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テロル戦記  作者: 鐳波
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業への一歩

どうも鐳波です。らいはって読みます。

今まではハーメルンでぽちぽちしてましたが、これからは小説家になろうでオリジナルをメインに書いていこうと思います。

元ネタが分かるようなネタも多々ありますが、そこは生暖かい目で見守ってくれると調子に乗ります。

鼻をへし折ってやりましょう。

あの日から3年と少しが経った現在、25世紀。俺、ハリー=ルーズベルトと相方のチャーリー=クラリスは暗殺教団と言う組織に身を置き、教団から寄越される依頼をこなして飯にあり付いている。

今日もフランスの上級貴族の一人とその護衛6人を殺してきた。


「お疲れ。今日は随分と調子よかったな」

ハリーは干し肉を齧ってから武器屋の方に目を向けて、チャーリーに話しかける。


「まぁ、そうだね~。でも最近の貴族はみんな気が抜けてるから楽だしね!」

ハリーの干し肉を奪い取り噛り付いて、ハリーにアサシンブレードの刃を向けられて渋々肉を返す。


「そんなことより早く建物に入ろう、皮膚が痛くなってきた」

綺麗な乳白色の肌を指で優しく撫でる。

ハリーは先天性白皮症、通称アルビノを患っているせいで日の光に弱い。


「あぁごめん、そろそろ着くと思う」

二人は急ぎ足で教会に入り、ステンドガラスの一部を押す。

こうすることで教壇が横にずれる、という色んな小説にあるありきたりな仕掛けだ。

そしてその中が我ら暗殺教団の隠れ家となるのだ。


「団長、終わったぞ」

白髪交じりの神父服を着た中年の男に大雑把な報告を済ませて暇を貰う。

とりあえず町の喫茶店でチャーリーと例の件で相談をしている。

例の件と言うのは暗殺教団を裏切り、ハリーが創立を予定している暗殺義賊『ガン=プラトーン』。

これの人集めやアジト、武器の調達の事である。


「そうね...教団内でこの事が噂になっても、あいつなら絶対すぐに殺しに来るからね~」

この件は二か月前から色々場所を変えて話しているが、バレている感じはない。


「今までの依頼者から人脈を借りてみよう。この際抜けるなら賭けた方がいいかもしれない」

アイスコーヒーを一気に飲んで痛くなる頭を押さえる。


「うん、分かった。密偵にバレないように行こう。今日は多分オフだし密偵も少ないはずだから酒とかで軽く記憶を飛ばさせれば大丈夫だね」

ハリーを笑ってアイスココアをストローでちうちうと少しずつ飲む。


「うん、夜なら俺も早く動けるしな。じゃあ(いのしし)(とり)の時計台だ」

話し合いが終わってからは各自自由行動で、午後10時までは海軍にちょっかいをかけながらふざけていた。

時間になって約束の時計台に到着する。辺りを軽く見まわしたり聞き耳を立てるが密偵は大体2人くらいだった。千鳥足の奴が一人いてもう一人はどっしりとした足音だった。

足手まといが一人いるようなので見捨てることをしなければ簡単に撒けるだろう。


「よし、まずはニコラスさんだな。この人はいくつもの商人や海軍に贔屓にされている商人だから融通も利くはず、仲間にできれば物流や海の動きが粗方分かるようになるだろう」

ハリーは顎や口元を1回撫でまわしてからラム酒をぐいと喉に流す。


「じゃあ、動くぞ」

飲んでいたラム酒を飲み干し、適当な茂みに投げ捨て仕事をする時でも出さないような速さで走りだす。

港まではそこまで離れていないので5分ほど走っているともう着いていた。


「あそこの程よい大きさの屋敷がニコラスさんの家だ」

服のしわを伸ばしたり襟を直したりしてから呼び鈴を鳴らすと、この時代では急に雇い手が増えたパーラーメイドが応対する。急な暗殺を防ぐためだろう、この対策方法は実に有効的で、それが知れてからは暗殺の件数もグッと下がったのだ。


