1話
俺の名前は佐藤京。現実を詰まらないと感じ2次元に逃げている唯の高校生だ。
最近は小説投稿サイトに投稿されている小説を読むことが俺の日課だ。
金はかからないし文字を読むことが好きな俺にとってはまさに最高の暇つぶし、
気が付いたら何時間も読んでいた・・・なんてこともしばしばある。
とは言え、帰宅のために歩いている今は流石に小説なんて読めないので
暇つぶしに謎の独白をしているのだ。
そんな他愛もないことを考えていると目の前をボールが横切り車道に
飛び出していくのが視界に入った。
(おー、まだ転がってるわ。あぶねーな、これって子供が飛び出してくる
んじゃないか。あ、やっぱり来た)
(おおーい、トラック来てるぞ。気づいてないのか、親は・・・いねえな。
マジか、くっそー間に合うか分からんが行くしかないな)
子供を抱いて華麗な横っ飛びを披露する。
「間一髪!がッッッ」
(クッソいてぇ~、子供は無事だが俺の足間に合わんかったか、折れてんな
これは、って、ちょっとまて、やばいミスった。対向車線あんの忘れてた、
多分死にはしないだろうけどまた骨の2.3本は覚悟だな、せっかく助けたし
怪我はしてほしくないからかばっとくか、すまん、名も知らぬ軽トラの
おっちゃんよ、せめて優しく轢いてくれ)
子供を抱いて車に背を向け覚悟を決めた。
キキーッ、ドンッ。
「ガハッ・・・」
アスファルト、それが俺の見た最後のものだった。
◇◇◇◇◇◇◇
「・・・ん・・・あっ」
(どこだここは、病院ではないな)
「おや、ようやくお目覚めですね。んーここですか、なんでしょうねここ。
待合室?みたいなものです」
「いったい何の待合室なんだ?殺風景すぎるだろ、白一色とか。っていうか
広すぎるだろ」
「転生への待合室ですよ。まあ室と言っても本当に部屋なわけではないので、
人間基準の部屋とか小さすぎて作るの面倒ですし勘弁してください」
「いや、別に小さくはないだろう。あんたのサイズからしても人間の標準
くらいしかないじゃん」
「目に見えているものがすべてとは限りませんよ。それと小さいと言うのは
私の扱えるエネルギーからすると部屋1つ創るのに使うエネルギーに差があり
過ぎるという意味です」
「なるほど、よくわかんからいいや。で、転生?」
「はい、転生です」
「なんで?」
「あなたは死にました」
「マジか、重傷は覚悟してたけど流石に死ぬまではいかないと思ってたんだが」
「まあ、普通なら死にはしなかったでしょうね。あえて言うなら運が悪かった
ということですね」
「どういうこと?」
「あなたが高校生であったことと、あなたを轢いた車が主な原因ですね」
「えっと、詳しく」
「知らないんですか?高校生がトラックに轢かれると確殺からの転生は常識
ですよ」
「そんな常識聞いたことないぞ」
「まあ、ここ最近できた常識ですからね。これも転生ものが有名になった弊害
ですね」
「確かにトラックに轢かれて足が折れたけどあれで死ぬのはおかしいだろう?」
「あなたが二度目に轢かれたのはどんな車ですか?」
「・・・軽トラック」
「つまりそういうことです」
「・・・そんなのありか」
「まあまあ、そう落ち込んでないで次の生が有ることを喜びましょう」
「それもそうだな、転生できることを喜ぶとしよう」