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不良な俺は世界を救う魔王  作者: しゅーみん
異世界転生編
4/88

ギルドマスターの力

風邪、治りましたー。

あと今までのサブタイトルほとんど変えてきました、全部疑問形だったのですがそれはそれで変だなと思ったので(今更)

あと冒険者レベルをランクにしました、ややこしいんでね?

今回クソ長いです、はい。

 

 私の名はエシュール・タルロ。種族はエルフで、数年前までは冒険者をしていた

 この町近くで一番ランクの高いランク8だったこともあり、前ギルドマスターから正義の十字架ジィウスティーツアクローチェのギルドマスターに任命された。この頃はこの仕事も板についてきたところじゃ


 ギルドでそれなりに有名な冒険家のパーティーが重傷を負って帰ってきた

 一人は左腕から大量に血が出ているが、問題なさそうだ。もう一人は大した怪我はなさそうだが、もう1人が酷く、右足と左腕から大量に出血している。それだけじゃなく、腹が抉られているようだ

 応急処置はしているようだが早く治療しなければ危険だ


「どうしたのじゃドウガ、メルナ、ナイガ!」

「タルロさん……ゴブリンが……ゴブリンの集落がありました……」


 息絶え絶えで戦士のナイガが言っている


「何ッ!? 貴様ゴブリン程度にやられたのか!」


 私は中位ポーションを振りかけながら強めに聞く

 普通ゴブリンの集落とは三十から多くても七十と少しが普通じゃ。それくらいならこいつら鉄の意思(アイアンインテント)が負けるわけがない


「違うの! あれは普通のゴブリンの集落じゃないわ!」


 軽傷で魔法使いのメイナが叫ぶ。応急処置は彼女がしたようだ


「あれはざっと見ても二百……いや三百はいたんだ」


 自分で治療をしている槍使いのドウガがありえないことを言っている

 だがこいつらは下らない嘘なんかつくような奴らではない。それを知っているからこそありえない状況なのじゃ


「それだけじゃないわ……あれは、あれはゴブリンナイト、しかも二十はいたわ!」

「ゴブリンナイトじゃと!? こんな所にゴブリンナイトがいるということはまさか!」


 治療の終わったナイガが起き上がり、言った


「ああ、ゴブリンキングがいた……」

「ゴブリンキングじゃと……!? うちにはレベル5以上の冒険者は少ないんじゃぞ!?」


 ゴブリンキングとはゴブリン達を纏める名の通りゴブリンの王。推奨ランクは5で能力はB相当、ゴブリンキングの部下にはゴブリンナイトがおり、普通のゴブリンでさえ少し強いらしい

 それでも三百という数は異常だった

 通常のゴブリンキングでも纏めるのはせいぜい百五十程なのだから


「ルー、早急に冒険者を集めろ! 明日にゴブリンの集落を潰す、無論私も出る!」

「は、はい!」


 受付嬢のルーは走って冒険者達に知らせに行った。緊急依頼の発注じゃ。私は見た目は若いが、私の寿命は百と無い。六百年を生きる長寿のエルフとはいえ、老いには勝てない。全盛期とは言えずとも、ゴブリン程度を葬る事ぐらいできよう


