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不良な俺は世界を救う魔王  作者: しゅーみん
異世界転生編
2/88

異世界のお供は怖い人?

今回は少し長いです、まぁ短い部類に入るのかな?

これからはこれくらいの長さで書くと思います。

頑張りすぎて風邪ひきそう。

 

 少し状況を整理しようか。

 えーと澪を庇って死んだんだよな、それは解る。

 そして神様――死んだし閻魔様なのかもしれない――にいきなり職業を選べと言われたんだ。そしていわゆるRPGの様な職業欄の中に"魔王"があったから、まぁなるなら強い方がいいし、なにより面白そうだったから魔王を選んだんだよな?

 んで神様に世界を救ってと言われた……うん。意味わかんねぇ。

 つーかここどこだよ。


 軽く辺りを見回す。街の路地裏と言った所かな? 遠くから賑やかな声が聞こえてくるから、さほど入り乱れているわけでも無さそうだ。

 んでこの街の名前何だっけ? 今から何をすればいいんだろうか。


『メイジス王国南端の街、ネイトです。予定ですが、冒険者ギルドに行き冒険者登録する事をおすすめ致します。』

「おう、分かった、ありがとな。行ってみるわ……って誰だ!」


 俺は辺りを見回した周りには誰もいなかった。女の人の声がしたんだけどな。


『私はガル様の脳内案内人ナビゲートです。主に脳内地図、説明、言語理解、戦闘補助などをさせていただきます。一番近くのギルドを検索します。……発見しました。案内ナビゲート致します』


 なんとも有能で便利な。転生特典か何かか?

 いつもより軽い体に興奮のあまり、つい走ってしまう

 身体が余りにも軽すぎる。助走をつければ壁を走ることも出来る。体には違和感はないのに、俺の知っている速さとは段互いだった。


「ははっ、すげぇ! これが魔王の身体能力か!」

『その身体能力は魔王闘気解放前ですので、本当の肉体能力は出せておりません』


 脳内案内人(ナビゲート)は俺の言葉をすぐに否定する。

 まじかよ、そりゃすげぇな。これがその程度なら地球じゃオリンピックとか余裕で全制覇出来そうだな。


『はい、ガル様は魔王であられますので』


 子供のような考えを脳内案内人(ナビゲート)は肯定し、案内を続けた。





「えーと、ここがギルドってやつか?」


 人通りが多い所に出てからは徒歩に切りかえ、辺りを軽く見ながら進み、目的の場所に着いた。


 建物のサイズは学校の体育館くらいか、思ったより小さいんだな。それでも人は多く賑わっている。


『ここは冒険者ギルド、魔物討伐の依頼から雑用まで多くの依頼があるようです』


 冒険者ギルドねぇ。雑用が冒険とは笑わせてくれるな。

 ちなみに建物や風景はファンタジーで良くある中世ヨーロッパのような感じだ。いや、中世ヨーロッパとかどんなのか知らんけど、多分そんな感じだ。少なくとも機械のようなものは見なかった。


 さっき手持ちを確認したんだけど、こりゃまた初期装備って感じだったな。

 手持ちアイテムは薬草のような草が三つと、普通の石の剣。今着ている黒い服一式――黒一式ってお洒落的にどうなんだと思ったがあまり気にしない。青い薔薇の刺繍が胸にあるし、何よりお洒落にはあまり興味が無い――そして所持金は銅貨10枚だったようだ。ザ初期だなおい。まぁいいけど。


「よし、異世界での俺の冒険者人生の始まりだ!」


 まあ、魔王なんだけどね。



 冒険者ギルドの中は、見た目が西武劇に出てきそうな酒場のようになっている。

 中に入るとそれこそ冒険者達、剣なんか背負っちゃってまさに冒険者。怖い人達! スッゲェ睨んでくるんだけど!? まぁ、俺だって魔王なんだからこいつらよりは強いんだろうしな。そんな喧嘩を売るような視線を浴びせてくるのなら、魔力の扱い方をさっき教えて貰ったし、ほんの少しだけばらまいてみよう。少しは威嚇になるだろう。


「ヒッ……」


 睨んできていたガタイのいい男が小さな悲鳴を漏らした。

 なんだよこいつらただのビビりかよ。冒険者ってこんなモンなのかよ。まさか初期装備の俺にビビってんのか? まぁそれなりに目付きは悪いけどな。

 興が削がれた。異世界だからちょっとテンション上がってたみたいだな。俺らしくもない……。


『あんな屑共でも恐怖は分かるみたいですね。ガル様の内に秘める魔力を直感したのでしょう、当然の結果です。ですが……』


 ですが?


