表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐令嬢が往く!  作者: 空廼紡
本編
1/14

死に際は最悪! けど歪みないぜ!

 彼との出会いはわたしが高校入学の時だった。前の席の彼がわたしに話しかけてくれた。それがキッカケ。

 優しくて気さくで、頭も顔も良い。そんな彼のことが好きになって、その彼から告白されて付き合い始めた。

 はじめは順調だった。が、高校を卒業して大学に入ってしばらくした後、奴は本性を現した。

 奴が浮気をしたんだ。最初は泣きわめいていたけど、浮気が重なっていくたび心も涙も干からびてしまった。


「もうテメェなんざ知らないね! 二度とわたしの前に姿みせんな! 破ったら次こそ完膚なきに潰してやるぞ!」


 浮気何百回目なのか。一応付き合っている彼の浮気現場を目撃し、最早恒例の捨て台詞を吐き捨てて部屋を去る。股間の会心の一撃も忘れずに。

 彼氏の引き留める声? 知らんな。

 もう絶対に別れる。いつもみたいに一日に何百回のメールと電話がきても、絶対に許さん。姿を見せるのであれば、一撃じゃすまさんぞ。


「ゆるさんゆるさんゆるさんゆるさんゆるさんゆるさん……」


 部屋から出てしばらく経ってからも、怒りは治まらない。いや、勢いはなくなってきたけど静かな怒りにシフトチェンジしただけだ。


「なーにが、お前だけなんだ、ふざけんな。だったらはじめから浮気すんな、口だけ男!」


 どうせわたしは、都合の良い女ですよーだ! こんなに浮気されて、それでもなぁなぁで付き合ってやる女、滅多にいねぇわ!

 あーもう、早々に別れればよかった。気がつけば今年で二十七。いい加減にしないと婚期が過ぎてしまう。二十五の時、浮気されたに己の年齢に向き合えばよかった。

 婚活しようか。そうしよう。


「今度こそ……誠実な男を捕まえてやる! このドロドロな感情を浄化するため、家に戻られば!」


 自分の部屋を思い出し、怒りが蚊帳の外に。私の顔がにんまりする。

 家に帰れば、愛しの嫁や今朝届いたBL漫画がある!

 とくにBL漫画はわたしが神と敬っていた神サークルの作家のデビュー作だ。しかもわたしが大好きな大人×合法ショタ。身長差! 体格差! ブラボー!! これは楽しみしかない。


 もうさっきの修羅場のことは忘れて、らんらんるーと家に向かっていたら。

 キキキー! と耳をつんざく不愉快な音が聞こえた。

 それの正体を確認する前に飛ばされるわたしの体。そして地面に強く打ち付けられた。


 はねられた。それだけ理解できた。


 遠のいていく意識の中、わたしをはねたと思われる車の音が走っていく音を拾った。

 テメー、人をはねた上に轢き逃げかよ。末代まで呪うぞコラ。

 ああああ、わたしの人生、ここで終わってしまうのか。

 あああああああああせめて最後に、神サークルのBL読みたかっ



  ● ○ ● ○ ●



 と、いう前世の記憶を思い出して呟いた一言が。


「最後の未練がBLとか……さすがわたし。歪みねぇ」


 だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