13 Gランク冒険者予備軍
5月になり、晴れて南門から外に出る日が来た。
今はまだ9歳と5か月だが、今年10歳になるので問題ない。
毎年5月になると、その年に10歳の誕生日を迎える子供達は、ギルドに仮登録する事が出来る。
ランクは、底辺のG…だがGランクでも関係ない!少しでも早く外の様子を知りたいからね。
本来 正規のギルドカードは、12歳の誕生日を過ぎてからしか受け取れない。
その場合、普通Fランクからだ。
アジョンの守りは、南門の両脇に堅牢な4mの壁があり、その門の外に出ると1Km先に高さ1mの2枚目の壁がある。
それぞれが、街を囲むように張り巡らされていた。
仮登録の子等は、安全の為2枚目の壁までしか外出許可が下りない。
2重壁の中のモンスターは、スライム程度しかいないし稀にはぐれモンスターが出る事も有るが、目撃情報があれば直ぐにギルドが討伐する。
ボクは、この5年間でラグとあと二人 仲のいい友人が増えた。
ギルドの初心者修練で一緒だった子達で、同年のスミスとトリルだ。
4人で協力して、今日まで魔法や剣技の練習に打ち込んできた。
その頃の唯一の悩みは、個人の訓練に時間を割けないという事。
なので時間・空間魔法など、主にボード右側にpをガンガン振った。
他の魔法や槍術は、皆と一緒に訓練して順調に伸ばす事ができた。
なのでボード左側の魔法は、隠す必要が無いから楽だ。
本当のステータスの全容は、未だに秘密にしているけど…ラグロスは、何か気付いているようだが 父ちゃんの教えを律儀に守り余計な詮索をしてこない。
善い奴だ。
――ノア ステータスボード――――――
名前 ノア 年齢 9歳 基本Lv68
HP 37,800
MP 580,000
力 12,800
魔力 320,000
火魔法 Lv10 時間魔法 Lv10
水魔法 Lv5 空間魔法 Lv10
土魔法 Lv6 錬金 Lv10
風魔法 Lv10 従魔 Lv10
氷魔法 Lv10 鑑定 Lv10
雷魔法 Lv5 隠蔽 Lv10
光魔法 Lv10 槍術 Lv7
闇魔法 Lv2 馬術 Lv3
(p366)
<スキル> 君子不器 神の寵児
――――――――――――――――――――――
今日もこれから噴水広場に集合する約束だ。
「おはよう ノア」
「おはよう ラグ スミス トリル」
「早く行こうぜ!」
ボク達は、ギルドへと急ぐ。
案の定 ギルドの前は、同年代の子等で溢れていた。
そして、チムニー先生の野太い声が辺りに響いている。
「お前等並べ――――!」
「チムニー先生 おはようございます」
ボク達の親がお金を出し合って、週に1回指導者付きで5年間修練場に通っていたので、すっかり顔馴染みだ。
「おう!お前等も来たか、知り合いだからって優遇はしないぞ、ちゃんと並べよ」
「ハーイ」
暫く待った後、ボクの順番が来てギルドのカウンターに立つ猫族 アリスの前に進み出た。
プレートを受け取る場所には、備え付けられた仕切りがある。
横から覗き込まない限り、人目に触れないようになっていた。
「こちらの用紙に名前と誕生日を記入して、あと小銀貨1枚を頂きます。損失した場合の再発行は、中銀貨1枚が必要になるので気を付けてね」
再発行にかかる料金の方が高いのか、無くさないようにしないとな。
記入した用紙を渡すと、銅で作られた5cm×3cmのプレートを手渡された。
「ここにプレートを嵌め込んで、この水晶に手を翳して下さい」
「はい」
言われたとおり翳すと、水晶が煌めきを放ちプレートに文字が刻まれる。
「名前は、ノア君。基本Lvが…エッ!何かの間違え?」
「シッ―!声大きい」
ボクは慌ててアリスさんを窘める。
プレートには、名前 基本Lv 討伐履歴 犯罪歴等が次々と記入されていた。
「ボクは、魔法の適性が高くて 魔力操作の訓練だけでもLvが上がりやすいみたいで…それに友達と週一でここにも通ってたし…」
頭が真っ白になり 小声で苦し紛れの言い訳を試みる。
知らなかった迂闊だった…冒険者ギルドは、ランクも関係するので基本Lvが表示されるのか…。
