119
休息日明けだというのに、ギルドの長机に突っ伏し抜け殻状態のボク達。
徹夜作業の疲れが抜けきらず、依頼争奪戦をただ眺めていた。
かねてからの計画通りババールへ旅立つつもりでギルドに報告に来たのに、商業ギルドからの通達で暫く立ち入り禁止令が発動した。
出鼻をくじかれ呆けた状態だが、詳しい状況告知が無いままなのが不穏だな。
「依頼どうする?」
「指名も断っていたし、かといって遊んでばかりじゃな」
「だねぇ~でも、あの群れに突る元気ないかも?」
「まぁ今日は、残った軽めの依頼でいいんじゃね?」
などと、とるに足らない軽口を交わしダレているところへ、入り口に背を向け座っているトリルとラグロスの背後にソロリソロソロ近付くひよこ達が・・・
ボクとスミスに人差し指を口に当て合図を送っているが、多分トリルとラグとっくに気付いているよ?などと考え半ば呆れ放っておく。
慎重に忍び寄ったひよこ共が、飛びかかろうとした一瞬の隙を突き形勢逆転。
ひよこ達5人揃って長机に激突して突っ伏し、背後で二人が腕を組んで高笑い
「ワハハ!簡単に背後を取らせないぞ」
「むふふ未熟よのう~」
「ラグ トリル 何なの?その変なキャラ」
「まぁ言いたい気持ちは、わかる」
「兄ちゃんひでー」
「絶対いけると思ったのにな」
「ウルフがいなかったし、チャンスだと思ったのに」
文句を言いつつ互いにケガの確認をし合うひよこ達は、ニールと友人達だった。
トリルが仕事のことを問いかけると、ギルドに寄る前に朝一番で薬草採取を先に終わらせ、今から報告をしてまた依頼を受けるのだとか、もの凄く真面目に取り組んでいるようだ。
「兄ちゃん達に少しでも早く追いつきたいからな」そう言って明るくニッと笑った。
ボク達は、激昂を目標に追いかけている側だったけど、いつの間にか追いかけられる側でもあったんだなと気付かされ、感慨深い思いだ。
「兄ちゃんチョット相談があるんだ、暇なら待っててくれない?」
「けして暇じゃないが、待っててやろう」
そんなやり取りに笑いを堪えつつボク達も了承し、ニール達を待つことにした。
「なんか悪いな、ニールの事で時間を取って」
「いいよ別に、実際暇だしな!」