「お前らは参戦しなくてもいい、体を休めるのじゃ」

「私は行きます!」


 メルナがそう言うが、怪我人の回復役も欲しい。回復魔法が使える人材は少ないからのう


「いや、メルナはナイガ達を頼む。まだ完治はしておらぬからな」


 ですがと言うメルナに、「ギルマスの命令じゃ、前線には出さんが怪我人の対処を頼む」と言ったら諦めたように「解りました」と言ってくれた

 今は魔力を集中させておこうと思い、ギルマス専用の部屋に入った


「もしかしたら特異個体のゴブリンキングかも知れんな……」


 少し嫌な予感がするが、今は精神統一をしておこう



「……ールさん、エ…………ルさん、エシュールさん!」


「何じゃ! 私は今精神統一をしているのじゃ、邪魔をするな!」


 もう少しで使っていなかった魔力を完全に最大まで溜めることが出来たのだが、ルーによって邪魔をされ苛立ちを隠せなかった


「すみません、ですがこれを……」


 と見せてきたのはパンパンに張っている二つの袋だった


「何じゃ? これは」

「ゴブリンの耳です……」


 はち切れそうな袋の中を確認する


「なんじゃと……これを誰が!」


 ありえない数のゴブリンの耳がぎゅうぎゅうになって入っていた。ゴブリンの集落の発見、大量のゴブリンの耳。考えられることは一つじゃった


「今日冒険者登録をしたガル・サカガミさんという方です」


 今日冒険者登録をしたじゃと? この数をランク1の者が……


「何人だった……そのパーティーは何人だったのじゃ!?」

「……一人なんですよ」


 ソロでこの数を!? そんなのはランク7の上位者じゃないと不可能じゃ! 私1人でも負傷は免れないだろうに

 言いたい事は山ほどあるが、とりあえずそのガル・サカガミをこの部屋に連れてくることにした



 ◆



 俺達はギルドを裏から出てすぐ横にあるらしい修練場へ行くことになった。いきなり戦いなんて、異世界って怖いね


「ガル、いやサカガミ殿」

「ガルでいいですよ、呼び捨てで」


 ギルマスなんだろ? 俺なんかに殿とか付けてたら格が下がるってもんだろ


「うむ、わかった。ガルよ、本当に一人で三百ものゴブリンを倒したのか?」


 そんなにありえない事か? ゴブリンって最弱なんだろ?


「はい、何かおかしいですか?」

「いや、その中に鎧を着たゴブリンと王冠を装備したゴブリンはいたか?」


 あーそんなのいたっけな、なんにも考えずに殴り殺したような気がする


『いました。ガル様は最早作業化していらっしゃったのでしょう。魔法を使えば早かったのですが。』


 いやそれじゃ耳とれないじゃん。燃やし尽くしたり黒焦げにしたり、溶けない氷状態にしたらだめでしょ


「いましたよ」

「なに!? やはり、か……で、殺ったのか?」

「はい、王冠持ちも鎧持ちも」


 鎧とはいえ普通に殴ったら貫通したけどね。俺の腕はいつから鉄より固くなったんだろう


「全部……一人でじゃと……!?」


 そんなに驚かれてもねぇ、たかがゴブリンだしね。雑魚の代名詞だし


「所詮はゴブリンですよ」

「あ、ああ、そうじゃな……それより着いたぞ」


 驚いた様子でエシュールは頭を掻いている

 修練場思ったより近かったな


「さあやろうか」


 エシュールさんは俺に木剣を投げ渡してくる。落としかけたのは内緒な


「俺武闘家なんで、そんなに剣使えませんよ?」

「拳でも構わんが」


 それはまずいだろ。主にエシュールさんが


「いや、剣でいいですよ。あと防御魔法本気でかけといてくださいね。いや、ほんとに」


 念のために言っておいた


「あ、ああ」


 引かれてるわコレ

 そりゃそうだよな、ー木剣で人殺せるはずないし、普通はね?


「一応本気で張ったぞ」

「了解です、やりましょうか」


 俺は木剣を構えた

 エシュールさんは独特な構え方、といっても基本がわからないが、俺の知っているような剣を構えるのではなく、剣を持った手を下ろしている状態で立っている


『戦闘補助は必要ですか?』


 いや、必要ない。いつも出来るだけ俺だけで闘うことにするよ

 戦闘にも慣れなきゃだしな


『了解致しました。必要な場合仰ってください。』


 おう、わかった


「いきますよ!」


 まぁ剣術だけじゃ負けるだろうが、身体能力では俺の方が上なんだから今はまだ問題ないだろう

 軽く走り、五歩目を踏み出した時に右足で踏ん張り、少し加速し突進をした、が


「なっ!?」


 すんでのところで避けられ、エシュールは下げていた木剣をとてつもない速さで振り上げる


「ぬォッ!」


 不味い、流石に避けれねぇ!

