107 と ある日のスターリー
冒険者見習い受け入れ準備の為 ギルド職員が慌ただしい中
その様子を壁際の長机で頬杖を付き、ボーっと眺める浮かない表情のスターリーがいた。
そこへ二つ先輩のゼドがやって来て正面に座り、気遣うように声を掛けた。
「どうしたんだ?昇格したのに そんな不景気な面しやがって」
「あっ ゼドさん。ちわっす」
ゼドは、リーにとっていわば兄貴分、幼い頃世話になった面倒見のいいご近所さんだ。
そういえば、この人とミトって同期だったなと気付き「聞いて下さいよぅゼドさぁ~ん」と 愚痴り始めた。
そんなリーを前にしたゼドは、しまったと声を掛けた事を少し後悔したが後の祭りだ。
「激昂メンバーの三人に彼女が居て、うち二人が結婚って話になっているんですよ。ハァ 俺なんか彼女もいないのに…」
「お前彼女欲しいのか?だったらこんな所で腐ってないで、誰かデートにでも誘えばいいじゃないか、気になる子とかいないのか」
「うぅ~ん たくさん居過ぎて一人に絞れない。どうすればいいですかね」
「知るか!馬鹿々々しい」そう言って白い歯を見せ笑った。
「女が居ない奴に相談して、いい回答が得られると思えんがな」
そこにゼドの幼馴染 リーにとってもう一人の兄貴分ファムが現れ、軽口を叩きながらリーの隣に座る。
「お前だっていないだろうが」苦い顔をしたゼドがそっぽを向く
「まぁそうだが、けど将来有望と唄われる若者が昼間っから大声で、しかもこんな公の場所で泣き言言ってるとは、感心しないな」
そう言った後、グッと顔を寄せ「リーお前、妙齢のお嬢さん方にロックオンされてるぞ、気を付けろ」小声で話し視線をゼドの後ろに向けた。
忠告を受けたリーが視線を走らせ見ると、随分年上のお姉様方がこっちをチラチラ見て何やら相談していたので、サッと視線を逸らし「お嬢さんって…アノ人達倍以上うえですよね?俺にはチョット荷が重たいですよ」と コソコソ答える。
「そう思うなら、声かけられる前にサッサとここを出るぞ」
危険?を回避しギルドから逃げ出した三人は、顔を見合わせ笑った。
「依頼を1つ受けているんだが、リー暇なら久しぶりに三人で狩りに行くか?」
「そうだな、成長したお前の姿を披露してくれよ」
「はい!任せて下さい」と元気よく答え、やっぱり俺はごちゃごちゃ考えるより体を動かしている方が性に合うなと思う脳筋リーであった。
この様子では彼女なんて、まだまだ先の話になりそうだ。
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