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異世界で最強の俺はある秘密を持っている。

作者: デルロット

人間自信がつくと性格変わるようです。


 …目が覚めるとそこは森の中だった。違和感。何か違う。何か違う?いやいや何もかも違う!

なんかRPGにありそうな服とマントを身につけている。腕を見てみる。…たくましい。腕だけでなくもう全身が鍛え上げられたように引き締まっていた。

俺の体はヒョロヒョロで、同級生(友達じゃない)に軽く押されただけで倒れるくらい弱弱しかったのに。



 俺は冷静になるために自分のことを思い返す。

名前は石井アツシ。年齢16歳。まあ、認めたくないがいわゆるいじめられっ子。そのせいで高校も2か月で不登校に。ただ今絶賛ゲーム三昧の引きこもり生活を送っていた。


 さらに思い出す。深夜の町中を自転車で走るのが日課だった。最初は不良たちがウロウロしているんじゃないかとビクビクしていたが、深夜三時の町中は人がほとんど通らない。繁華街なら人がいっぱいいるかもしれないが。


 俺は浮かれて、好きなように自転車で走るようになった。

そしてある日。調子に乗った俺は自転車で全速力で走っていた。


「ヒャッハー!」


 そして何かにつまずいた。大きな石でも道路に置いてあったのかもしれない。俺は自転車からふっとんだ。さらに運の悪いこと、ふっとんだ先には電柱が(たぶん)。

ものすごい頭への衝撃があったのを覚えている。そこで記憶は途切れていた。



 つまり、俺は死んだ?あぼーんして違う自分として生まれ変わった?



 とりあえず俺は一番気になるあることを確認したくて森の中を歩き回った。

探すこと数十分、見つけた。そこは泉だった。キレイな澄んだ水。

確認したいこと。水面で自分の顔を見たかった。



 俺の容姿、顔は悲しいことにヒドかった。

ニキビはいっぱい、なんかアゴがしゃくれてる。きわめつけは髪。天然パーマでブロッコリーみたいだった。ムリヤリ髪を中分けにした。ブロッコリーが二つになっただけだった。あだ名はダブルブロッコリー、略してダブロコ。これらもいじめられた理由の一つだ。


 体は引き締まっていた。ということは顔ももしや…と思った。

一番のコンプレックス。俺はどうか…と願いつつ、泉の水面を見つめる。



 「お、おお、おおお、おーーーー!!」

俺は感動した。水面に映った顔は、ザジーズ事務所にいそうな、いわゆるイケメン。

髪もブロッコリーではなく、茶色がかったやや長髪のサラサラヘアーだった。神さま、これは夢ですか?



 ひとしきり喜びにふけっていた。そして、今後どうするか考える。

とりあえず、この森を抜けて町を探そう。平坦な地形を行けば、いずれ道があるはず。

で、誰かが道を通るのを待つ。町はどっちか、尋ねる。言葉が通じるかわからないが。


 そこまで考えて、あとはその後考えようと思った。気が付けばもう日が暮れて夜になっていた。

泉の水を飲めるだけ飲んで、俺は寝ることにした。一日くらい食べなくても死にはしない。

これから楽しくなる気がしていた。いい気分の中、眠りにつく…。



 そして翌朝。俺は森を出た。信じられないくらいに、計画通りに事は進んだ。

道を見つけて人を待つ。

WARNING!ここでトラブル発生。道で会ったのは、善良な旅人ではなく、ゴロツキ三人だった。


 ゴロツキどもは、説明するのもめんどうなほどテンプレなことを言っていた。

ただ、ゴロツキの言葉がわかるということは、言葉が通じるということがわかった。


 と、余裕ぶっている俺だが、内心かなりビビっていた。カツアゲを何度もされたトラウマがよみがえる。

しかし、俺の筋肉がささやいた(気がした)。

「こんなやつらは雑魚だ。かるくのしちまいな。」なんか自信が出てきた。


 ゴロツキどものどうでもいい会話が終わり、一番でかいやつが俺の相手をすることになったらしい。

「ガキ一匹俺ひとりで充分だ。さあ、かかってきな。ゲヒヒ」

とか言いつつ、こいつはナイフを取り出した。ひきょうものが。


 さっきまでビビっていた俺だが、戦闘モードだろうか。体が熱い。そしてバトルが始まる。

正面から突っ込んできたゴロツキの攻撃をかわし、牽制のつもりでかるくジャブを放つ。


  ドカ!!!ズザザザザザザザザ!!!!