「うぉいうぉいうぉい!!うぉいコラこのイスール・ダミ様を無視すんのかコラ?」


 ……うぉい? 変な喋り方だな。呂律が回ってないだけか?

 モヒカンに肥えた体。刃こぼれした大剣を背中にかけている。世紀末かな?


『ただの馬鹿でしょう』


 あっ、うん。でしょうね。

 いかにも面倒臭そうなやつに一々構うのも面倒臭い。


「うぉい? コラ無視かよコラ!」


 コラコラうっせぇな。耳の近くでうるせぇんだよ。でもコイツ口で黙らせんのも面倒くさそうだなぁ。なら実力行使でやってみっかな。野蛮? こちとら魔王だぜ? 野蛮もクソもねぇだろ。


「おいなんだよ。俺はお前に用ねぇしお前も無いだろ? 俺もねぇし耳元でうっせぇし臭いんだよ、今すぐ失せろよゴミが」


 キャッ、言っちゃった。少しお口が悪かったかしら。

 これで引き下がってくれたら楽なんだけどな。まあ、こういう雑魚丸出しのやつは、こう言うと逆上しそうだけど。

 この言葉でギルド内が驚愕と面白そうなものを見る目に変わる。


「うぉいうぉい!? このイスール様をゴミ? ゴミだと!? 貴様死んだぞ!」

「え、俺死んだの? まじで?」

『いえ、正常です。イスールに闘いで負け、殺される可能性は計算の必要もありません』


 いや、まあ知ってるけども。小物感半端ないからなぁ……。


「死ねぇ!」


 イスールから殴りかかってきた。二、三発受けとくか、正当防衛の方がいいだろうしな。この世界に正当防衛が有るかどうかは知らないけど。


「うぉい! 死ねぇ死ねぇ!」


 多少の痛みは覚悟して、この体の性能を試そうか。

 なんて思っていたけど、全く痛くないんだけど?


『この者程度の攻撃は蚊が止まるほどの衝撃をも受けません。ガル様の身体力ではこの者の方が痛みを感じているのではないでしょうか』


 俺の体どんだけ硬いんだよ! 身体能力で済ませれるような話じゃないよね!?


「はぁはぁ……クソッ。何を仕込んでんだよ!?」


 イスールは息を荒らげながらも殴り続けている。

 やはり馬鹿なのか、俺にダメージを与えられないと知っても殴り続けている。むしろ凄いよ、それ。


「何も仕込んでないけど」


 ほんとめんどくせぇ……なぁ? コイツ殺さねぇ様にすれば、ある程度本気で顔面殴ってもいいよな?


『いえ、殴る程度は良いですが、この肉塊を本気で殴ると反動でこの脆い建物が崩壊する可能性があります。そうなれば冒険者になる事はおそらく不可能になります』


 建物崩壊とかどんだけだよ!? んじゃ首チョップは?それじゃ流石に無理か? あの映画とかでよく見るヤツ


『了解しました。私が戦闘補助を行います』


 戦闘補助? なんかあったなそんなの。でどうなるんだ?

 イスールはまだまだ俺を殴っているようだ。もう既に二、三発じゃないけど、全然痛くないからいいんだけどな。でも臭いしウザイしむさっ苦しいし、少しイライラしてきた。いや、ここまで殴られてイライラ程度で住むのもどうかと思うけど。


『ガル様の体を少しの間お借りして火力調整、攻撃予想、敵行動予測、覚醒ができます』


 へー……覚醒!? 覚醒ってなんだよ!? え、なに、魔王闘気解放とやらの上位互換ですかね?


