけ狡いって駄々こねただけに聞こえるよ」
笑いを堪えてボクが言うと、スミスとラグも囃し立て声を上げて笑った。
「言えてる」「子供かよ!おこちゃま」
トリルは「うっせいよ」と言って、赤い顔してそっぽを向いた。
「でもトリルってさ、なんだかんだ言って勢いで話し纏めるの上手いよね、前に父さん達に話した時も最後は、トリルが押し通しちゃった感じだったし…そういう妙な自信を持って話せるのって、羨ましいな」
「それな!」「才能かな?」
スミスがフォローしてラグとボクが深く頷くも「全然褒められている気がしない…俺の話はもういいよ、それよりスミスはどうやったんだよ」
納得いかない表情のトリルが話題を変えた。
「ぼくは、大したこと無いよ 「いいな~ノア」「王都か~」「行きたいな~」ってね、毎日父さんの傍でブツブツ呟いていただけだよ」
「それを 毎日何回もか?」「嫌かも…」「うん 鬱陶しい」
「あ!酷~い。消極的だけどぼくなりに頑張ったんだよ」
プゥーっと膨れっ面をした。
「でも、みんな揃ってボク嬉しいよ」疑問が解消してスッキリしたしね!
その後は、見たことも無い景色を堪能したり遠くに見えた魔獣に驚いたり、手当たり次第目に付いた事を話題にしてワイワイ盛り上がった。
ん~~楽しい 本当に修学旅行みたいだ。
そのまま暫く馬車は走り お昼休憩の時間だ。
馬車から外に出て、固まった体を伸ばしていると父達に呼ばれた。
「坊主ども こっちへ来い」
「父ちゃん何?」
ラグが返事をしてボク達も後に続く
「旅の間 お前達4人に馬の世話をして貰う」
ラグの父ちゃんの話を聞きキョトンとするボク達。
「荷馬車の方は、セルジュ達に任せるから君達は、箱馬車の4頭を頼むよ」
「はい。けどボク 馬の世話の仕方を知らないよ?」
「それは、これから教えるから大丈夫だ」トリルの父が胸を叩いて言った。
それから 馬の世話の手順を教えて貰い、それぞれ一頭受け持つ事になる。
商人や旅人が休憩しやすいように、街道沿いに休憩所が幾つか設置してある。
そこに馬を停めておく場所があるので、歯噛みを外し馬を誘導する。
馬繋場に手綱を結わえたら馬を労り飼い葉と水を与える。
この説明の時「ちゃんと撫でて褒めてやるんだぞ!」と熱く語っていた。
そして、休憩が終わったら歯噛みを付け馬車に繋ぐ 要点は、こんな感じだ
旅の間 子供達を遊ばせてばかりでは不味いので、仕事を与え責任について学ばせようと話し合った結果らしい。
馬の世話を始める前に、シャー達を外に出す許可をとった。
ずっとボクの影に潜んでいたシャー達に、小さい状態で出るよう指示し「みんな遠くに行ったら駄目だよ!知らない人に近づいても駄目だ」
シャー達は、まるで子供に言い聞かせるようなボクの注意を大人しく聞いた後、伸びをして嬉しそうに駆け出した。
それを見送り ようやく馬の世話に取り掛かる。
少し面白かったのは、小さいシャー達を目撃した父達が目を丸くしていた事。
あと 気になったのは、ミアの凝視かな?じゃれ合う子犬状態のシャー達 ん~なんて可愛いんだ!欲しくなるよね、譲らないけど…
女性陣が、手早く食事の支度をして用意が出来たようだ。
旅の途中見た珍しいモノと美しい景色の話、色々あって食事の話題に事欠かない。
食後 ボク達は、言われた通り馬の世話をして出発の準備をする。
小さいままならシャー達も馬車に乗せて良いと言われたので、そうした。
ミアもこっちに来たそうにしていたが、ボク達4人とシャー達5匹じゃ手狭な感じなので諦めたようだ。
次の目的地 ストラダム村を目指し馬車を走らせた。
ボク達は、この旅の間にシャー達の背に乗り走る練習をしようと相談していた。
シャー達も喜んで承諾してくれて良かったよ。
分からないのは、全てのウルフに名前を付けたが言葉を話すのは、何故かシャーだけだった。
景色も見飽きたので、その事をラグ達と考えながら時間を潰す。
わざわざ言葉にしなくても5匹と意思の疎通はできる。
スマホより早いし便利なので困らないけどね、単に話題を提供しただけ。
そして、明るいうちにストラダム村に到着した。
小さな村で宿など無いが、停車場とテントを設置する開けた場所があるとの事で案内して貰った。
お礼を言ってその場を借り 野営の準備をセルジュ達と父達が担う。
ボク等は、柵木に馬の手綱を結わえ世話をした。
一仕事終え 日が沈むには、早い時間なので 父達の許可を貰い近くに見える林を探検する事にした。
勿論シャー達も一緒だ。
「林の奥深くまで行ったら駄目だよ!」「坊主ども危ない事するなよ!」心配する父達に元気よく返事をし、念の為装備を手にする。
「君達も護衛で付いて行ってくれないか」
スミスの父が傭兵に声を掛けると、セルジュ達の顔が一瞬パッと明るくなり直ぐ神妙な顔に戻し答えた。
「わかりました」「しっかり護衛します」「お任せください!」
そして8人と5匹は、転がるように走って林へ向かった。
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