アリスさんは、挙動不審なボクを薄目で見ていた。
「まあいいニャ、規格から少し外れていると噂を聞いていたニャン」
「エッ!ニャン?」違う!そこじゃない「うっ…噂?」
「あ…いけない、ビックリして素に戻っていた。コホン」
「あの~これって守秘義務ですよね?誰にも言わないで下さいね!」
「勿論です。言いふらしたりしませんよ、登録が終わったのでこちらをお持ちください。Lvを隠して名前だけ表示もできるので、宜しかったらご利用くださいね!」
「ありがとうございます」
じゃない!流れるような説明で誤魔化されるところだった、危ない。
「噂って、何の事ですか?」
「あ~聞き逃してくれませんか…」
「いや、気になるので」
アリスさんは、コソコソ小声で打ち明けた。
「ここで聞いたって言わないで下さいね、情報漏洩とか面倒なので。教官達の間で、年の割に能力の高い子供がいるって噂になっていて、名前は伏せられていたのですがぁ このLvを見ると…ね!君の事だなぁって気付いたって言うか…」
「わかりました、教えて下さってありがとうございます」
知らない所でそんな噂立てられていたなんて…ギルドで訓練するのも考えものだな。
煩わしさを感じ溜息をついた。
「ノアどうした?」
「あ…ラグ 終わったの?」
「おう!バッチリ。後ろで見てたけど、お前アリスさんと何か話し込んでいたよな、何かあったのか?」
「うん?いや…何でもないよ、アハハ スミスとトリルまだかな~?」
「今スミスの番だな、噂をすれば スミス終わったか?」
「うん!今トリルの番」
「この後どうする、直ぐ外に出てみるか?」
ラグが待ちきれない様子で聞いてくる。
「当然!行くしかないでしょ?」
打てば響くような返事をスミスが返し、ボクも当然異存ない。
「うん!ボクも行ってみたい」
嬉しそうに見せびらかせながら、トリルが戻って来て「エヘヘ 出来たよぉ~僕のプレート」「イヤ…みんな同じもの持ってるから」3人揃って総突っ込みをした。
「トリル 今から外に出てみようって話していたけど、どうだ?」
「俺も丁度そう思っていたよ」
4人で南門に向かう為ギルドを出たら、順番待ちの整理をしているチムニー先生に呼び止められた。
「お前らプレート貰ったかー?」
「はい!バッチリ」
「おうそうか、良かったな。今すぐ外いくのか?」
「はい!」
「そうか…」
チムニー先生が少し難しい顔をした。
「何かあったんですか?」
「ハッキリしないんだが、昨日ウルフを見たと情報があってな。直ぐ討伐依頼出して数人送り出したんだが、空振りだったんだ。」
「えっ…空振り?」
「情報を知らせてくれた人も討伐に向かった奴等も信用できる人物だから、この行き違いは何なのか判断がつかなくてな…と言う訳で、何か危険だと感じたらすぐ戻るんだぞ!」
「はい」「わかりました」「気を付けます」
「おう、それじゃ~気を付けて行ってこい」
「行って来ます」
南門には、街を出入りする人や荷物の確認をする為 門番が目を光らせている。
ボク達は、出来立てホヤホヤのギルドカードを提示して無事に外へ出た。
その時 少し緊張してドキドキしたのは、秘密だ。
初めて門から外に出れたのが嬉しくて、少しでも街から遠くに離れてみたくなり、低い壁まで駆け寄った。
外側の壁は、1mと低いので壁の向こう側まで見渡せる。
「おう~やっぱり 川向うの野原とは、スケールが違うな!」
「あっちに林があるよ!秘密基地とか作ってみたいよな~」
「ここから外に出たら叱られるよ。ギルドカードも没収されるかも?」
「アーあり得るな…」
「それより明日からどうする?Gランクでも薬草採取や掃除なら依頼があるよ」
「小遣い稼ぎするのも良いよな!」
「今から色々依頼こなせば12歳の本登録の時にさ、Fランクより上位のランクから始めれるって話を聞いたぜ」
「それいいな!」
「じゃ~明日から、何か依頼を受けるって事で決定な!」
「おぅ!」
暫く外の空気を満喫して満足したボク達は、お昼前に家路についた。
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