「まぁ、この前旦那様がお仕事を依頼した...」

小太りで可愛らしいメイドが出てくる。

この前に仕事を依頼された時もこの方に応対されたのだ。勿論仕事の内容は全く知らない。


「ハリーとチャーリーです。夜分遅くに申し訳ありません、ニコラスさんに用事を頼みたいのです」

ハリーは得意の気持ち悪いほど良い作り笑いを浮かべ、少し声のトーンを上げて話す。


「用事、ですか?それは又どんな?」


「それは内緒ですよ。なに、軽い野暮です」

ハリーはついそのメイドの豊満な胸に目を行かせてしまうと、チャーリーが耳をつねろうとするが、それはハリーの反射的なアサシンブレードの抜刀で防がれる。


「分かりました、少々お待ちください」

柔らかい笑みを浮かべて扉を開けたまま奥へ行ってしまう。


「ああぁ...可愛いっ!!あんな優しい女性のおっぱいを乱れるまで揉みしだきたい...!」

ハリーは腰を大きく反らせてそれぞれの指を大きく広げ気色悪く蠢かせる。


「...いる?」

チャーリーが自分のデカい乳袋を持ち上げてくる。


「要らん、お前のは孤児院の時からずっと揉んでた所為か飽きた」

露骨に悪態をついてクズみたいなセリフを吐き、チャーリーは少しシュンとする。


「いやぁ、待たせてすまんね。とりあえず入ってくれ」

優し気な笑みを浮かべ、歓迎してくれて、応接間ではなく彼の自室に通してくれる。


「君たち、酒はいけるのかい?」

彼は手で飲み物を飲む仕草をする。


「チャーリーは無理ですけど俺はいくらでも」

ニコラスは部屋の外に行ってメイドにワインやウイスキー、ジュースを持ってくるよう指示をしている。

すぐにそれ等はテーブルに用意されてメイドはそそくさと出ていく。


「君はどれがいい?」

ニコラスはハリーがワインに目を向けると少し悲しそうな目をして、ウイスキーに目をやると嬉しそうにしていた。この人絶対ババ抜きへたくそだな。


「ウイスキーで、ここに来る前もラム飲んでたので」

自分でグラスを取りでかい氷を投げ入れて酒を注ぐ。

チャーリーも用意されたワイン用の葡萄で造られたジュースを注ぐ。


「では、本題に入りますね」

一口つけてからハリーが話を切り出す。


「あぁ、そうだね。聞こうか」


「今日ここに来たのはお願いがあるんです。勿論拒否権はあるので気軽に聞いて下さい。俺らは近々独立を考えているのです」


「ただ私利私欲を尽くすのではなく、戦争やネグレクトなどの所為で孤児、ストリートチルドレンとなった子供たちの扱いをまともな子供としての扱いにすることを義務付け、決して奴隷として無理な仕事を押し付ける雑用係として扱わないと言う法を定めさせ、孤児院を国の施設として援助をさせるようにさせたいのです」


「ふむ...そのためには何をするんだ?」


「話が分かる奴には討論の場を設け、ただ腹を肥やしているだけの無能な上級貴族や軍の奴らなどの(かしら)には無慈悲な暗殺を」


「なるほど。あくまで暗殺教団のやり方で行くんだね?」


「えぇ。ガキの頃からこれしかしていないのでこれ以外は分からないのです。しかし、無駄な殺害は絶対にしません」


「もし、知り合いが人質に取られたら?」


「...殺します、どれほど仲が良い友であっても人質に取られればただの足手まとい。ただ、一つ確信していることがあります。俺が見こんだ仲間は、人質になろうとも誇りを捨てない戦士であると」

それを言い終えてグラスの中のウイスキーを一気に飲み干す。


「分かった、援助を約束しよう。ただし、こちらが不利になったらどんな手を使ってでも私たちは逃げる。いいね?」


「えぇ、問題ないです。では、俺らの求めるものですが。チャーリー」

チャーリーに目配せして、後は言わせる。


「うん。私たちが求める物は基本的には物流情報、海の治安、そして海図。できれば武器の調達です」


「なんだ、それくらいの事なら任せてくれ」


「ほんとですか!ありがとうございます!」

ハリーは深く頭を下げる。


「それで、君たちはその独立した団体の名前を考えているのか?」

ニコラスはもう商売の時の顔に移っていた。


「えぇ。銃の小隊『ガン=プラトーン』です。暗殺義賊として活動するつもりです」


「必要な武器は?」


「とりあえずアサシンブレードを2つ、6 UNICAを3(ちょう)ほど用意してほしいです。それと個人的な依頼ではテンプル騎士団の軽装の鎧を用意してほしいです」


「アサシンブレードと6 UNICAは任せてくれ。だが鎧の方は無理かもしれない」


「じゃあ鎧の方は僕の方で入手しておきます、では頼みました」

ハリーが再度頭を下げて席を立つと、ニコラスが引き留める。


「こちらからもいくつかお願いがあるんだ」


「内容は?」

タバコを咥えてから問いかける。


「まず君たちの旅先で、私が拡張したい地域が近かったら商談に向かってもらいたい。そして2つ目は、うちの息子を連れて行ってもらいたい」


「一つ目は了承しますが、2つ目はこちらにどのようなメリットが?」


「私からの資金援助が旅先でも受けられるようになり、幾つかの商人などには顔も効くだろうから値下げ等が見込める。そしてスクーナーを一つ貸してやれる。またうちの息子は鷹を使えるから手紙も素早く通るだろう」


「分かりました。ですが、仕事柄恨みを買ったり死んだりする可能性は0じゃないです。息子を殺す気はありますか?」


「なに、死んだらその程度の器だったと言う事だ」

ニコラスはそれを愉快そうに言った。

意外と肝は据わっているらしい。ハリーはそれほどのメリットがあるのなら、と快諾して屋敷を後にする。

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