 ゴロツキは俺のジャブで10メートルくらいふっとんでいった。岩にぶつかり、気絶。

他のふたりはポカーンとしている。

しかし、一番ビックリしているのは俺自身だ。

軽くなぐっただけでこの威力。おもいきりやったらどうなるんだ?


 「す、すみませんでしたー!これでお許しくださいー!」

ゴロツキの一人が金を差し出した。ちょっとまて。

これじゃ俺のほうがカツアゲしてるみたいじゃないか。ふざけんな。

カツアゲされるくやしさはイヤというほど味わっている。

俺はぜったいにやらない。


 「そんなもんはいらない。それより、聞きたいことがある。」



 俺はこいつらからこの世界のことを聞き出せるだけ聞き出した。

やはり俺の世界とはまったく違う世界らしい。

かなり多くの情報を仕入れたが、今現在、重要な所。

道を北にまっすぐ行けば、三時間ほどでアーリアの町という所につくらしい。

生活費のための金が欲しいなら、冒険者ギルドでクエストをこなせばいい。

あと、このあたりには最近おそろしいバケモノが現れるといううわさ。

ゴロツキからの情報はもっとあったが、今の今必要なのはこれだけだ。


 「これからはもっとまっとうに生きるんだな!」

やつらは一人を背負って足早に去っていった。

俺、ちょっとカッコイイかも?



 物語は進む。


 アーリアの町につき、俺はギルドを探し歩いた。

すれ違った町娘のヒソヒソ声が聞こえた。

「ねえねえ、あの人すっごくカッコよくない?ちょっと話しかけてみてよ。」

「え、え?イヤよ、はずかしーもん。」


 人生初の(いい方の)ヒソヒソ話。

俺はうれしくもあったが、照れくさくなり、はやあしで歩く。



 そして着く、冒険者ギルド。

ここで登録さえしてしまえば、クエストをこなして

当面の生活はできる、はず。と、


 「あんた、そーとー強そうだね」


 話しかけられた。振り向くと、そこには少女がいた。


 年齢は俺と同じくらいだろうか。女盗賊風の服装。長い銀髪を後ろに結ってある。

「あたし、人を見る目はかなり自信あるんだよね。この町のやつらは、てーんでダメ。でもあんたはいい。あたしにはわかる。で、どう?あたしと組まない?」


「よし組もう。俺たちは固い絆で結ばれた仲間だ。」


「ちょ、ちょ!即決?さすがにひくわー。なんかやましいことでも考えてない?」

「そんなことはない。俺も人を見る目には自信があるんだ。」

 ウソだった。俺はこの子にひとめぼれした。銀髪の破壊力はすばらしい!ひとめぼれ。これ以上の理由は必要ない!


「ま、まあいいわ。私の名前はルリカ。かんちがいしてそうだけど職業は魔術師。攻撃魔法と回復魔法を使えるけど一番得意なのは支援魔法ね。よろしくー」


「アツシだ、よろしく。ルリカ。(盗賊じゃないのか。言わなくてよかった。)」


「アツシ、熱し、熱死。うん、いい名前だね。」

 なんかぶっそうなことを言われた気がしたが、気にしないでおこう。


 ルリカの助けもあって、ギルドの手続きもすぐに終わった。職業は何にするか迷ったが、ルリカが早くしろ、と蹴ってくるので、一番近いだろう戦士に決めた。うう、もっとカッコいいのを選びたかったのに。