 あんまし使いたくねぇんだけど使ってなきゃ慣れることも出来ないしと悩んでいた能力を間一髪発動する


魔王之世界ディザスターワールド!」


 時が止まる、がナビさんに聞いたところ効果は今は一瞬らしく、魔王としてのレベルが上がる度に発動時間は長くなるそうだ

 俺は頭をずらし、下から来る木剣の軌道を完全に避けたところで魔王之時間ディザスタータイムは終わった

 ちなみに魔王之時間ディザスタータイムってのは魔王之世界ディザスターワールドの能力の一つで、時間を止める方だそうだ。魔王之世界ディザスターワールドは異空間を作る魔王之空間ディザスターランド魔王之時間ディザスタータイムの複合能力だそうだが、正直全く意味がわからん。そんな能力なんて知らなかったし


「避けられたじゃと?」


 流石にエシュールさんも驚いているようだな

 でも剣じゃ勝てなそうだし、これ以上能力でズルするのはなんとなく嫌だしな

 てかさっきの何だよ、木剣に何か纏ってたよねあれ。くらってたら少なくとも怪我してた自信あるんだけど

 まぁエシュールさんの能力だろうし、それは置いておこう


「エシュールさんの防御力ってどれ位なら耐えれます?」

「ふむ、今は一撃なら赤黒龍レッドブラックドラゴンの爪攻撃くらいなら耐えられる」


 うん、基準が全くわからん。聞いた俺が馬鹿だったよ。なんだよレッドブラックって、何色だよ

 おーい、ナビさーん


『なんでしょうか、戦闘補助でございましょうか?』


 気のせいでしょうか、ナビさんがワクワクしていらっしゃるように聞こえるのですが


『しておりません。』


 さいですか……

 そーじゃなくて俺の拳一撃くらいならエシュールさん死なない?


『計算します…完了しました。本気でなければ問題ないようです。』


 随分大雑把だな……

 まあ、勢いを殺したパンチでいいだろ


『それなら恐らくギリギリ問題ありません。』


 恐らくギリギリっておい

まぁいいや、拳にすっか。剣はそのうち、またいつかやっておこう。ロマンだし


「エシュールさんは強いですね、俺も少しは本気でいきますね」

「舐められたものじゃな、こう見えても元のランクは8なのだがな」


 エシュールさんランク8なんだ!?

 だから剣速がやばいんだろうなー。俺、普通の人とやっても多分剣で圧勝出来るんだろうし。主に突進で


『しようと思えばこのエルフにも剣で勝てますが、今の段階では覚醒する必要があります。』


 ナビさんって思ったより戦闘狂なんだね。安心してくれ、覚醒とか怖いことする気は無いから


『……違います。』


 そーですねー

 俺は木剣を投げ捨て、両手をフリーにする


「フッ、やはり本職でくるか」


 フッ、とか自信満々で言ってるけど本職は魔王なんですよね。バレたら一大事だから、勘違いしてもらったままでいいや


「まぁ、本気で防御してくださいね?」


 俺は修練場の端へ行く

 そしてクラウチングスタートの体制をとる

 この修練場は広く、エシュールまでゴブリンの時の距離の二倍ほどあり、そこそこ走りやすそうではある


「なんじゃ、その構えは」


 エシュールは珍しいものを見る目で見てくる

 まぁ知らないだろうなぁ。言ってしまえばエシュールさんの構えの方が珍しいと思うんだけどな


「クラウチングスタートって言うんです」


 例の如く完全じゃないし、ここは滑りやすそうだから注意しないとな


「よ!」


 最初の加速で走り出す、4歩目で踏ん張り加速し過ぎないように加速する。気のせいか、地面がひび割れた音がした


「速い!?」


 エシュールは驚いている

 そりゃそうだろう。滅茶苦茶な速さだし、加速した瞬間には懐にいるんだからな


「歯ァ食いしばれ!」


 本気ではないが渾身のボディブローをエシュールに撃つ。なるべく弱めに


「ガハッ……」


 エシュールはその場で倒れた


「うわっ腹すっごい凹んでる……」


 本気でないとはいえ、仮にも魔王のボディブローを受けたんだし、回復してあげた方がいいだろうな

 それにしてもなんかエシュールさんに悪いことした気分だな……。女の人殴るのあんま好きじゃないんだけど仕方ないよね?