『いえ、私がガル様の体を全てお借りし、その間ガル様は今私が存在する場所、ガル様の脳内に魂だけの存在として助言を頂きます。ですがその場合ほぼ必要ないと思われますが、ガル様から助言を頂けた場合不必要な点を説明致します。それでも必要と思った場合実行します』


 自信満々だな!? まぁズブの素人がそんな助言なんか出来やしねぇだろうけどな

 てかお前その間に俺の体奪われるのか。ちょっと怖いんだけど?


『いえ、ガル様は強制的に魂を体に戻すことが出来ますので心配ありません』


 あっそう。んじゃこの世紀末野郎どうにかしてくれ。

 イスールは殴り続けているが痛みを感じない。脳内案内人(ナビゲート)の言葉に驚き、存在を忘れてしまっていたが、姿を見ると拳が赤く腫れかけているようだ


「はぁはぁ……クソが、なんだよコイツ!」


 多分お前らのラスボスである魔王様ですが。

 そろそろうざいし脳内案内人ナビさん頼むわ。


『了解致しました』


 一瞬で右腕の感覚が無くなった。少し恐怖感を覚えたが胸の奥にしまう。脳内案内人(ナビゲート)は、やろうと思えばいつでも奪えるのかもしれないが、対処のしようがないからだ。そうなったらその時だ、大人しく消えてしまえばいい。


 感覚が無くなった右腕が勝手に動く。それもとてつもないスピードでしなやかに。


「ゴッ……」


 イスールは(ナビさん)の首元への一撃で頭から倒れた。

 うわーこの人怖いわー容赦ないわー。人じゃないけど。


『殺してはいないので問題はありませんが、三日は起きないでしょう。』


 三日!? 怖いって、この人マジで怖いって。三日ってなんだよ!?

 周りがザワザワし始める、そりゃそうだ雑魚な筈の新参者ニュービーがここのボスみたいなやつを一撃で沈めたんだからな。実際どうかはわからないけど。


「こいつ何者だよ」

「こんなやつ見たことねぇぞ」

「装備も雑魚いのに……」

「つか貴族の三男に手を出して良かったのか?」


 貴族? そういやそんなものもあったよな。最悪この街から出ればいいだけだし、貴族だろうがなんだろうが知ったこっちゃないな。そういうしがらみは正直面倒だ。

 受付嬢らしき人に冒険者になりたいと話しかけたが受付嬢さんは、


「はっはい! えっと、この書類に名前と職業ををお願い致します」


 と少しどもっていた。だがちゃんと受付嬢の役目を全うしている。いい受付嬢だな同い年位かな。モ○ハンの受付嬢みたいだな。と前世での好きなゲームを思い出す。これから俺があんなモンスター達を倒すのかなと不安になったが、


『いえ、ガル様なら問題ありません』


 と断言されたので不安もどこかへ行く。

 それより登録用紙のところの職業どうしようかと迷う。気のせいかギャラリーも気になっているようだ。まぁ、本当はあれになるはずだったしあれでいいか。

 ファミリーネーム的なのどうしようかな。普通に名字でいいか。別に指定されたわけじゃないしな。まあ、ガルってのもよくわからんけど。


 名前 《ガル・サカガミ》 年齢《16歳》



 職業《武闘家》



 志望理由

 《世界を救いたいからです。》


 こんなもんでいいだろ、ふざけてるけど。ちなみに言語と文字は脳内案内人ナビさんによって丸暗記させられている。まあすごい楽だったけどな、急に頭の中に不明な文字列と声が聞こえたと思ったらもう解るようになっていたし

 ナビさんマジパないっすね。


「はい。これが貴方の冒険者カードです。頑張って世界を救ってくださいね」


 後半若干笑いながら言いやがったなコイツ。肝座ってるというかなんというか。

 まぁ気にしないけどね。ふざけたから笑ってもらった方が嬉しいもんだしな。


 こうしてこの世界での俺の冒険者であり魔王の人生が始まった。





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