「さ、楽しい旅のはじまりはじま…」


『グオオオオオオオオオン!!!』


 そこで、恐ろしいほどの大きな咆哮が聞こえた。

そしてけたたましい鐘の音がなんどもなんども鳴らされた。


町を出て声の方向を見てみる。RPGでよくいる敵。ドラゴン。ってめちゃくちゃでかい。山のように、とでも例えればいいだろうか。


 ルリカが言う。

「うわー、あれ、邪竜だよ。そーとーヤバい。町ひとつくらいすぐに壊されちゃうくらい。」

ゴロツキが言っていた噂のバケモノか。ってドラゴンだったのか。



 こんなでかいバケモノ、俺が太刀打ちできるのだろうか。

ビビっていると、再び筋肉がささやいた(気がした)。

「かなりの強敵だが大丈夫だ。俺を信じな。全力で行け。」


 躊躇してる間に、邪竜は町に近づいていた。口から炎を吐き出そうとしている。


 しまった、これは間に合わない。このままだと町が焼かれてしまう。

ルリカが前に出、魔法を唱える。

水の加護を与えたまえ(ウォールオーシャン)!」


 水のバリアが町全体をつつみこむ。邪竜の火炎はバリアによって防がれた。

すごいなルリカ。たぶんかなりの魔法の使い手だ。


 だが、急がないと次の攻撃で町が壊されてしまうかもしれない。俺は何か武器がないかあたりを見まわした。ビクビク震えている戦士が斧を持っている。これだ。

「使わないならその戦斧、借りるぞ!」


 しかし斧くらいで邪竜を倒せるだろうか。

そこでルリカ(様)が魔法を唱える。


光が降り注ぎ敵を討つ(プラスシャイニング)!」

斧が光に包まれる。

「その戦斧に光の力を付与したわ。これで邪竜にも通じるはず!!」


 ルリカの魔法、そして俺の身体を信じて、


「うううおおおりゃああああああああああ!!!」


 俺は完全力で光かがやく斧を投げる。斧は回転しながら邪竜に向かっていく。いや、超高速の斧は光の矢のように見えた。はるか遠くの邪竜の体に突き刺さる。


 断末魔の叫びとともに、邪竜は無数の光の粒となり、やがて消えた。アーリアの町の危機は去った。


「おお!」

「すげー!」

「あの竜を一撃で…」


 避難していた町の人々が歓声を上げる。

そんな中、力を使い果たした俺はバタンと倒れる。


「ちょっとアツシ!大丈夫!?」

疲れたのもそうだが、俺はこの世界に来てから()()()()をしていなかった。

「ハ、ハラが…減った……。」


「アハハハハハハハ!!!」

ルリカとその場にいた全員が爆笑した。


「よしよし、町を救ってくれた英雄のために宴をやるぞ!みんな、用意しろ!」





 その日の夜は楽しかった。うまい飯と飲み物。美しい女性のダンス。酒も飲もうとしたが苦くて飲めなかった。残念。ルリカは、魔法を使って小さな人形を動かしみんなを楽しませている。パーティーというやつは今までほとんど経験してなかった。 一人でゲームをしてるのもいいが、こういうのも新鮮でいい。


 これから楽しくなるという予感は、当たるかもしれない。


 俺は宴の中で、ルリカやこれから出会うであろういろいろな人々のことをぼんやり考えていた。つらいこともあるかもね。苦しいこともあるかもね。でもきっと大丈夫だ。



ちょっと不吉な言葉だがあえて言おう。

俺たちの冒険はこれからだ!!!


     ▼


     ▼


     ▼



現実世界…


 石井アツシは病院で眠っている。

彼は死んではいなかった。

しかしずっと意識はない。


 アツシの母は言う。

「アツシがこうなってもう一年経ちますね。

でもね、あなた。こんな状態でも私は生きているだけでよかったと思っているんです。

それに、この子、たまにうれしそうな顔をするように見えるんです。

何か楽しい夢でも見ているのかしら。」


 アツシの父は言う。

「そうだな。意識がいずれ戻る可能性もゼロじゃない。

それに、現実はアツシにとって厳しすぎた。

ずっと夢を見られるなら、

それはもしかしたらひとつの幸せの形かもしれないな。」


せめて、どうか、優しい夢を。


 

 

      完



 小説初投稿です。しかも古典的な夢オチです。なぜそうしたかというと、今後続けていくとして、ちょっとでも人気が出たら、夢オチなんて読者を裏切る行為はできないと思ったからです。最初で最後の機会です。


 あと、いわゆる「なろう系」への批判でもあります。と言っても、なろう系が嫌いなわけではありません。

 盾の勇者の成り上がり、ありふれた職業で世界最強など大好きです。このすば、リゼロも大好きです。


ただ、「小説家になろう」という名のサイトで人気作品がかたよっている現状がどうかと思っています。


例えば、60歳の人が定年を迎えて、昔持っていた小説家になりたいという夢を再び持ったとする。そして「小説家になろう」というサイトを見つけた。しかし、のぞいてみるとそこは若者向けのおじさんにはよくわからない小説ばかり。そして夢をあきらめてしまう。


 実際ぼくもそんな感じでずっと書けずにいました。勝手な言い分ですが、80歳のお年寄りでも気軽に投稿できるのが理想かな、と思います。


今後、異世界チート系は書かないと思います。ただ、「魔神英雄伝ワタル」など、独自の世界観のファンタジーは大好きなので、いつか長編で書きたいな、と思っています。「ユニバード」というのを頭の中で考えています。


 今後、夢オチもチート系もやらない、ということで終わります。読んでくれてありがとう。

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― 新着の感想 ―
[一言] え、ちょっと怖い……。面白かったです。ちょっとあとがきが長いなぁと思いました。 なろうでテンプレ通りの小説を書いている福山れみでした。
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