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「こうやって、家族揃って食卓を囲むなんて久しぶりね」


愁いを含んだ母の呟きにハッとし、何となく責められている気がして少々居心地が悪くなり、視線をさまよわせるとセルジュと目が合うが、互いに顔を伏せた。


「まぁまぁ」と苦笑いした父の取り成しで、穏やかに会話が続き 無事食事を終える。


そして「さて」と父が声を上げ、家族一人一人の顔を確認しつつ「セルジュとノアには、少し説明したんだが・・・」と話を切り出した。


この時のボクは、父の話に耳を傾けている体で、聞きたてホヤホヤの内容だった事もあり、心持ち集中力に欠いていたよう・・・


(ムバクーヘン街の店をゆくゆくは、ミアに譲るつもりだと明言しなかったが、追々時期を見て話すつもりなんだろうな、今知っても抵抗されるだけだと判断したのか)

(幽霊屋敷買い取りの件も、まだ確定事項じゃないから話さないっと)


そろそろ話も終わりだなと思ったら、ここからが本番だった。


「それからミア、暫くアジョンから離れレカナ街へ行ってもらう」

「え?嫌よ!」(食い気味で即答!!)


商会名を差し替える話や貴族窓口を作る説明を受けた時、少し垂れた瞳を見開きキラキラと輝かせていたのに一転、怒りで顔が染まり眉を顰め鬼の形相だ。


その頃僕の脳内では(ん?レカナ・・・あれぇ~ムバクーヘンじゃなかったの!)と情報が錯綜し思わずセルジュに助けを求める視線を向けたが、兄も渋滞気味のようで目を白黒させている。

父は、そんな兄弟の戸惑いを置き去りにしたまま話を進めた。


「ミアは、最近の客層と需要の変化に気付いているよね?それに伴い商会で燻ぶる問題点も理解しているはずだ」

「はい・・・でも何故、私がレカナへ行くことになるんですか?」

「レカナには、貴族との付き合い方やマナーを学ぶ専門的な場所があるからだよ。それにそこでなら貴族名鑑など庶民には、手にする事が出来ない資料があるので、顔と名前を一致させる事もできる。それらは、きっと君の財産になるだろう。それに同じ年頃の平民や裕福で無い貴族の子息子女も手習いの為学びに行くと聞いた。ミアには、商会以外の場所で近しい年頃の人ともっと関わりを持ってほしいと願っているからだよ」

「ふふふ 色々な理由をこじつけているけれどトーマスの一番の思いは、商会に捕らわれず外の世界を知ってほしい、友人との有意義な時間を過ごして欲しいと願っているのよ」

「ソフィア・・・台無しだ」

「ふふふ」


父や母の本心を垣間見たミアは、今年の秋から二年間 レカナ専修学園への入学をやむを得ず承諾した。

ミアには、まだ知らされていないけど将来の貴族窓口担当だから、しっかり学んで貰わないとね。



お時間をいただき 有難うございます。


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