 だって俺は負けず嫌いなのだから。これくらいならいいだろう。外傷もないしね


「生命を育む自然、魔力の根源が彼の者に完全なる再生を与える。生命復活リ・ボーン!」


 俺は生命復活リ・ボーンを詠唱し、エシュールさんを回復させた

 エシュールさんに白い光が纏われ光が収まった頃には凹んでいた腹も元に戻っていた

 最悪今ので死んでいても生き返ってるだろうし問題ないよね?


『ガル様の一撃でエルフは瀕死にはなったものの、死にはしなかったようです。』


 それはよかった、のか?

 ちなみに詠唱は何となくわかるみたいだ、多分ナビさんのおかげだろう。但し噛まないとは言っていない


 ………………

 …………

 ……

 

 目の前に美人が気絶している……

 さて、どうするかな。このまま放置ってわけにもいかないし、俺は紳士だからな。コートを上に掛けてやろう。今この世界は少し肌寒いしな。女の人に腹パンしといて紳士とか言えるのか? と言う質問は受け付けません

 暫くすると、エシュールさんが目を覚まし、起き上がった


「……おいこれは一体どういうことじゃ」

「フッ、気にしないでください俺の上着っすよ」


 決まった……


『何がでしょうか。全く理解できません。』


 うるせぇ見てろよエシュールさん感動するから! と期待したのも束の間


「そんなのはどうでもいい!」


 どうでもいいんだぁ……俺は心で泣いておくぜ。もう俺グレるかんね! ……グレてたわ


「あの速さ、ランク9を思わせる程じゃぞ!」


 美しく整った顔を鬼の形相へと変え、こちらを睨みつけるように見てくる


「へ、へーそーなんすかー」


 ちょ、こわいっすよエシュールさん

 そういやナビさんも言ってたね、9くらいなら余裕だとかなんとか


「ガル……そなたはまさか他国の聖騎士か? なら国に来たことを黙ってほしいのもわかるものじゃが」

「違いますけど」


 魔王ですから、どっちかって言うとそれ多分敵ですから


「確かに拳聖や拳で戦う聖騎士は各国にも数える程しかいない。じゃが私が一撃で沈むとは……」


「あー、そのー、なんかすんません」

「なにがじゃ?」


 腹を凹ましたことっす


「いや、何でもないっす」

「じゃがガルのような冒険者がランク1なのは悪い事じゃな……」


 お、これはランク上げてくれるっぽい? 少し期待できるな


「そっすか?」

「あたりまえじゃ! そなた本気なぞだしておらんじゃろ?」


 バレてましたか

 自分としてはほぼ本気だけど、まだ魔王闘気解放ってのがあるしね。そのうち試さなきゃな


「流石ギルドマスターですね」

「むぅ……煽られているようにしか聞こえんのじゃが……」

「そんな訳ないじゃないっすか」


 さて、期待していいんだよな? ランクアップ!


「ガル、そなたのランクをあげようと思う」


 よっしゃ!

 心の中でガッツポースをする。少しズルな気がしないこともないが、これくらい別にいいだろう


「マジっすか? ありがとうございます!」


 よし、とりあえず2にはなれたし、次は3か。確かオークとか何とかを倒せばいいんだっけな


「うむ、とりあえずランクは6じゃ」


 ……聞き間違いかな、6って聞こえたんだけど


「すみません、よく聞こえなかったんですが……」


「ガル、そなたのランクは今から6じゃ。本当はもっと上の方がいいのじゃが、私の一存じゃここまでしか上げられん。それにそなたは貴族とは付き合えなさそうじゃしな」

「貴族と付き合える自信はないです」


 いくら何でも上げすぎじゃないですかね?

 ランクアップのバーゲンセールじゃん


「いくらなんでもいきなり上げすぎじゃ……」


 思ったことをそのまま口に出した。普通に他の冒険者の反感買うだろ


「8、いや9でもいいほどそなたは強い。じゃがそこまで行くとギルド連合で決めなければならないからな」


 スケールでかいなぁ


「は、はぁ」

「そうじゃ、ゴブリン討伐依頼をクリアした報酬を払わねばな」


 あ、完全に忘れてた。宿も教えてもらわねぇと


『宿は私が検索しますので問題はござません。』


 さすが有能、ゲームの攻略本なんか目じゃねぇな

 ちなみに銀貨とかあるだろ? 大まかな値段を教えてくんねぇ?


『銭貨10枚で銅貨10枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨100枚でミスリル貨1枚になります。日本円換算銅貨1枚で大体100円と考えていただければいいかと思われます。』


 なるほど、銀貨1000円金貨1万円ミスリル貨100万円ってことね。覚えておこう


「これが報酬の金じゃ。ゴブリンが312、3匹で銅貨5枚じゃから、104が5で520枚の銅貨じゃな。じゃが持ちにくいじゃろうから金貨に変えてやろう」


 俺は5枚の金貨と2枚の銀貨を報酬として貰った


「ありがとうございます」


 軽く頭を下げお礼を言う


「まだじゃぞ。そなたには集落を潰した報酬を払わなければならん」


 お、まじで? それは嬉しい誤算だな。ボーナスは有難いぜ


「基本報酬はさっきのじゃ。じゃが集落を潰したパーティーには賞金が追加される。これが賞金じゃ、受け取れ」


 小さな袋を投げてきたのでキャッチする、中を覗くと金貨が10枚の束が6っつ……


「………………」

「どうしたのじゃ? 足りんか?」

「多くないですかね?」


 60万だぞ!? 高校生が持ってていい値段じゃねぇだろ!


「本当は沢山のパーティで山分けするんじゃが、今回はガル一人でやったからのう。そんなもんじゃ」


 そんなもんじゃ。じゃねーよ!?

 初日に一気に所持金増えたな……えーと


「金貨65枚に銀貨2枚……ね」


 日本円換算で65万2千円……小金持ちだな、学生には大金だぜ

 夜道には気をつけよう……。狙ってきたらびっくりして勢いで殺っちゃいそうだ


「エシュールさん、おすすめの武器屋を教えて欲しいんですが」

『私がいれば聞く必要は無いと思われます。』


 私がいれば何でもできるから他のやつに頼るなって聞こえるのは俺だけだな

 いや、ギルドマスターから紹介されたとなったら相手も粗末なことは出来んだろ。それに急にこられるよりは紹介された後に行ったほうがいいだろうしな


『了解しました。』


 心なしかやはり拗ねている気がする


『そんな事はありません。』


 そーですねー


「うむ、了解した、道は明日教えよう。青い薔薇の刺繍が入ったコートを着ているやつが来ると伝えておく事にする」

「ありがとうございます。それでは失礼しました」

「うむ、明日も来るが良い。依頼を持って待っておる」

「はい、わかりました」


 一礼し修練場を出る


「ふぅ……」


 風呂は入りてぇ……けど、宿にはないよな?

 ファンタジーだし


『ありません。』


 だよなぁ……それじゃ体拭きでもなんでもいいからできるとこ案内ナビ頼むわ


『了解しました、検索します……発見しました。案内ナビゲート致します。値段は1泊銅貨3枚、7日滞在で銀貨2枚です』


 この世界じゃ宿って安いんだな、それにお得感あっていいな、といっても銅貨1枚分だけだけど、とりあえず3日くらいでいいか、途中で使わなかったら勿体ないしな



 ◆



「うーむ、未だに信じられん……」


 ガル……格闘家と言っておったが、あれはおそらく拳聖の2,3歩手前じゃな

 それになんだったのじゃろうか。私の秘剣、風纏ウ煌メキを避けた時、何かを言っておった。魔法か?

 それにあれは絶対当たっておったはずなのじゃ……。それこそおそらく拳聖でさえも避けられないほどの、今の私で出せる最高速の剣速じゃった……

 それだけじゃない、私を一撃で沈めるほどの威力な筈なのに、私の体には傷一つなかった。寧ろ体がスッキリしておる


「考えても無駄、か」


 もしかしたらガル・サカガミは勇者なのかもしれんのぅ……。じゃがそれはまずありえんじゃろう、それとも魔の……いや、それも無いじゃろうて

 深読みのし過ぎもいい所じゃな。歳をとると思考が飛躍してしまう

 明日はちょいとばかし難しい討伐依頼をガルに頼もうか



「ハックショイ! んあぁーズズッ」


 誰か俺の噂でもしてんのかなと思いながら、異世界、ノルダルメイジスでの初めての眠りにつくガルであった





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